「ドクターＫＩＮＧ」住友生命の医療商品考

「ドクターＫＩＮＧ」住友生命の医療商品考

第三分野保険

• 2001年に日本国内の保険会社に対し「医療保険」「がん保険」「介護保険」といった《第三分野保険》の単品販売が解禁されるまで、入院や手術などの保障は、「終身保険」や「定期保険」など他の単品保険に「医療特約」として付加される付属的な給付にすぎなかった。
  
  
• 第三分野単品商品市場への参入が可能になれば、日本国内の生命保険会社や損害保険会社がこぞって第三分野保険を取り扱い始める‥と思われた。しかし、解禁後に第三分野保険の新商品発売や商品改定を行うのは、依然として外資系生命保険会社が中心だった。国内の保険会社が追随するのは、三年ほど後のこととなる。
  
  
• 「医療保険」の単品販売が解禁となった以降も…国内最大手の日本生命は医療保障を必須付加した「定期付終身保険」である「生きるチカラ」を、国内最古参の明治生命(当時)は同じく医療保障を付加した「利率変動型積立終身保険」である「メディカルアカウント ｍ.ａ. 」を、《医療保険類》として販売し続けたのである。
  
  
• さて、この商品を販売する「住友生命」は、いつの頃からか『介護と医療のスミセイ』を標榜している。そして、この商品…「ドクターＫＩＮＧ」および「救Ｑ隊ＫＩＮＧ」は、2004年9月に発売された「ドクターＯＫ」、およびこれに先駆け2003年8月に発売された「救Ｑ隊ＯＫ」を改定したものである。
  

特約ＫＩＮＧ

• 「救Ｑ隊ＯＫ」とは、従来の災害・医療関係特約パッケージである「救Ｑ隊21」が、「入院治療重点保障特約」の新発売に伴って改称されたものであった。
  「入院治療重点保障特約」には、４日分の入院給付が一時に支払われる「入院初期重点給付金」と、従来の「疾病医療特約(01)」では支払対象外であった扁桃腺や乳腺腫瘍(良性)などの手術が入院を伴う場合には保障される「入院時手術給付金」がある。
  
  
• 「救Ｑ隊ＯＫ」の「入院治療重点保障特約」は「災害入院特約(01)」「疾病医療特約(01)」と同時に付加することが条件であり、単独で加入できないならば独立して存在する意味も無く、特約体系を複雑にしていたようだ。
  
  
• また、「救Ｑ隊ＯＫ」の手術保障は「成人病医療特約(01)」「女性疾病医療特約(01)」「がん入院特約(ドクターＯＫ専用)」の三つに分別された給付であり、手術を受けたが付加している特約では支払対象外‥というケースもあり、かと言って全部付加すれば重複が生じる等、課題点もあっただろう。
  
  
• 「救Ｑ隊ＫＩＮＧ」の「総合医療特約」は、「救Ｑ隊ＯＫ」において基本セットであった「入院治療重点保障特約」「災害入院特約(01)」「疾病医療特約(01)」を統合し、手術給付を公的医療保険に連動し分別せず同一の特約において保障するものである。
  こうして、「救Ｑ隊ＯＫ」は簡素に改定され「救Ｑ隊ＫＩＮＧ」となったのだ。
  

単品ＫＩＮＧ

• 時代背景や顧客の希望を反映して「救Ｑ隊ＫＩＮＧ」および「ドクターＫＩＮＧ」が発売されたことは、さほど突出した出来事ではないだろう。
  
  しかし、この「ドクターＫＩＮＧ」の改定前の商品であった「ドクターＯＫ」の発売に遡ると、国内の生命保険会社や損害保険会社に対し大きな影響力をがあったと思われる。
  
  
• 「ドクターＯＫ」とは、災害・医療関係特約パッケージである「救Ｑ隊ＯＫ」を単品の「医療保険」の形にしたもので、解約返戻金と死亡保険金が無く医療保障に特化した商品である。
  
  2001年の第三分野単品保険解禁以降、国内大手生命保険会社である「住友生命」が、「終身保険」や「定期保険」の「医療特約」ではなく単品の「医療保険」を発売したのだ。
  
  
• 「ドクターＯＫ」発売の翌2005年、4月に国内最古参・明治安田生命が40歳〜70歳を対象に「医療保険 ＭＹどっく」を、9月に国内最大手・日本生命が50歳〜74歳を対象に「医療名人 ＥＸ」を発売した。
  どちらも中高年層向けではあるが、単品の「医療保険」である。
  
  
• そして、「救Ｑ隊ＯＫ」の「入院時手術給付金」をはじめとして、「住友生命」は…2003年に介護関係特約における「早期ケア給付金」・2005年に治療中の病気や治療歴のある病気が保障される「限定告知型終身保険」および「医療特約」・2007年に「がん長期サポート保険金」が支払われる「がん長期サポート特約」を、いずれも業界初で世に送り出した。
  
  
• 第三分野単品保険の分野における「住友生命」は、『介護と医療のスミセイ』を冠に、国内最大手と国内最古参を従えた《ＫＩＮＧ》のような存在なのかもしれない。