この稿の筆者によるオリジナル算出です。
カリスマ式 入院必要保障額計算法1/2 少々オーバーなタイトルですが、オリジナル性を他と区別するために名前を付けます。
死亡保障額に関しては、「必要保障額」という考え方が存在します。
一般的には生活費(住宅費・教育費を除く)と教育費・住宅費・死後整理費用(葬儀・相続など)を合計したものが死亡の必要額になります。
しかし、入院保障の日額については、「必要保障額という概念」は漠然としたものしか聞いたことがありません。
理由はいろいろ考えられますが、「個人の考え方」だからという部分があるのと具体的試算をしていない場合が多いのではと推測いたします。特に「所得補償」の考え方と自動継続の有り無しの重要性は専門家でもまだ認知度が低いようです。
具体的な計算方法、具体的試算結果を示したものがないので、今回「必要入院保障額の日額」についての計算方法をできるだけ論理的に提案し、具体的な試算結果を付けます。
また、誤解されているのは死亡保険の必要補償額が年齢・家族状況によって変わっていくように入院費用の必要金額も変わっていきます。終身医療保険を単独で選ぶよりは組み合わせたほうが一般的には無駄な保障が減ります。
また、死亡保障も同様ですが、必要保障額は目安であって絶対的に正しいということではありません。予算にゆとりがある場合に貯蓄・生活費の変動を少なくする場合には日額にゆとりを持ってもよいでしょう。
カリスマ式計算方法のポイントは必要な時期に合わせてプラス要素とマイナス要素を整理することです。
計算方法の前に入院保障の不要なケースを先に書きます。
(がんなどは除く通常の入院で考えます。がんは別の機会に書きます。)
入院費用の経済負担< (入院時の収入―生活費(住宅ローンなどを含む))
具体的にはどういう方が対象になるかというと
- 会社役員または不動産収入などで入院しても収入がある
- 奥さんの収入があるかまたは、ご主人の代わりができる(逆もあります)
- 会社員・公務員の方が傷病手当金(標準報酬日額の6割を 1年半まで)で生活できる
- 年金収入だが医療費負担が少ない場合
必ずしも高収入者とは限りません。
また、いくらの貯蓄があれば保険が不要かという目安としては差額ベッドを考慮しない場合は
高額療養費制度の自己負担分1年から最大3年程度
一般の収入(高位所得者でない場合)
1年分の目安 約 60万円(72300円×3+40200円×9=578,700円)
3年分の目安 約155万円(72300円×3+40200円×33=1,543,500円)
通常の医療保険でも1入院の最大は3年が限度です。
一般的には100万円前後の生活に困らない貯蓄があれば保険から貯蓄へ切り替えるひとつの目安でしょう。収入の保証は別に必要と考えてください。
繰り返しの入院等について考えると実際にはがんや精神疾患の確率が高くなります。また重い後遺障害については国民年金なら1級2級が対象、共済年金・厚生年金なら1級から3級までが対象です。
私の知る範囲でこの部分を終身保障する民間の商品はまだありません。
国からの保障があるということを覚えて置いてください。国民年金の不払い期間が1/3以上あると対象外ですので注意してください。
次に多いと考えられるのは、まとまった貯蓄が貯まるまで、または定年時の退職金を受け取るまでは定期医療保険等で対応、その後は貯蓄で対応するケースでしょう。直接の保険料は少ない方法です。先に計算した100万円程度以上がひとつの目安となります。老後の生活費はどなたにとっても必要な資金ですし、介護の場合にも使えます。
会社員が年金生活に入って場合、収入の心配は不要になります。
入院日額の必要保障額を計算するために考慮する主な内容は(月単位)
- A.「入院に関わる直接費用」
- B.「差額ベッド費用(基本は希望者のみが必要)」
- C.「入院に関わる間接費用・治療以外の費用」
- D.「生活費の不足分(収入の減少の有無および金額―傷病手当金)」
- E.「高額療養費制度(老人医療などの社会保障をも含む)」
- F.入院により減る出費(レジャー費・外食・旅行・お酒など)
- G.「貯蓄金額(入院時の間接費用を貯蓄で対応できる部分)」
- H.「将来の物価上昇・健康保険制度の改定についての見込み」
注意…Dについて…有職者の場合は公務員、会社員、入院時に収入が無くなる自営業か収入のある自営業かを考慮。住宅ローン、開業資金のローン、なども含めて生活費がいくら不足するか計算する。
その他に考慮する項目としては公務員、企業によっては医療費や所得の補償制度がある場合は考慮が必要になります。基本的に入院時に増化要因と減少要因とを整理して応用も必要です。
治療以外の費用の例として
食事代(日額780円-実際の食費日額)、家族の見舞いの交通費、病院内の費用(TVなど)
収入については基本的には「所得補償保険(自動継続可能なもの(更新時に条件がつかないもの)」を組み合わせるのが割安な選択ですが、「精神疾患が不担保」という部分が心配であれば「定年または住宅ローン終了までの長期入院対応の医療保険」を所得補償の代用として組み合わせると良いでしょう。
がんの場合については別の機会に述べます。
入院日額の必要額の基本式(健康保険を使った診療)
- 必要入院日額=(プラス要因―マイナス要因)÷30日
- プラス要因=(A+B+C+D+(H))
- マイナス要因=(E+F+G+(H))
Hのインフレ・社会保障は制度の変更によりプラス要因にもマイナス要因にもなりますが、確率としてはプラス要因になることが多いでしょう。
この計算方法では細かい部分ではプラス要因やマイナス要因の追加とインフレなどを修正する費用がでてくると予想しますが、少なくとも一律に平均いくらかかったというより収入の有無の整理、差額ベッド、社会保障を考慮した計算ができるようになると考えます。
また、お見舞いとして受け取ったり退院のお祝い返しなどは通常は1回だけなので、貯蓄等からの一時的出費として考えるのが一般的と考えられます。予想される間接出費が多く貯蓄で対応できない場合は定期医療保険などの組み合わせもあります。
カリスマ式計算方法では差額ベッドを必要とせず、所得については別の保険に加入する前提であれば多くの方は日額2500円程度も良いという結果になります。
老人医療の対象者では日額1400円程度でも良いということになりますが、制度変更のリスクは多少ゆとりを持っておいた方が良いでしょう。
変則的な対応として、免責期間を長くして30日や60日の入院は貯蓄で対応ということも考えられますが、今の段階では通常のケースを数字で示したいと考えます。
下の図は年齢により入院日額が変わるのをイメージ図にしたものです。
具体的な例を次の原稿で計算してみます。 次へ続く入院保障の必要保障額…その2
2006年7月
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