AAA(あの・アカラックスの・アクチュアリー の)本音のアドバイス
200410 解約返戻金の話
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AAA−本音のアドバイス…目次
前回まで保険料を計算し、それで収支が合っているかどうか、儲かっているか損しているか判断するために責任準備金を計算し、それを使って儲かっていることがわかったら、その一部を契約者に還元するという所まで話しました。今までの話は契約が順調に継続している場合の話です。生命保険は何十年にもわたる長期の契約ですから、その間様々な状況の変化が予想できます。
保険契約をやめる場合 保険料が払えなくなった・保障が必要なくなった・他の契約に入ったのでこの契約はいらなくなった等々。本来的な契約の終期は何年も先なのに、それを待たずに契約を終了させることがあります。一般に保険契約の場合、この契約を終了させる権利は契約者の方に一方的に与えられています。契
約者はいつでも自由に契約をやめることができる。保険会社は基本的に勝手に契約をやめることができない。こうなっています。逆ざやの契約を勝手にやめることができないため、保険会社は知恵を絞って目先を変え、何とか契約を転換させようと苦心するわけです。
解約返戻金の考え方 さてそのような、契約をやめてしまう時、今まで払ってきた保険料のうち、将来の支払のために留保してきた積立金はどうなってしまうのでしょうか。
ここでの考え方は、死亡の場合の考え方と基本的に同じです。いくつかの契約が解約されても、残った契約の全体的な将来の死亡率が契約が解約されなかった場合の死亡率と変わらないのであれば、全体の責任準備金を全契約で頭割りした1契約あたりの責任準備金を、残った契約の分だけ合計した額の責任準備金が保険会社に用意されていれば、それ(と残った契約から今後入ってくる保険料)で将来の保険金の支払ができるということです。
言い直せば、全体の責任準備金を頭割りして、残った人の分がそのまま留保されていれば、解約する契約の分の責任準備金は余るということになります。
この余りを解約する契約の契約者にそのまま返すとすると、これが解約返戻金になります。 まるまる返すのでなく、ちょっとだけ減らして返すというやり方もあります。減らす分については、たとえば返すのに手間がかかるとか、株や債券を売却して返すお金を用意するのにコストがかかるとか、病気の人や死にそうな人はあまり契約を解約しないから、健康な人がどちらかといえば解約する。
そのため残った人の死亡率はやはりちょっと高めになってしまうとか、少しでも減らしておけばやめる人が減るかも知れないとか、世のため人のため保険会社のためとか、色々な理屈づけがあります。
これを全く返さないで会社の儲けにしてしまうとか、残った契約者全員のための積立金に入れてしまうというやり方もあります。この場合はその分、もともとの保険料を安くすることができます。「解約返戻金は少ないけれど(あるいはないけれど)、その分保険料をお安くしときます。どっちでもお好きな方を選んで下さい。」というわけです。
ふつう保険の基本的な給付というと、保険金や給付金のことで、その給付のために保険料を払うと考えるのですが、やはり解約返戻金も給付の一つとして保険金や給付金と同様に考える必要があります。
即ち保険金や給付金・解約返戻金を受取ることができる、そのために保険料を支払う、その受け取るものと支払う保険料を見比べて、納得できる値段かどうか考えるということが必要なのでしょう。
日本では従来、保険料や責任準備金を計算する時に契約が解約されることを想定しないというやり方が長く続きました。契約が解約されないのであれば、解約返戻金のことは考える必要がないわけです。
解約返戻金を考えないで責任準備金のことだけ考えて、その上で、とはいえ解約する契約は当然あるのでその時の返戻金として、解約返戻金を責任準備金よりちょっとだけ少ない額に決めてきたわけです。このような保険会社の考え方がいつの間にか消費者のほうにも知れ渡って、契約者の方でも保険に入るのは保険金や給付金を貰うためで、解約返戻金を貰うために保険に入るというのがちょっと後ろめたいような雰囲気になっていました。
でもここで説明したように、解約返戻金も保険の給付の重要な要素です。これをしっかりと「給付」と位置付けて評価することが必要になってきています。保険会社の経営でも実はもう、解約返戻金の支払いは給付の重要な一部だという考えが浸透しつつあります。また、会社が契約者となる経営者保険などでは解約返戻金が重要な給付として考えられています。
今まで何回かに分けて説明したように、保険会社は会社のため・契約者のため(順序を逆にしてはいけません)に、会社が赤字にならないような範囲でできるだけ安い保険料を計算しますが、それはあくまで売り手の論理です。
買い手の方はそれとは別に、自分のものになる保険金・給付金・解約返戻金がどれだけの価値があり、支払う保険料がそれと比べて高いか安いか、高くても買う値打ちがあるか、安くても買う価値がないものか、しっかりと見極める必要があるでしょう。
保険料の計算から責任準備金、配当金、解約返戻金の計算で保険会社の側の値段の計算の話は一段落です。以上を踏まえ、次回からはもう少し具体的な話を取り上げてみましょう。
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この情報は公開情報と独自調査によります。発売元保険会社のパンフレットや約款等によりご確認ください。
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