保険料が半分になるのが女の幸せ!?
最近オリックスの「CURE」に押され気味ですが、60歳(または65歳)で保険料が半額になるという理由で人気が高いアフラックの「EVER HALF」。
前回の「40年後の・・・」で書きましたように、敢えて保険料を払い続けて保険会社に永久に保全させるには、少ない保険料を払い続けるこの「EVER HALF」は有効です。
そこで、今回はこの「EVER HALF」に対抗してつくられたと思われるチューリッヒ生命の「女(男)の幸せって何?」の終身医療保険(ハーフタイプ)がバージョンアップしましたので紹介したいと思います。
これまでの「女(男)の幸せって何?」は1入院で保障される日数は30日まででしたが、今回新しく60日型と90日型が登場しました。
終身医療保険比較 (日額1万円 60歳以降保険料半額) 年齢 | アフラック(男) | チューリッヒ生命 「男の幸せって何?」 | EVER HALF | 30日型 | 60日型 | 90日型 | 30 | 3,820 | 3,820 | 4,670 | 5,100 | 35 | 4,340 | 4,270 | 5,410 | 5,940 | 40 | 5,100 | 5,190 | 6,410 | 7,050 | 45 | 6,200 | 6,290 | 7,810 | 8,610 | 50 | 7,920 | 7,900 | 9,840 | 10,850 |
年齢 | アフラック(女) | チューリッヒ生命 「女の幸せって何?」 | EVER HALF | 30日型 | 60日型 | 90日型 | 30 | 3,900 | 3,910 | 4,680 | 5,100 | 35 | 4,500 | 4,370 | 5,290 | 5,790 | 40 | 5,340 | 5,020 | 6,150 | 6,760 | 45 | 6,580 | 5,970 | 7,380 | 8,160 | 50 | 8,480 | 7,400 | 9,230 | 10,240 |
- アフラックは特約なし、チューリッヒは一番シンプルなウエルカムプラン
- アフラックのケガ入院は90歳まで、チューリッヒは一生涯
- アフラックの1入院は60日まで保障(チューリッヒ60日型と類似)
ピックアップしたのは、特約等何もつけない一番シンプルな設定です。 保障内容としては、アフラックの「EVER HALF」のケガによる入院が90歳までであること以外は同じです。 (通算入院日数はアフラック1000日、チューリッヒ700日です)
表を見ていただければわかりますが、「EVER HALF」の保険料と「女(男)の幸せって何?」の従来の30日型の保険料がほぼ同じぐらいになります。 (高齢になるほど女性の保険料に差がついて来ますが)
ただ、「EVER HALF」と同じ60日型で比べた場合、「女(男)の幸せって何?」の方がかなり割高になってしまいます。
OEMだから割安であるとは限らない? 流通業界において、イオンのトップバリュやダイエーのセイビングなど流通業者がメーカーに独自製造を委託することをOEMといいますが、今回ご紹介した「女(男)の幸せって何?」は、大手代理店の□(販売・流通業者)がチューリッヒ生命(メーカー)に委託してつくられた商品です。
おそらく、保険業界で現在唯一のOEM商品ではないかと思われますが、「保険の流通革命」をスローガンとする□の面目躍如です。
しかし、セイビングのケチャップがカゴメのそれと中身がほぼかわらない(?)のに、2割ほど値段が安い、と同じようになっているのでしょうか?
残念ながら、中身が半分(60日と30日)で同じぐらいの値段、あるいは中身が同じぐらい(60日で比較)で2割増の値段・・・となってしまっています。
□においては、過去に大和生命からOEM供給を受けた「お守りがわり」という商品がありました。
その「お守りがわり」を販売促進する際に、10年更新で1入院45日型の同商品とアフラックのEVER(終身型で1入院60日)の保険料を同性、同年齢で比べる社内資料を作成して目先の保険料が割安であることを強調するなど、かなりきわどいことをしていた事実があります。(保険業法 第300条の6参照)
そのためかどうか定かでありませんが、この「お守りがわり」は発売後1年と持たず販売中止となり、同社のIRからも抹消されております。
発売当初、かなり大々的に打ち出しをしていたようですが、なぜ販売中止になったのか全く事情説明がありません(上場企業としての「説明責任」はいずこ・・・)ので、販売不振によるものなのか、不適切な販売方法を隠蔽するためなのか、他に理由があるのか推測の域を出ません。
このような経緯がありましたので、その教訓を生かしたものが開発されるのでは、と今回は少々期待した部分もあったのですが、見事に裏切られました。
ただ、保険流通を変える、そのひとつの方法としてOEM商品の開発等の力技は、現在のところ代理店としては□ぐらいしか実現できる可能性はないように見えますので、頑張って欲しいところです。
かしこい消費者としては・・ 教訓としては、生命保険に関しては、過去にも書きましたよう(「生命保険の通販は本当に安いのか?」)に安易に通販であるとか、今回のようにセイビングのケチャップと同じ感覚で「OEMだから割安だろう」と購入してしまわないことです。
同じ保険料負担であるとして、「1入院60日で通算1000日でケガについては90歳まで」と「1入院30日で通算700日でケガについても一生涯」でどちらを選ぶか・・・冷静に考えてみる必要があります。
セイビングのケチャップが「イマイチだな」と思えば、次回は少々高くてもカゴメを買えばすみますが、生命保険、特に一生涯の入院保険を購入する場合はそうは行きません。
同じ保険料を払って1回の入院で保障される入院日数が半分しかないことに気付き、切り替えようとしても健康状態によっては不可能になってしまいます。
保険料が半分になる商品なら何でも女の幸せ・・・になるとは限らないようです。
2007年2月
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