長期入院対応の医療保険 平成19年4月の改定 平成19年4月に各生命保険会社で保険料改定が行われました。長寿を反映した結果、主に死亡保険の保険料が下げられる傾向が見られました。
その陰で、長期間保障対象となる医療保険の保険料を値下げした会社も出てきましたがあまり話題に上らないようですので記事にしてみます。
医療保険には1入院限度日数が定められておりますが、安さを売り物にする医療保険は1入院30日型〜60日型が多いのはご存知の通りです。
また、これらの保険の普及に伴い、実際の入院日数が減ってきたと言う認識の方も増えてきました。 1入院の支払限度日数が短いほうが保険料が安く、長くなるほうが保険料が高くなる傾向にありますので、どちらかと言うと1入院限度の日数が長い保険を敬遠する向きもあるように思います。
ここで念の為に整理したいのが、厚生労働省が発表している平均在院日数です。 平成17年の全ての入院の平均入院日数は36.3日です。(厚生労働省平成17年医療施設(動態)調査・病院報告の概況より)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/05/kekka2-3.html
毎年平均入院日数が減少しているのがよく分かります。 ただ、詳細に書かれているのもうちょっと見てみましょう。
病床別平均入院日数
- 感染症病床 9.8日
- 一般病床 19.8日
- 結核病床 71.9日
- 療養病床 172.8日
- 精神病床 327.2日
上記5つの病床区分があり、病床ごとに大きく入院日数が異なるのが分かります。これを単純に平均してしまった数字を保険会社のパンフレットでよく見かけないでしょうか。
大半の方が病気や怪我で入院すると言えば一般病床に入りますので、実態としては36.3日の全平均よりもかなり短いと言えます。
一方、急性期を脱した患者が退院を勧告されたものの、体力の回復を図るために移るのが療養病床です。医療保険では同じ病気や怪我を原因とする再入院は180日間離れていないと1入院限度日数の範疇に入るので、一般病床から療養病床に移るような場合には60日型の医療保険では足りないと言われます。もっとも、療養病床の平均入院日数を引き上げているのは病院にいる必要が無いものの行き先が無いので居座るといういわゆる社会的入院が影響しています。
このため、社会的入院排除を目的に厚生労働省では現在38万病床ある療養病床を2012年までに15万病床に削減する事を打ち出しています。(社会的入院の受け入れ先は介護施設が適当という判断です。)現在の療養病床の平均日数172.8日は2012年以降減ることとなる事は間違いなさそうです。
一般病床の入院だけで済み、その後通院治療となった方は1入院限度日数が短い医療保険でも十分カバーできたと言えますし、一般病床から療養病床へ移った方や何かしらの精神疾患を患った方は1入院限度の長い医療保険の方が良かったと言えるかもしれません。(やはり答えが出るのは何十年も先になりそうです。)
長期療養が減るにつれ長期療養こそが医療分野の「万一」に相当するのかもしれません。例えば日額10000円の医療保険を考えた場合、日額5000円〜7000円位を60日型で、日額3000円〜日額5000円位を1入院限度が長い保険にしてみるのも検討する必要があるかもしれません。 日額5000円と言うのは月額に直せば15万円です。
医療費の他に生活費の工面が必要な場合は医療保険を休業補償代わりに検討する方もいます。この場合、長期の休業状態での家計の悪化を防ぐために別な観点で医療保険を見ることもできます。
さて、1入院限度日数の長い保険の保険料を引き下げた会社が有ることは冒頭に述べました。
具体的に内容を見る事で、費用対効果が分かりやすくなってきます。非常に高額の保険料であれば検討するに値しませんが、この記事を読まれた方はどの様に感じるでしょうか。
ちなみに、終身保障・終身払いで試算していますが、将来一般病床以外も短期化されてくるともっと割安な保険が登場してくる可能性もあります。毎月のコスト(保険料)が低いので終身払いで登場を待つ、将来見直すと考えるのも一案と思う次第です。
細部まで記載できませんので、一概に高い安いだけでは考えられない面もありますが、1入院360日型よりも1入院1095日型が割安と言うのも面白いものです。
保険会社 | あんしん生命 | AIGエジソン | 日本生命 | アリコ | 商品名 | メディカルミニ | 医療保険 | 医療名人EX | 終身医療保険 | 入院日額 | 5000円 | 5000円 | 5000円 | 5000円 | 手術給付 | 10・20・40倍 | 10・20・40倍 | 10・20・40倍 | 10・20・40倍 | その他手術 | - | - | 5倍 | - | 1入院限度日数 | 360日 | 365日 | 365日 | 730日 | 総入院限度日数 | 730日 | 1000日 | 1095日 | 730日 | 短期入院 | 0泊 | 1泊2日 | 1泊2日 | 1泊2日 | | | | | | 20歳男性 | 2,510 | 2,700 | - | 2,670 | 30歳男性 | 3,125 | 3,595 | - | 3,405 | 40歳男性 | 3,995 | 5,110 | - | 4,770 | 50歳男性 | 5,725 | 7,670 | 7,775 | 7,085 | 60歳男性 | 8,490 | 11,785 | 10,990 | 10,765 | 70歳男性 | 13,355 | 18,845 | 16,100 | 14,580 | | | | | | 20歳女性 | 2,640 | 2,970 | - | 2,650 | 30歳女性 | 3,315 | 4,065 | - | 3,510 | 40歳女性 | 4,265 | 5,905 | - | 5,050 | 50歳女性 | 6,060 | 8,915 | 7,775 | 7,660 | 60歳女性 | 8,820 | 13,530 | 10,990 | 11,735 | 70歳女性 | 13,380 | 21,055 | 16,100 | 13,450 | | | | | | 保険会社 | ソニー | ひまわり生命 | 日本興亜 | - | 商品名 | 総合医療保険 | 新終身医療保険 | 終身医療保険 | - | 入院日額 | 5000円 | 5000円 | 5000円 | - | 手術給付 | 10・20・40倍 | 10・20・40倍 | 10・20・40倍 | - | その他手術 | - | 5倍 | - | - | 1入院限度日数 | 730日 | 1000日 | 1095日 | - | 総入院限度日数 | 1000日 | 1000日 | 1095日 | - | 短期入院 | 1泊2日 | 1泊2日 | 1泊2日 | - | | | | | - | 20歳男性 | 2,280 | 3,200 | 2,150 | - | 30歳男性 | 2,860 | 4,015 | 2,845 | - | 40歳男性 | 3,825 | 5,415 | 4,050 | - | 50歳男性 | 5,430 | 7,725 | 5,950 | - | 60歳男性 | 8,050 | 11,085 | 8,590 | - | 70歳男性 | 11,980 | 16,760 | - | - | | | | | - | 20歳女性 | 2,485 | 3,320 | 2,295 | - | 30歳女性 | 2,880 | 4,260 | 2,845 | - | 40歳女性 | 3,590 | 5,845 | 3,770 | - | 50歳女性 | 5,020 | 8,420 | 5,465 | - | 60歳女性 | 7,390 | 12,050 | 8,105 | - | 70歳女性 | 11,305 | 17,955 | - | - |
2007年6月
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