一入院日数の設定はどうすればいいのか?!入院保障の考え方一部のFPや書籍を出版している関係者らにおいて、「医療保険は不要で貯蓄で賄うのが合理的」と極論を述べる方々がいらっしゃいます。
「100万円ほど貯金があれば医療保険など不要で、その貯金で医療費は賄えるし、保険料との収支を考えたら明らかに損をするケースがほとんど」と言い切る論調です。
机上の数字合わせでは全く正しいことは認めますが、現実的には一般論とするにはかなり無理があると思います。
高額医療制度があり、保険適用内であれば高額な医療措置を受けても月の負担が8万円前後ですむことを考慮しても、仕事によっては収入減になる(非正規雇用の場合特に)ことや、治療費以外の出費があること、なにより現在ある貯蓄が減ってしまうことを考えると、机上で数字の上で損をするとしても「医療保険は不要」と言い切るのは暴言に近いと感じます。
また、それ以前に貯蓄が100万円あったとして、これは医療保険のためだからと言って、車の買い替えや薄型TV、またはお子様の教育費や自宅のリフォームに回さないでいられるでしょうか?
つまり、常時100万円のお金を遊ばせていられる方にしか通用しない理屈ではないかと思います。
私たち一般の庶民は限られた生活資源の中で保険を合理的に(数字の差し引きだけでなく)活用することを考えるのが得策であると考えます。
ただ、「医療保険不要論者」は長期入院については保障を考えるべきであるとも述べています。
ある一定の範囲であれば貯蓄で賄えるが、それを超えるリスクについては保険を活用することが合理的ということのようです。
また一方では、以前より入院の日数が短くなっていると言われて久しいですが、それに伴い医療保険(入院保障)の設定日数の主流は旧来の120日型から60日型に定着しております。
先日アメリカンホームダイレクトから「みんなのほすピタる プチシリーズ」が発売されました。
そこで今回は入院保障の日数や免責について検証したいと思います。
今回取り上げるのはアメリカンホームの「プチシリーズ」とおなじみのアフラックの「新EVER」、それと長期入院を付保する同じくアメリカンホームの「入院ing365」です。
A 終身医療保険30日型と60日型の比較(支払期間終身) | 月保険料 | アメリカンホーム みんなのほすピタる プチシリーズ
| アフラック 新EVER ベースプラン
| 男性・年齢 | 30 | 3,120 | 3,280 | 35 | 3,680 | 3,750 | 40 | 4,350 | 4,370 | 45 | 5,210 | 5,160 | 50 | 6,330 | 6,190 | 55 | 7,740 | 7,510 | 60 | 9,380 | 9,150 | 65 | 11,185 | 11,260 | 70 | 13,230 | 13,870 | | 女性・年齢 | | 30 | 2,815 | 3,370 | 35 | 3,190 | 3,610 | 40 | 3,730 | 3,970 | 45 | 4,405 | 4,510 | 50 | 5,210 | 5,220 | 55 | 6,200 | 6,170 | 60 | 7,425 | 7,400 | 65 | 8,885 | 8,980 | 70 | 10,480 | 10,970 | | 一入院日数 | 30日 | 60日 | 手術給付 | 5,10,20万円 | 5,10,40万円 | 退院給付 | 5万円 | なし | 放射線治療 | なし | 10万円 | 先進医療 | なし | 10万円 | 通算日数 | 1000日 | 1095日 | ※「みんなのほすピタる」の手術給付はオプション B 10年更新医療保険 免責30日型と60日型の比較
| 月保険料
| アメリカンホーム ザ・医療保険 入院ing365(31日〜)
| アメリカンホーム ザ・医療保険 入院ing365(61日〜)
| 年齢 | 30 | 1,599 | 1,145 | 35 | 1,889 | 1,243 | 40 | 2,340 | 1,652 | 45 | 3,045 | 2,127 | 50 | 4,070 | 2,817 | 55 | 5,520 | 3,811 | 60 | 7,512 | 5,193 | | 一入院日数 | 31日〜365日 | 61日〜365日 | 入院給付金 | 3万円 | 3万円 | 退院給付金 | 5千円(45日まで) | 5千円(45日まで) | 賠償責任 | 5000万円 | 5000万円 | 通算日数 | 1000日(継続含む) | 1000日(継続含む) | ※継続する場合10年ごとに保険料が上がります |
表Aにて30日型と60日型を比較しております。
「プチシリーズ」においては条件が近くなるように手術給付のオプションをつけて比較しましたが、保険料はほとんど変わらず、男性であれば40代後半から60歳ぐらい、女性は50代後半から60歳ぐらいの期間は一入院60日の「新EVER」の方が保険料は安くなってしまいます。
「プチシリーズ」のアドバンテージは「20日以上入院したあとの退院給付5万円」ですが、入院日数の差を埋めることはできません。
長期入院のみ保障の医療保険は使えるか? 表Bでは「入院ing365」提示しております。
概要は入院が30日または60日までは担保されず、それを超えた日数分に日額を掛けた金額が給付金となります。
例えば、1ヶ月(30日)ならば有給などの消化で収入は下がらない見込みがあるが、それ以上だと大変なことになると思われる方は30日免責を選ぶのもありかと思います。
しかしながら、10年更新タイプなので年齢が上がるとそれなりに保険料がアップしますので、それは考慮する必要があります。
ただ活用法としてはリタイアするまでと考えれば、「長期入院による収入減を補填」といる役割は不要となりますので、一考の余地はあるかもしれません。
まとめ 入院保障の日数の設定はいろいろな意見があります。
「入院日数は短くなっているのだから設定は短くていい」というものと、「通常の入院は貯蓄で賄えるので不要、必要あるとしたら長期になった場合のみの保障」という短期VS長期の2つの考え方です。
保険商品で検証すると、超短期である「プチシリーズ」は明らかに合理的ではないことがわかりました。
長期のみも期間限定で使えることがあると思いますが、入院保険の収入保障としての側面、生活資源に対する影響を鑑みると、現状の60日程度の日数設定で、1ヶ月入院したら数十万円程度給付される保障が無難ではないでしょうか。
たとえ入院保障において、収支のバランスを見て支出が多くなったとしても貯金が大きく目減りしたり、それにより不安にならないようにすることが大事ではないかと思います。
2010年2月
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