勝手に生命保険検定4 解答と解説
前回出題させていただきました「勝手に生命保険検定4」の解答と解説です。 全問正解の答案用紙を送っていただいた方がおり、今回簡単過ぎたのではないかと反省しております。
1.生命保険の基本である定期保険で30年間一定の金額の保障を設定したが、最終的に掛け捨てになった場合、保険料負担が大きくなる順番に並べなさい。
A. 10年定期保険(10年ごとに更新)
B. 1年定期保険(毎年更新)
C. 30年定期保険(解約返戻金なし、更新なし)
答え:B、A、C
解説 当初の保険料はBの「1年定期保険(毎年更新)」がいちばん安くなり、Cの「30年定期保険」がいちばん高くなります。
しかし大手国内生保の割高な保険料の10年定期でなければ10年を過ぎたあたりでB>Aとなります。 10年定期と30年定期を比べた場合、10年定期の2回目の更新の保険料が大幅にアップしてトータルでA>Cとなります。
1年定期はある意味ではいちばん合理的な保険だと思います。 毎年その時の年齢にて保険料を算出して付保するわけですがから無駄がないのは確かなのですが、割引もありません。
30年定期保険の場合は、1年定期であれば毎年上がって行く保険料を平準化して、始めのうちは保険料を大目にいただくようになっています。
大目にいただいた分は「責任準備金」として積み立てて将来の保険料が高くなる、つまり死亡率が高くなる時のために備えるしくみですね。
その「責任準備金」のほとんどは解約されればお客様にお返しする「解約返戻金」の原資になるのですが、今回出題したのは「C. 30年定期保険(解約返戻金なし、更新なし)」ですので、責任準備金は積んでいるもののお客様が解約しても返さない(解約返戻金なし)商品なので保険料の割引があります。
また、保険会社も金融機関ですので当然資産の運用は行っており、長期間であればそれを織り込んで、その面でも多少の割引があります。
逆の立場で考えてみるとわかります。
住宅ローンを借りる場合、短期より長期の方が金利は高くなります。
生命保険の加入はその逆で短期より長期の方は割引が効きます。 30年間同じ保障額を継続するとBではとんでもなく高い保険料になってしまい、「毎年見直しして保険料を調整(減額)」しても保険料の負担はかなり重くなるのでまったくお勧めできません。
2.生命保険会社の破綻についての認識について正しいものをひとつ選びなさい
A.これから生命保険に加入する際、将来保険会社が破綻した場合影響が大きいので、ソルベンシーマージン比率など吟味して慎重に保険会社を選んで加入する。
B.国内の生命保険会社は国によって万一の場合保護されるので安心であるが、外資系についての破綻や撤退については保護される部分が限定されるので慎重に選ぶ必要がある。
C.10年以上前に加入した生命保険については、商品により保険会社が破綻した際の影響が大きいので、場合によっては対策を打つ必要がある。
答え:C
解説 Aについては、「将来保険会社が破綻した場合影響が大きい」とありますが、現在の予定利率は史上最低ですので、まったく影響がないわけではありませんが、他の保険会社に救済されてほぼ既存の保障内容は維持されます。 Bについては、「外資系についての破綻や撤退については保護される部分が限定される」とありますが、国内と外資で保護される内容に違いはありません。
国が保険契約の責任準備金の90%を保護するのはどちらも同じです。
生命保険の破たんについて気をつけなければならないのは、Cで示しているように現状より予定利率が高い時期に加入したもので、特に終身、養老、年金などの貯蓄性が高い商品における影響が大きくなります。
原則的に日本の国家が破たんするか関係性の高い法律が変わらない限り、新規で加入する生命保険については、万一保険会社が破たんしても商品内容はほとんど変わらず救済した保険会社が引き継ぐと考えていいかと思います。
3.「無事故給付金」について間違っているものをひとつ選びなさい。
A.入院、手術などで給付された場合、該当する保険料は掛け捨てになってしまいますのでメリットが薄い。
B.保険会社の運用が上手く行けばメリットが出る。
C.「無事故給付金」が支払われたとしても、その部分の保険料は通常の保険料に上乗せされているだけなのでメリットは極めて薄い。
答え:B
解説
Aの「該当する保険料」というのは無事故給付金に充当される保険料のことです。 この商品は変額タイプでもなく、有配当タイプでないのでいくら保険会社が運用で儲けても保険契約者に1円たりとも余計な給付は発生しません。 この手の商品はどこから見ても損してしまいますので避けて通るのが賢明です。
4.15年以上前に加入している終身保険や年金保険など貯蓄性のある、所謂「お宝保険」に加入している場合、今後の保険料の支払い負担を軽減するための処置で間違っているものをひとつ選びなさい。
A.契約を一旦解約して、その解約返戻金を頭金など一時金として活用して、支払える保険料の範囲内でより条件が良い保険商品に改めて加入する。
B.既存の保障額を減額して保険料を支払える範囲に抑えて、契約は継続する。
C.保障額を下げて保険料の支払をストップする「払い済み保険」にして、契約は継続する
答え:A
解説 「払い済み」や「減額」について記述しているものですが、「一旦解約」してしまうと「払い済み」にも「減額」にもならず、ただの新規契約になってしまい「お宝保険」ではなくなってしまいます。
Aを実行していまうと、お宝保険として高い予定利率は現在の史上最低のものになることと、当然年齢が上がっていますので保険料もアップしますし、健康状態が思わしくなければそもそも新規加入はできないか、条件付きになります。
黒い保険営業マンが言葉巧みに他社契約から自社契約に乗り換えさせるための事例となりますので充分に注意が必要です。
5.大手国内生保に加入しているメリットで間違っているものをひとつ選びなさい。
A.大国内手生保については「大きすぎてつぶせない」ため、国により万一の場合の保護が100%あるので安心である。
B.ネームバリューがあり、誰でも名前は知っているので安心感がある。
C.多少(かなり?)高い保険料を支払っていても、CMや大きなイベントの冠スポンサーをやっているので優越感がある。
答え:A
解説 問題2と同じように、国内だろうと外資だろうと100%保護ではなく「責任準備金の90%が保護される」のは同じです。
「大きすぎてつぶせない」という側面が確かにあると思いますが、既存の保険契約を引き受けてくれるところがあれば、つぶさない理由はないはずです。
大手国内生保に加入しているメリットは、誰でも知っている会社であり、どうでもいい優越感にひたれるだけというのは言い過ぎでしょうか?
(管理人の注釈…人にはいろいろな考え方があります…)
2010年7月
|