低解約返戻金型終身保険節税

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低解約返戻金型終身保険節税



その節税提案の心配…低解約返戻金型終身保険

「節税目的低解約返戻金型終身保険」はどんなものでしょうか。



法人向けの「低解約返戻金型終身保険」や「ガン保険損金節税」の提案が増えているようです。大丈夫なのでしょうか。これまでも節税商品として様々な生命保険提案がなされ、国税当局からの節税封じをされてきています。。


「低解約返戻金型節税保険」とはどんな保険でしょうか。


「低解約返戻金型終身保険」とはそもそもは節税のために作られた保険ではありません。

たとえば終身保険にしましょう。通常の保険料よりも保険料が割安な終身保険にします。しかし割安になるのだから通常の終身保険より不利なところがあります。それが一定年齢までの解約返戻金です。たとえば59歳までの解約返戻金は少なくする。59歳時に普通ならほぼ10000万円なんだけれど7000万円に減額する、というものです。ただ60歳にまでなれば通常の解約返戻金と同じの10000万円になります。


低解約返戻金型終身保険の比較

保険会社としては59歳までに解約する人の解約返戻金を少なくすることができるし、短期の解約が減るので安定した運用ができる。だから保険料を安くできる、ということです。この保険はこのような意味において極めて意味のあり、一般の個人の生命保険設計には役に立つ意味のある保険です。

この生命保険が節税で使われると話は一変します。提案されるのは「最初は会社で法人契約としてこの保険に入りましょう。」

そして59歳のときに社長はこの生命保険を会社から7000万円で買い取りましょう。

法人と社長の取引ですから時価でしないといけません。このときのこの保険の時価は解約したときにもらえる解約返戻金ですから7000万円です、というのが理屈です。現時点では否認はされていないようです。なにしろ7000万円で買ったものが翌年1億円になります。無税で3000万円の儲けです。

確かに現状において税務はそれで通っているようです。

しかし今年は7000万円だけれども、来年1億円になると確定している財産の時価が7000万円と言い切る「節税保険のプロ」の神経を私は信じられません。

生命保険の権利についての時価は「解約返戻金」が原則であり、確かにこれまでは7000万円でもOKのようです。ただ上の例なら30歳で契約して実行時は30年後です。30年後ということもなく実際の契約はもっと短いでしょうが、たとえば10年後も今の税制のままでしょうか。

将来1億円になる財産の現在価値は金融的にディスカウントキャシュフローで考えれば、1億円を利率で割り戻した金額でしょう。利率が5%で1年後1億円なら約9500万円です。解約返戻金もひとつの「時価」ですが、これもひとつの「時価」に違いありません。

また会社側の意思決定として来年1億円になると確定している資産を役員に7000万円で移転するのであればその行為は背任的な行為とは言えないでしょうか。法人の経済的行為として合理性に欠けるものです。会社の立場として合理的な説明ができるのでしょうか。

逆にその経済合理性が説明できるのであれば一つの方策かもしれません。でもそれは難しいでしょう。

もし実行するのならそのリスクを覚悟した上でです。来年1億円になる資産の時間を金融的、FP的にディスカウントキャシュフロー価格で考えれば、その1億円をたとえば利率5%で割り戻した9500円でしょう。時価が9500万円とされれば差額2500万円については役員賞与として課税されることになります。

「今の税務執行の現場では7000万円で大丈夫。税制改正があるかもしれませんが、そのときは御免なさい。」なんて言い訳付きセールスが行われています。

さて59歳まで払った保険料を9000万円としましょう。この保険料は損金経理できませんから会社としては保険積立金勘定等で資産計上されているはずです。それを7000万円で役員に売却あるいは、7000万円として役員退職金として支給することになるのです。差額2000万円は保険の評価損です。損金経理でしょう。まさか損金にすることの自己否認はできませんから。いやでも税務署の調査官から注目される法人税申告書になります。そこが否認されるか否かはともかくとして税務調査は必至でしょう。

低解約返戻金型は東京海上日動あんしん生命の長割終身が最初だと思います。発売は1998年のようです。まだ10数年しかたっていません。またこのような節税話法が注目されたのは最近でしょう。

差額2500万円の役員賞与課税や2000万円の保険評価損の損金否認事例は聞いていません。しかしこの節税策の出口(この場合59歳)までたどり着いた事例がないだけで国税庁側が様子を見ているだけかもしれません。

だから「現在の税制でOK」ともいえず「現在の税制ならOKのはず」しかいえないはずです。

最近の保険だし最近の節税策です。事例がないのです。例えば今年に節税策の出口を迎える事例は数が極めて少ないでしょうから目立たないし、だから多分今ならOKでしよう。しかし5年後10年後に出口を迎える会社はたくさんあるのでしょう。その時は確実に目立っています。目立って始めて課税は変わります。

この課税なら「時価の認識はこうする」といった解釈通達1本で済む事例だと思います。国会通過が必要な法律改正など不要でしょう。どうなるのでしょうか。個人に対し役員賞与課税と法人に対し保険評価損課税のダブルパンチとなるのでしょうか。

単なる「保険」のプロではなく「企業の節税支援」のプロを任じるのであればそのリスクの可能性を説明し、「否認されても、保険会社側のせいではありません。当社の意思決定です。だからあなたにも保険会社にも文句を言いませんし損害賠償請求しません」という念書を堂堂ともらえるまで説明して納得してもらえばいいでしょう。

それはお客様にリスクをちゃんと説明することです。さらにいえばそういった念書をとることで「企業の節税支援」のプロとしてみずからのリスクヘッジをするのは当然でしょう。それができないのならば、自分のリスクヘッジすらできない単なる保険のプロということになります。

2011.9.


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