ハートフォード生命の変額年金アダ−ジオ,ハートフォードNK,ハートフォードディレクター
銀行の窓口販売で注目されているが、本当に魅力的なの?2002年の10月から銀行で変額年金の販売が一斉にスタートした。変額年金は、老後資金の準備目的に、今までも保険会社が販売をしていたが、将来受け取れる年金を決める年金原資が、運用実績によって変動するという商品で、投資的な性格を強くもっているため、扱っている保険会社も限られていた。しかし、銀行での窓口販売をきっかけに、各銀行専用に数多くの変額年金が商品開発されて、私たちの前に登場してきた。 その中でも、販売実績が好調といわれるハートフォード生命の変額年金を分析してみた。まず、年金額に最低保証があるとニュースがあった商品(以下の表の右欄「アダージオ」)も、実は、払込保険料に対する通常の元本保証ではなく、90歳時点での年金原資(運用実績できまる額)の保証となっていて、誤解を招きやすい。また、変額年金は、運用期間中の死亡保障が一定額約束されている分、保険関係費などのコストが当然かかってくる。 変額年金のコストが意外に高いというのは、非常に注意すべきことで、ハートフォード生命は中でもコストが比較的高めに設定されている。死亡保障や運用のコストを合わせると年間3%以上にもなる場合もあり、将来の年金受取額を増やすためには、それ以上の運用実績をあげてもらわないと効果がないといえる。 運用して増やすだけならば、投資信託を利用したほうが、保障のコストがない分効率的ともいえるので、私たちは、年金を準備したいのか、死亡保障が欲しいのか、目的をはっきりさせて、あれもこれもといった商品選びをしないほうが得策ではないだろうか。 コストなどの詳細は、以下の表を参考にしていただきたい。 <総合評価>(5段階)☆(残念ながら) 非常に辛口の評価ともいえるが、死亡保障額を実績に応じてアップさせる方式や年金原資の保証をうたっても、その分のコストが運用資産残高合計に対して一定のパーセントで毎年かかるというのは、顧客にとっては大きなマイナス。実際に、コストを2〜3%は上回る実績を少なくとも3年間以上は安定して提供してくれれば、評価を高くしていきたいと思う。 (2002年10月23日 CFP吹田朝子) 変額年金<ハートフォード生命の内容とコスト> | 商品名 | 「NewハートフォードNK」 | 「ハートフォードディレクター」 | 災害2割加算型変額年金「アダ−ジオ」 | 窓口 | 販売窓口 | 日興コーディアル証券 | イートレード証券・FPプラネット・日本グローバル証券・オリックスPFS等 | 東京三菱BK・住友信託・三菱信託・横浜銀行・地方銀行 | 保険請求など手続き | 日興コーディアル証券 | ハートフォード生命のコールセンター | 保険料 | 最低保険料 | 一時払100万円〜(時価200万円未満は年4800円の管理費)途中増額可 | 任意増額 | 途中増額は5万円から | 途中増額は20万円から | 年金受取 | 年金受取方法 | 終身保障・一括受取・保証期間付終身年金・確定年金・保証期間付夫婦連生終身年金・new終身年金(最低保証はないが、年金額と年金原資の差額を死亡一時金) | 終身保障・一括受取・保証期間付終身年金・確定年金・保証期間付夫婦連生終身年金(一般勘定と特別勘定を選択可) | 90歳開始年金原資保証特約あり・一括受取・保証期間付終身年金・確定年金・保証期間付夫婦連生終身年金 | 年金額最低保証の有無 | なし | なし | 90歳開始なら90歳時年金原資保証 | 年金受取開始の繰り下げ | 可能 | 可能 | 90歳特約は繰上も可(保証はなしに) | 運用期間中の途中引出し | 一部解約・定時定額引出し可(10年以上) | 死亡給付 | 死亡給付金 | | 資産残高か払込保険料か、ステップアップ最低保証金額の最も大きい額 | | 終身死亡保障移行後も80歳まで運用実績に応じて最低保証額がステップアップ。 | 災害死亡は、元本の20%相当が加算。死亡保険金は一括受取のほか、年金・据え置き、配偶者契約継続(変額終身保障)コースあり | 運用 | 特別勘定の数 | 8本 | 5本 | 特約有無それぞれ8本〜14本 | 運用内容 | 日本株・世界株・バランス・米ドル・ユーロ | 日本株・世界株・米ドル | 日本株・日本債券・外国株・外国債券・バランス | 運用会社の数 | 4社 | 3社 | 1社〜5社 | 主な運用会社 | 日興アセット・日興グローバルアセット・興銀第一・フィデリティ・ウェリントン・マネジメント | フィデリティ・日興アセットゴールドマン・ | 銀行系投信・フィデリティ・クレディスイス・ピクテなど | スイッチング条件 | 年15回まで無料(毎月一定額ずつシフトするドルコスト平均投資機能、ポートフォリオリバランス機能あり) | コスト | ・保険関係費(対資産残高) | 2.35%(マネーファンド利回り2.35%未満は運用利回り) | ・契約管理手数料 | 毎年の積立金が200万円未満で年4800円。解約時にも一律4800円。 | | | 90歳年金原資保証特約は、積立金に対して年0.05% | ・運用関係費(対資産残高) | 0.65%〜1.45% | 0.6%〜1.1% | 0.6%〜1.33% (窓口住信の例) | ・年金管理費(対受取年金) | 1% | ・解約控除(対払込保険料) | 7年間(1〜7%) | 7年間(2〜7%) |
当コラムは、2002年10月現在の情報をもとにしています。
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