一時払い貨建て個人年金の比較このところ、外貨建ての個人年金商品が増えています。今回は一時払い型の商品に限定し、該当する3商品を比較してみました。 外貨建て個人年金保険ってどんなもの?外貨建て個人年金保険は、文字どおり外貨建ての年金保険で、海外の高金利と為替差益を狙う「資産運用型」の保険です。米ドル建てのほか、ユーロ建ても発売されています。期間は5〜10年程度が中心です。定額年金なので加入時点で予定利率が確定、満期時の外貨建てでの受取年金額がほぼ決まります。しかし、「外貨建て」であるため、円に戻したときの年金額は満期時の為替次第で変動があります。 満期時に円安が進んでいれば、金利に加えて為替差益が得られます。逆に、円高になっていた場合は、そのまま円に戻すと為替差損が発生してしまうので、満期を延ばせるものなら延ばすか、あるいは、外貨口座に外貨のまま送金してもらって円安を待つ方法もあるでしょう(送金手数料は自己負担)。外貨⇔円の為替手数料がかかり(かからない商品もある)、それ以上に為替が円安にならないと、円に戻したときに損が発生することもあるので注意が必要です。この商品を利用する際には、為替水準に気をつける必要があります。為替が円高水準のときに加入するのが上手な入り方といえます。 3商品の特徴を整理すると? AIGエジソン生命の「えんドル君(米ドル建て)」は以前からある商品で、最低5000ドルとやや小額で始められるのが特徴です。据置期間は6年と10年。適用される予定利率は毎月1回変わります。「えんドル君」の魅力は、解約時以外は為替手数料がかからないこと。ユーロ建ての「ユーロ君」も登場しています。 アリコジャパンの「レグルスU」(シリウスデュアル)は、米ドルかユーロかを選べる上、途中で積立金の移転もできます。最低1万ドル(ユーロは米ドル換算)から加入でき、据置期間は7年と10年。積立利率は月2回変更され、保証期間中は固定です。据置期間10年のみ、初年度1年間の利率に1.0%上乗せのボーナスが。円⇔米ドルの為替手数料は往復1円20銭。 東京海上日動あんしん生命の「あんしんドル年金」は、米ドル建てで年金や解約返戻金を受取る商品(特約で円も可)ですが、死亡給付金のみ円建。保険料は最低100万円(6年満期)、300万円(10年満期)で、一時払専用。積立利率は毎月見直され、適用後は固定。このため、契約時点で米ドル建ての年金原資は確定します。死亡給付金は一時払保険料が最低保証されます。円⇔米ドルの為替手数料は往復1円40銭。 一時払い型外貨建て個人年金 商品名 | えんドル君USドル建て | あんしんドル年金 | レグルスU(シリウスデュアル) | 保険会社 | AIGエジソン生命 | 東京海上日動あんしん生命 | アリコジャパン | 支払方法 | 一時払い | 一時払い | 一時払い | 最低保険料 | 5000ドル | 100万円(5年確定年金)、300万円(10年確定年金) | 1万ドルまたは1万ユーロ | 据え置き期間 | 6,10年 | 6,7,10年 | 7,10年 | 利率(2月1日適用分) | 1.13%(6年、1万ドル未満)、1.53%(1万ドル以上)、1.99%(10年、1万ドル未満)、2.39%(1万円ドル以上) | 3.22%(6年、100万円)、3.90%(10年、300万円) *1月31日適用分 | 米ドルの場合、2.28%(7年、1万ドル以上)、2.79%(10年、1万円ドル以上) | 満期の.受け取り方 | 確定年金、一括受取 | 確定年金、一括受取 | 保証期間付終身年金、保証金額付終身年金、夫婦年金、確定年金、一括受取 | 通貨・・・運用 | 米ドル建て | 米ドル+ユーロ建て | 米ドル建て | 通貨・・・その他 | 年金・解約返戻金、死亡給付金とも外貨or円 | 年金・解約返戻金、死亡給付金とも外貨or円 | 年金・解約返戻金米ドル、死亡給付金円 | 積立利率 | 毎月1日に見直す。契約時の適用利率は年金開始まで一定。 | 毎月見直す。適用された予定利率は年金支払開始まで一定。 | 毎月2回、1日、16日に見直す。適用利率は年金開始まで一定。据置10年は初年度の利率1%上乗せ。最長40年、満90歳までは据置期間を延長でき、このとき積立金の移転も可。 | 為替コスト | 円→ドル0円、ドル→円0円(解約時は1円) | 円→ドル0.7円、ドル→円0.7円(解約時も同) | 円→ドル0.6円、ドル→円0.6円(解約時も同) | 解約控除 | 据置き6年は5年、10年は8年 | 据置き6年は年間、7年は6年間、10年は9年間 | 据置き7年は7年未満、10年は10年未満 |
3章品を比較すると----「あんしんドル年金」の予定利率は1月31日時点のもの。2月1日分は他の2商品は予定利率を下げているので、同様に下がると思われますが、それでもやや高めの水準のように思います。また、万一のときの死亡給付金は円でもらえて、しかも一時払い保険料が保証されるのは安心感があります。 しかし、「レグルスU」と「えんドル君」の保険料が全額運用に回るのに対し、「あんしんドル年金」はそうではないという違いが。また、えんドル君の為替手数料が往復無料である点は見落とせない魅力です。また、更新時に通貨の変更が手数料ナシでできる「レグルスU」の特徴も、為替での長期投資であることを考えると魅力です。3商品の魅力を備えたものがあればイチオシするのですが・・・。 (2004年1月30日現在) ファイナンシャル・プランナー、ファミリーリスクコンサルタント 豊田眞弓 えんドル君
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