h3>生命保険の受取人、決め方にも留意して 生命保険に加入する際、保険金の「受取人」を指定する必要があります。
満期保険金など生存中に受取るものは、一般には契約者本人とするでしょうが、死亡保険金の受取人はどのように決めていますか?
ある人が死亡した場合、その人の財産や負債は、相続財産となり相続人で協議して遺産分割をすることになります。ところが、生命保険の死亡保険金はこの「相続財産」には当てはまらず、「受取人」固有の財産となります(相続税上は、「みなし相続財産」として課税の対象となります)。
つまり、死亡保険金は相続人で自由に分けることはできず、「受取人」に指定された人だけが受取ることができるのです。
この仕組みを活用した方法や、注意点をいくつか挙げてみます。
●財産は自宅の不動産のみ、子どもは2人いるので、2人ともに財産を残してあげたい財産が自宅の不動産のみで、現在は2世帯住宅で長男がすでに居住している、というケースを想定してみます。
この状況下で相続が発生した場合、この自宅を共有にする、または、売却して売却代金を分割するというのはなかなか難しく、もう一人の子どもに残す財産がなくなってしまいます。
このような場合、自宅を相続できないもう一人の子どもを受取人にした生命保険を準備することで、自宅を巡って相続争いが起こることを避けることに繋がるでしょう。
●相続放棄しても、死亡保険金は受取れる多額の借金があるような場合、相続放棄が考えられますが、相続放棄をすれば現金などプラスの財産の相続もできなくなり、相続放棄を躊躇してしまうかもしれません。この場合、生命保険の死亡保険金であれば、相続財産ではないので、相続放棄をしても受取ることができますので、財産を残す手段となります。 ●納税資金で準備する場合の注意点例えば相続税額が全体で3000万円くらいになるだろうと予想し、その納税資金を生命保険で準備したとします。
この保険契約の受取人を「長男」としていたとすると、この死亡保険金は長男に支払われ、長男の固有の財産となってしまい、他の相続人が納めるべき相続税の支払いに充てることはできません。
納税に充てられるような現預金が他にない場合には、ある程度相続人それぞれが受取れるよう、受取人を分割しておくことも必要でしょう。
●年金型の死亡保険金の受取人を、就学中の子どもとしていた場合生命保険の死亡保障の中には、「月額(年額)●●万円」というような受取り形態になっている年金型のものもあります。このような保険からの(遺族)年金は、相続発生時には「年金受給権」として評価され相続税の対象に、そして、実際に年金として受取った時には雑所得として所得税の対象となります。
もし、就学中の子どもがこのような年金を受取り、課税所得が38万円以上となってしまうと、所得税や住民税が発生し、また親の扶養からもはずれることになり、健康保険などに影響を与えることもあるでしょう。
このように、生命保険の死亡保険金は、「この人に財産を残してあげたい」という場合には、確実にその人に受取ってもらえる一方で、その人以外に分割することはできず思わぬ不都合が生じる場合もあります。
受取人の変更は、契約者が存命中であれば簡単に手続きすることができますが、死亡後の変更は不可能です。
あまり深く考えずに、受取人を決めているケースも多いのではないかと思います。今一度、確認をしてみてはいかがでしょうか。
マネーカウンセリングネットWealth CFPR 高田晶子
|