Q わかっているようでよくわからない。「日帰り入院」ってどんなもの?A 医療保険でいう「日帰り入院」かどうかは、「入院基本料」の支払の有無により判断します。
医療保険で「日帰り入院から保障」という商品が広がっていますは、この「日帰り入院」、わかっているようでわからない言葉の1つになっていませんか?今回は、この言葉を整理してみます。
病院の説明は?
ある病院では、日帰り入院について、次のように解説しています。
病院Aの解説 <日帰り入院って?> 今までは検査や手術の数日前から入院して、最低でも1週間近くの入院が必要でしたが、施設の設備や技術の進歩により1日(日帰り)で済むようにしたシステムで、朝入院して、当日に検査・手術を行い、夕方退院することが出来ます。
<日帰り入院のメリット> ・仕事を休めない方、自営業の方、お子様の世話や高齢者の介護を頼めない方など長期に仕事や自宅等を空けられない方など、日常生活のリズムをほとんど崩さずに検査、手術を行いますので、入院による拘束時間を最小限にすることが出来ます。 ・入院期間が通常より短縮される分入院費が抑えられますので、従来の入院費よりも安くなり経済的負担が軽く済みます。
<日帰り入院の対象> ・内視鏡検査(二次検診等)、内視鏡的ポリープ切除 ・抗癌剤等の化学療法 ・皮膚、皮下腫瘍摘出、傷跡、ケロイド等の瘢痕形成 ・骨接合術後の抜釘、・腱鞘切開 など
別の病院では、解説などは同様の内容でしたが、対象となる術式名などが異なっていました。
病院B <日帰り入院の対象> 外科:鼠径ヘルニア、痔核、大きな脂肪腫、良性乳房疾患 整形外科:膝関節鏡(膝蓋骨軟化症・膝半月板断裂・抜釘・軟部腫瘤など)
病院Aの解説で、日帰り入院は、「朝入院して、当日に検査・手術を行い、夕方退院すること」というのはわかります。しかし、どういったものが日帰り入院で対処する検査・手術なのかといったことは、病院あるいは医師の考え方、場合によっては患者の状態などによって異なるもののようです。
ちなみに、診療報酬点数表には、同日に入院・退院をした場合、医師が必要を認めて入院させて医療が行なわれた場合は入院基本料などの算定ができますが、休養や覚醒などの目的で入院させた場合は算定しないとの規定になっていて、やはり判断は難しいようです。
保険会社の説明は?
では、保険会社のサイトやパンフレットなどでは、どのように説明されているでしょう。いくつか見てみましょう。
<住友生命> 日帰り入院とは入院日=退院日の入院で、入院基本料の支払の有無などを参考にして判断します。
<朝日生命> 日帰り入院とは、入院日と退院日が同一の日である場合をいい、入院基本料の支払いの有無などを参考にして判断します。
<東京海上あんしん生命> 入院日と退院日が同一の入院のこと。日帰り入院か否かは入院料(入院基本料、特定入院料、短期滞在手術基本料)のお支払の有無等で判断させていただきます。
<三井住友海上きらめき生命> 日帰り入院とは入院日と退院日が同一の入院をいい、入院基本料の支払有無により判断します。
4社のうち、東京海上あんしん生命の例では、 @入院日と退院日が同一 A入院料(入院基本料、特定入院料、短期滞在手術基本料)の支払がある この2点がそろっていることが、「日帰り入院」の支払い規定となっているようです。
@については、日付が変わるのが深夜0時のため、日付の変わらない間に、入院・退院をする必要があります。ただし、前述のようにベッドを使用したからといって、単なる休養や覚醒では対象にならない可能性がある点にも注意が必要です。
Aについては、病院の窓口で渡される「医療費請求書」の「入院料」の欄に点数(金額)の記載があるかどうかで確認できます。
以上、結論としては、「入院料」(保険会社によっては「入院基本料」)の支払いの有無で、日帰りでも入院なのかどうかが確認できるということです。
「日帰り入院から保障」「1泊2日から保障」も大差なし ちなみに、午後8時に入院して午後11時に退院をした場合の病院に支払う入院料は1日分ですが、午後10時に入院して深夜1時に退院をすると、入院料は2日分になります。時間の長さに関係なく、日付で判定するわけです。
医療保険で「日帰り入院から保障」「1泊2日から保障」のタイプでは、入院料2日分がかかったときには、どちらも2日分の請求ができますが、1日分の請求ができるのは、「日帰り入院から保障」するタイプのみです。
しかし、請求には診断書が必要であることを考えると、手術の発生しない日帰り入院での請求は現実には行なわれない可能性は高いでしょう。「日帰り入院から保障」も「1泊2日から保障」も、さほど差はないと考えていいのではないかと思います。
2007年5月31日 ファイナンシャルプランナー 豊田眞弓
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