保険料改定後の「終身型医療保険」比較
以前よりこのコーナーで終身医療保険の商品比較はしてきましたが、今回、各社の2007年保険料改定がほぼ出揃ったので、再度、比較をしてみました。
2007年の標準生命表の改定で今までなかった「第三分野標準生命表2007」が新設され、医療保険などの第3分野商品は、生存率の上昇から保険料アップが予想されていました。
しかし、入院日数の短期化などの要素を組み込み、各社の医療保険は全体的な保険料アップを避けています。保険会社によって、一部の年齢や性別のみのアップにとどめたり、また、男女同一料金に統一したりすることで、ごく一部の年齢層のわずかな保険料アップですむように調整した商品が多いようです。
以下、具体的に特徴をみていきますが、実際は、同様の名称の医療保険でも、保険料の払込期間が60歳まで等の短期払いコースや、女性疾病保障を上乗せする特約や通院保障のある特約などをセット化した商品も登場しているので、以下では、シンプルな病気やけがの入院給付金と手術給付金の部分に絞り込んで、一覧にしました。
●資料 終身型医療保険の一覧表 2007年9月改訂版)
| 保障内容 | 保険会社名 | 商品名 | 給付対象となる入院 | 1入院限度日数 | 通算限度日数 | 手術給付 | 短期払 | その他 | アクサ生命 | セルフガード | 日帰り入院から | 60日 | 1095日 | 10倍20倍40倍 | あり | 7大生活習慣病入院特約(1入院180日に)/先進医療特約/無事故割引特則などを付加可能 | AFLAC | 一生いっしょの医療保険 EVER | 日帰り入院から | 60日 | 1000日 | 10倍20倍40倍 | あり | 終身/女性疾病特約付加可能/60歳以降半額コース選択可 | アリコジャパン | すこしであんしん終身医療保険 | 日帰り入院から | 60日、生活習慣病は180日 | 730日、生活習慣病は1095日 | 10倍 | あり | | オリックス生命 | 医療保険CURE | 日帰り入院から | 60日 | 1000日 | 20倍 | あり | 7大生活習慣病入院120日/3大疾病入院一時金特約も付加可能 | ソニー生命 | 総合医療保険 | 5日目〜(特約で1泊2日〜あり) | 60日、120日、360日、730日 | 730日 | 10倍20倍40倍 | あり | 成人/女性疾病/特定疾病診断給付/退院給付/通院/入院初期給付特約付加可 | 損保ジャパン | Dr.ジャパン | 日帰り入院から | 60日、120日 | 1095日 | 10倍20倍40倍 | あり | 三大疾病保険料免除特約/女性疾病特約/退院一時金/退院後通院保険金特約付加可 | 損保ジャパンひまわり生命 | ワハハ21 | 1泊2日〜 | 120日、360日 | 1000日 | 10倍20倍40倍 | あり | 三大疾病保障、三大疾病保障保険料免除など付加可 | 東京海上日動あんしん生命 | メディカルミニ | 日帰り入院から | 120日 | 730日 | 10倍20倍40倍 | あり | |
入院日額5,000円コースの毎月保険料(口座振替月払・終身払)
| 1入院60日型 | 1入院120日型 | 備考(左記保険料の条件など) | 保険会社名 | 30歳男 | 30歳女 | 40歳男 | 40歳女 | 30歳男 | 30歳女 | 40歳男 | 40歳女 | 通常は特約なしのケース | アクサ生命 | 2,310(1,805) | 2,850(2,240) | - | - | - | - | 生活習慣病入院、先進医療特約付、無事故保険料割引なしの例。 ( )内は入院手術のみの例 | AFLAC | 1,750 | 2,195 | - | - | - | - | 一番シンプルなEVERコース | アリコジャパン | 1,895 | 1,815 | 2,540 | 2,320 | - | - | - | - | 月額保険料が2500円未満の場合は半年払か年払 | オリックス生命 | 1,690 | 1,685 | 2,365 | 2,085 | - | - | - | - | 七大疾病保障付きの基本プラン (3大疾病一時金なし) | ソニー生命 | 2,020 | 2,015 | 2,615 | 2,375 | 2,330 | 2,325 | 3,045 | 2,785 | 最低保険料2000円。入院初期給付特約付、低解約返戻金特則、死亡保険金なし | 損保ジャパン | 1,880(2,225) | 2,445(3,070) | 2,220(2,635) | 2,905(3,655) | 3年ごとに金利動向によって保険料を見直す(最低予定利率1.5%),特約なしタイプで、( )内は3大疾病保険料免除特約つき | 損保ジャパンひまわり生命 | - | - | - | - | 2,675 | 2,835 | 3,425 | 3,735 | 無事で何より割引あり、シンプルなセレクトコース
| 東京海上日動あんしん生命 | - | - | - | - | 2,470 | 2,615 | 3,100 | 3,300 | |
試算協力:エフピーウィング株式会社 監物裕一氏 作成:マネーカウンセリングネットWealth 吹田朝子
1入院60日型ではオリックスとAFLAC 保険料競争では、オリックスがCUREを新発売してからAFLACのダントツ感がなくなり、いい勝負だと思います。
特にAFLACは、男女同一料金を採用し始め、特約などのない一番シンプルなEVER終身払いの入院日額5000円コースで、30歳男性では改定前より40円安くなったが、30歳女性は30円アップ。40歳は男女とも改定前より75円〜5円ほど保険料が安くなっています。
この男女同一料金は、システム面などで効率的なのでしょうが、40歳のオリックス生命CUREと比較すると、男性ではAFLACが安く、女性ではAFLACが高くなり、順位が逆転してしまいます。保険料にこだわる場合は、面倒でもその都度ネットで試算することが必要になってきます。
1入院120日型では損保ジャパンやソニー生命 1入院120日型では、損保ジャパンのDr.ジャパンはインターネット経由ではなく、代理店経由での扱いですが、リーズナブルな水準。ソニー生命の総合医療保険(低解約返戻金特則)も、シンプルにするとここまで割安感が出てきます。
東京海上日動あんしん生命のメディカルミニは、40歳女性を除き、100円未満ですが保険料が改定前よりアップしています。
ほとんどの医療保険で、短期払いコースを選べるようになった 従来は、終身医療保険は終身払いが多かったのですが、調べてみると60歳払い済みなどの短期払いコースも出揃ってきました。
ちなみにAFLACのEVERで60歳払い済みコースにすると、終身払いコースに比べて入院日額5000円で30歳では月725円アップ、40歳では月1645円アップとなります。
オリックスのCUREも同様に60歳払い済みにすると、30歳男性で580円アップ、30歳女性で700円アップ、40歳男性で1410円アップ、40歳女性で1565円アップとなり、長寿化のきめ細かい性別差もORIXは反映していることがわかります。
個人的には、医療保険は健康状態がよいうちに見直しをし、何歳まで生きれば損か得かという見方でなく、保障を得られる権利がある間は保険料も負担するという終身払いで、シンプルに確保すると考えたほうが後悔しないのではないかと思っています。
<関連コラム> 予定死亡率の低下で保険料はどう変わる? 終身型医療保険で割安なのは?(2003年8月)
ファイナンシャル・プランナー(CFP) 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 吹田朝子
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