Q&A201004 「後期高齢医療制度」のその後は?

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Q&A201004 「後期高齢医療制度」のその後は?



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「後期高齢医療制度」のその後はどうなっている?

Q 後期高齢者医療制度が導入されてちょうど2年が経ちました。今、制度はどうなっているのでしょう?



A 後期高齢者医療が廃止されることが決定しましたが、すぐには移行できないため、平成25年4月をめどに新制度が整備されることになっています。



■後期高齢者医療の流れ


2008年4月、75歳以上の高齢者と一定の障害状態にある65〜74歳の方(約1300万人)を対象とした「後期高齢者医療制度」が始まりました。医療制度改革の一環として、それまでの「老人保健法」を「高齢者の医療の確保に関する法律」として内容も大きく変更されました。

従来、退職後の高齢者は国保に加入していました。その中の75歳以上の医療費は「老人保健制度」として国保と健康保険から拠出金を出し合って支えてきました。しかし、高齢化が進む中、健保組合の拠出金は4割となり、今後右肩上がりに増える医療費負担を支えきれないと予想され、高齢者医療の負担ルールを明確にすることが制度改定の理由の1つでした。

そのため、「後期高齢者医療制度」では独立した制度とした上で、財源の拠出割合が明確にされました。患者自身が1割負担となったため、保険から給付される割合が、税金5割、現役世代からの支援4割、高齢者自身の保険料で1割と定められたのです。
後期高齢者医療制度の負担イメージ


運営主体は市町村から都道府県ごとに全市町村が加入して設置された「後期高齢者医療広域連合」に変更され、医療費がかかる都道府県ほどどうしても保険料負担が大きくなる仕組みになっています。保険料が上げられなければ、保険診療の内容が制限されることが予想されることから、「姥捨て山」などと批判を受けました。年金から保険料を天引きしたことも高齢者の反発を呼び、また、窓口となる主治医を決めて原則、定額で治療を受ける「主治医制度」も医師会から批判を受けました。

その後、政権交代を経て後期高齢者医療が廃止されることが決定しました。しかし、すぐには移行できないため、平成25年4月をめどに新制度を整備する流れになっています。



後期高齢者医療制度の廃止について(厚生労働省のサイトより)
○ 平成25年4月を目途に新たな制度に移行します。
・新たな制度の具体的なあり方についての検討を行うため、厚生労働大臣の主宰により、高齢者の代表、関係団体の代表、有識者の計19名からなる「高齢者医療制度改革会議」を設置しました。
・ 検討に当たっては、以下の6原則を定め、議論を進めています。
(1) 後期高齢者医療制度は廃止する
(2) 民主党マニフェストで掲げている「地域保険としての一元的運用」の第一段階として、高齢者のための新たな制度を構築する
(3) 後期高齢者医療制度の年齢で区分するという問題を解消する制度とする
(4) 市町村国保などの負担増に十分配慮する
(5) 高齢者の保険料が急に増加したり、不公平なものにならないようにする
(6) 市町村国保の広域化につながる見直しを行う





■2010年4月の改定で保険料アップ


後期高齢者医療制度は、2年に1回、保険料が改定されることになっていますが、2010年4月の保険料改定では、75歳以上の保険料は、医療費の増加などにより全国平均で2.1%、年間1300円のアップになりました。これにより、平均で年間およそ6万2000円だった保険料が6万3300円に上がりました。

■制度はどう変わる?


後期高齢者医療制度に変わる制度については、平成25年4月を目途に新たな制度に移行することが決まっていると前述しましたが、内容については何も決まっていません。現在、「高齢者医療制度改革会議」でいくつかの案が検討されていますが、平成22年度末までに具体案をまとめ、通常国会に関連法案を提出、平成25年4月から新制度をスタートさせる予定で進められています。その第一弾として、平成22年8月には中間案がまとめられる予定です。

報道によると、現在、挙がっている案は4つ。
  1. 加入者の所得などに応じて国民健康保険や健保組合の間で財政調整を行う
  2. 75歳ではなく、65歳以上を独立させた制度にする
  3. 退職後も元々入っていた健保組合に加入し続ける
  4. 65歳以上は国保に加入。国保を都道府県単位に広域化し、税投入や健保・共済組合からの財政支援を行う(国保の負担を抑えるため、財政運営は高齢者と現役世代を区分)


4つの制度にはいずれもメリット・デメリットがあり、その中で、現在、有力となっているのは(4.)です。(4.)は、高齢者の保険料負担などがあまり増えない仕組みですが、仕組みとしては財政運営を高齢者と現役世代で区分される予定で、後期高齢者医療と同様に、将来、高齢者の医療費抑制が行われる可能性もあり得る点が指摘されています。これについては、将来的に公費負担割合をどこまで増やせるかが問題となりそうです。

超高齢社会が進む中、医療費拡大の根本的な問題が解決策がない中、最終案はどのようなものになるのか、今後も注目されます。

2010年3月31日
ファイナンシャルプランナー、シニアリスクコンサルタント 豊田眞弓







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