生命保険で法人税節税…生保出身税理士の「そんな提案信じるの?」

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生命保険■独断解説

生命保険で法人税節税…生保出身税理士の「そんな提案信じるの?」

逓増定期保険…法人向けの法人税節税商品


長期傷害保険の節税効果?


生命保険業界の税務に対する対応には見ていられないほど恐ろしいものがあります。さて傷害保険特約については損金だという税務通達は存在します。しかし特約ではなく、傷害保険単体についての通達による扱いは定められていません。

「同じようなもの…」と理解して、保険会社側は「損金になりますよ、節税しましょう」と、解約返戻金がたまっていく長期の傷害保険の販売を行いました。保険会社はどの会社もその確認を取っていませんでした。「あの保険会社がやってなら節税に使えるのでしょう…」と、どの保険会社も確認をとらないまま保険の販売を続けたのです。

そして国税庁側は「そんなものを認めたことはない」、として全額損金として販売されてきた保険について4分の1だけを損金に認める扱いとなりました。

「そもそも長期傷害保険の保険料を全額損金算入できるという税務解釈は生保側の思いこみだったという。」 (日本経済新聞2006.10.7.) なんとも情けない話で、思い込みにより多額の保険料の節税保険商品の販売を続けてきたのです。

不動産コンサルと生命保険コンサルの税務対応の違い


不動産に関する税金の制度は複雑です。それに毎年のように改正れます。そしてそれが当り前だと不動産関連のビジネスマンは思っています。




不動産本来個別性がつようものです。自分の土地と隣の土地は違います。お隣さんはどんな人なのか、境界確認が取れるかとか、汚染物質が土地に含まれているか、またどのような人がその土地の前を通るのかといったことで違います。そしてその土地で生じる問題も個別です。

だから隣の土地がうまく節税できたからと言って自分の土地がそうなるとは限りません。そのためなのでしょう、不動産関連のビジネスマンは節税話法に慎重です。

また不動産税制は租税特別措置法の対象になっているものも多く、大都市から近郊への移転促進といった明確な目的を有する買換特例等、不動産税制については趣旨を理解することで大きな視点から判断が可能です。

しかし生命保険についての税制は改正もほとんどありません。そして税制そのものが単純です。させに租税特別措置法のように制度趣旨で解釈するようなこともできず、通達の詳細な文面の一行だけをとらえて判断します。

そのためなのでしょうか、生命保険のコンサルタントの節税についての提案話法はマニュアル的です。不動産とちがい保険は個別性がないためなのでしょう、一定のマニュアルで対応できますが、それゆえにマニュアルに頼り過ぎます。そのために危うさが漂っていますす。「税務の通達が定めているから問題ありません」…通達などは一改正されるか分かりません。それを保証できるのでしょうかせん。


「相続税対策に必要なのは「常識」…生命保険での節税策改正?」
バードレポート2000年9月25日号


「生命保険を使った相続税節税手法はいつまで大丈夫か?」
バードレポート第177号1997年9月22日


「変額年金での相続税対策…「年金受給権の評価」の未来は?」
バードレポート第497号2004年5月17日





損金になる積立金融資産



法人の節税商品としてよく使われる逓増定期保険という保険の商品があります。

さて、定期保険とは掛け捨ての死亡保障です。



掛け捨ての保険であれば本来は資産性がありません。資産性がなければ法人契約における法人が支払った保険料は損金に成って当然です。ところが掛け捨てといいながら、長期の保険では契約の途中では解約返戻金が生じます。

つまり長期の定期保険なら解約時に解約戻り金があるのです。契約終了まで継続すれば掛け捨てなのですが、契約の中途に解約すれば資産性があるのです。


長期の保険契約でも全ての期間同一保険料です。しかし若い時の死亡率は低く、本来は保険料は安いはずです。年を経れば高くなっていきます。だから年を経ることに保険料は高くならなくてはいけないのです。にもかかわらず全期間同一の保険料を設定します。


保険契約期間の始まりの頃は年齢に比べ高い保険料を払うことになるのです。その高い分は保険会社が預かって一定利率で積み立てていると考えます。年を取ってからは逆になります。その年齢の本来の保険料より安くなるのです。そのために積み立てた金額を取り崩していきます。そして契約終了時にはちょうどとなり、掛け捨て保険として終了することになりますす

ポイントは途中で解約することです。掛け捨てのはずなのに解約返戻金が戻り、いわば資産性がある保険なのです。

ここを節税として使います。掛け捨てなので保険料が損金になりますが、途中で解約すれば積立金が戻ってきます。解約する時期を選べば支払った保険料のほぼすべてが戻ってくる定期保険が販売されるようになりました。まさに節税目的定期保険です。



逓増定期保険の使い方


節税目的の保険はエスカレートしていきます。例えば契約したばかりでの死亡保険金が1億円ですが、10数年たつと死亡保険金額が急増して契約終了の70歳時には5億円にまで増加している…といった保険です。





本来保険料の高い高齢時(70歳近く)の保障を意図的に極めて高額(5億円)にすることで、契約当初は払った保険料のほとんどが積み立てられると言った保険になります。それが逓増定期保険です。

契約当初保険料のほとんどが積み立てにされます。年間の生命保険料は数百万円ですが、それは掛け捨て保険ですので損金です。10も保険を続けてから解約します。支払った生命保険料のほぼ全てが戻ってきます。これが逓増定期保険の節税に向けた使い方です。

銀行預金は損金にならないのは当たりま前です。しかし逓増的保険はほぼ全額が戻ってくるのに損金になってしまいます。もっと前には節税対策専用のもっと凄まじい節税向けの保険商品もつくられました。

国税庁としてそのままにはしておけないとして、平成8年の税制改正で通達を改正することにより条件を設定しました。また平成20年にも改正されています。

もちろん通達改正後には通達の抜け穴を通るような保険商品が開発されます。保険商品の開発競争はいよいよエスカレートします。その結果として平成20年に更に通達改正がなされました。


最近の節税提案…逓増定期保険はいいとして


逓増定期保険は通達できっちり決まっているからいいとして、ただ「実質解約返戻金」と本当の「解約返戻金」の違いに注意し、また解約すべき時期に解約ができないとどんどん財産が目減りするので、その時期に役員退職金支払い等の時期を本当にぶつけられるのかを考えてからにしましょう。

最近はやりの低解約返戻金型終身保険節税目的ガン保険について
「その節税保険マンのいうことをそのまま信じるんですか?」
「やるなら、よく理解してからやってやって下さい」




「節税保険マン」はいつも言います。「そうですか、税理士さんはちゃんとした節税提案をしてくれないのですね。困ったものですね。」といって、これら高額の節税保険を事情を知らない経営者に販売していきます。

…………

いざというときにその会社や経営者を守ってくれるのはその保険マンではありません。

…………

昭和バブル時に変額保険による資産家の相続税対策スキームが昔流行りました。自宅担保で銀行借り入れをして、何億円単位の高額な変額保険に入りました。税務上の問題ではなくバブル経済崩壊により、資産家が自宅売却に追い込まれ、次々に破綻していきました。

私は財産コンサルとして銀行交渉や不動産の任意売却、その後処理等のお手伝いを幾つもしてきましたがが、提案した保険マンが出てきて説明し陳謝したケースには出合いませんでした。

最後は…自分自身の責任です。その節税保険マンは大丈夫ですか。


節税スキームに対する税務調査より





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