このシリーズの第1回生命保険の通販は本当に安いのか!?#1では医療保険、第2回生命保険の通販は本当に安いのか!?#2では無選択型の終身保険を検証しました。
今回は、通信販売のみで販売している1年更新の定期保険です。
30歳の男性で比較した場合、この通販のみの保険会社が奨励する「毎年の保障額を一定金額減らしていく」ことを、更新型でなく全期型にて他社で設計すると、なんと保険料は30%ほど安くなります。(年齢によってパーセンテージ等は異なります)
死亡保障比較 | 年齢
| 保障額(万円)
| 1年更新 定期保険 の保険料 | 収入保障保険の保険料 | 30歳から | 35歳から | 40歳から | 45歳から | 50歳から | 30 | 5,400 | 8,208 | 5,580 | | | | | 31 | 5,220 | 7,986 | 5,580 | | | | | 32 | 5,040 | 7,862 | 5,580 | | | | | 33 | 4,860 | 7,950 | 5,580 | | | | | 34 | 4,680 | 8,103 | 5,580 | | | | | 35 | 4,500 | 8,325 | 5,580 | 6,066 | | | | 36 | 4,320 | 8,251 | 5,580 | 6,066 | | | | 37 | 4,140 | 8,280 | 5,580 | 6,066 | | | | 38 | 3,960 | 8,316 | 5,580 | 6,066 | | | | 39 | 3,780 | 8,353 | 5,580 | 6,066 | | | | 40 | 3,600 | 8,424 | 5,580 | 6,066 | 6,552 | | | 41 | 3,420 | 8,515 | 5,580 | 6,066 | 6,552 | | | 42 | 3,240 | 8,618 | 5,580 | 6,066 | 6,552 | | | 43 | 3,060 | 8,690 | 5,580 | 6,066 | 6,552 | | | 44 | 2,880 | 8,935 | 5,580 | 6,066 | 6,552 | | | 45 | 2,700 | 9,188 | 5,580 | 6,066 | 6,552 | 6,786 | | 46 | 2,520 | 9,388 | 5,580 | 6,066 | 6,552 | 6,786 | | 47 | 2,340 | 9,289 | 5,580 | 6,066 | 6,552 | 6,786 | | 48 | 2,160 | 9,115 | 5,580 | 6,066 | 6,552 | 6,786 | | 49 | 1,980 | 8,870 | 5,580 | 6,066 | 6,552 | 6,786 | | 50 | 1,800 | 8,586 | 5,580 | 6,066 | 6,552 | 6,786 | 6,768 | 51 | 1,620 | 8,343 | 5,580 | 6,066 | 6,552 | 6,786 | 6,768 | 52 | 1,440 | 8,020 | 5,580 | 6,066 | 6,552 | 6,786 | 6,768 | 53 | 1,260 | 7,648 | 5,580 | 6,066 | 6,552 | 6,786 | 6,768 | 54 | 1,080 | 7,149 | 5,580 | 6,066 | 6,552 | 6,786 | 6,768 | 55 | 900 | 6,453 | 5,580 | 6,066 | 6,552 | 6,786 | 6,768 | 56 | 900 | 7,040 | 5,580 | 6,066 | 6,552 | 6,786 | 6,768 | 57 | 900 | 7,704 | 5,580 | 6,066 | 6,552 | 6,786 | 6,768 | 58 | 900 | 8,370 | 5,580 | 6,066 | 6,552 | 6,786 | 6,768 | 59 | 900 | 8,991 | 5,580 | 6,066 | 6,552 | 6,786 | 6,768 | 60 | 支払総額 | 2,987,640 | 2,008,800 | 1,819,800 | 1,572,480 | 1,221,480 | 812,160 |
| 1年更新総支払額 | 2,987,640 | 2,506,332 | 2,008,032 | 1,489,848 | 939,648 | 差額 | 978,840 | 686,532 | 435,552 | 268,368 | 127,488 |
※非喫煙料率のあるソニー生命の家族収入だともっと保険料が安くなります。
今回は1年更新定期保険を損保ジャパンDIY生命の1年組み立て保険、収入保障保険(年金受取型の定期保険)をオリックスの大黒様で試算してみました。
ここでは、年額180万円(月額15万円)の設定で遺族が年金を受け取る設定で試算しました(当初の保障額は180万円×30年=5400万円)ので、保障額は年々180万円づつ逓減して、最後は5年保証としました。(180万円×5年=900万円)
「必要保障額」を算出して、それに合ったプランニングと考えた場合、お子様の成長などに合わせて保障額を減らしていくのが合理的であることは周知の事実です。
損保ジャパンDIY生命はその考え方を奨励しているわけですが、実際には表のような結果となってしまいます。
表の一番下を見ていただければわかりますが、30歳加入の場合約100万円ほど総支払額に差額が生じ、毎月の保険料も55歳時点を除けば、どの年齢でも保険料の負担が1年更新の方が重くなるのがわかります。
(表の見方…30歳から60歳までの合計保険料は1年更新型では298万円、一方所得保障型なら200万円で差額が約100万円。35歳からならそれぞれ181万円と250万円となります。)
1年組立ての場合、お子様が増えた際、簡単に保障額を増額できるというのが売り文句ですが、実際にはその場合、安い保険料の平準定期を継ぎ足した方が負担は軽くなるケースがほとんどです。
また、収入保障タイプの場合、保険金を受け取る際に所得税が概ね10%かかりますが、保険料負担の差がそれ以上になりますので、同じ保険料負担で考えた場合でも収入保障タイプが有利となります。 (所得税の10%は確定申告で還付を受けることは可能です)
それでも、「保険の通販は安い」と一般的には思われています。 マーケティングの上手さと言ってしまえばそれまでですが、どうして実態とイメージがこれだけ違うのでしょうか?
何故こんなことになってしまうのでしょうか?
それは、日本人の約80%が加入していると言われる伝統的国内生保(いわゆる大手生保)の保険料が高い、もしくは高く感じられるからではないかと思います。
その理由としては、@高い人件費と広告費(TVCMやスポーツイベントのスポンサーになること:プロ野球交流戦ではニッセイがスポンサー)を賄うためにもともとの設定が高めである、A定期保険の場合、純粋な死亡保障だけでなく割高な特約(三大疾病、介護等)を組み込んでいる、B医療保険だけの販売が制限されていたため、死亡保障と抱き合わせで販売しており保険料の絶対額は高い、等考えられます。 また、根本的には「逆ザヤ」を早期に解消するために、多くの粗利益をとるための価格設定がなされているとも考えられます。
構図としては・・・
異様に経費が高い伝統的国内生保(対面)
VS
割安に見える通販生保
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この構図であれば、通信販売も割安になることがあるかもしれません。 しかし、実際には通信販売の場合でも、きちんとした保険会社・商品の選択や組合せを行って生命保険に加入した場合を比べると、保険料は割高になる可能性が高くなるといわざるを得ません。
まとめ 通常の物販や自動車保険などの例を見ても「通販は安い」というのが、一般的な常識ですが、手間を多少掛けてでも一社専属(直販)の営業マンでなく、複数社取り扱いで保険商品や周辺知識に精通している良心的な専門家に相談して、生命保険に加入するのが一番安上がりになります。
つまり、今回のケースでも「通販は安い」という一般的な常識は生命保険については非常識ということが言えると思います。
2006年5月
損保ジャパンDIY生命の1年組み立て保険 収入保障保険(年金受取型の定期保険) オリックスの大黒様
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