注目商品 しんきんライフ年金FS（フコクしんらい）by杉山明(14)
7514 フコクしんらい生命
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注目商品 しんきんライフ年金FS（フコクしんらい生命）
この商品の評価ポイント
- 保険の仕組みが非常に簡単で、かつ、銀行預金などと比べて利回りの点で優位性がある
- 被保険者の年齢にかかわらず保険料率が一定になっているので取り扱いがとても簡単
- 契約した時点で将来の利回りの水準がおおむね確定する（配当により増える可能性は残る）ため消費者が理解しやすい
この商品の注意を要するポイント
- 預貯金と比べて利回りが高くなるところがあるが、投資信託や株式などに比べると期待できる利回りはとても低い
- 契約者配当金は支払われない場合がある
消費者側の注意点
- この保険の実質的な利回りは、保険料の計算に使われている予定利率より低い水準になる
- 据置期間が10 年の場合、一時払契約の場合は4 年以内、分割払契約の場合には据置期間の全期間で解約した場合には元本割れの状態になる
保険商品に対するコメント
商品戦略フコクしんらい生命は、平成20 年1 月に共栄火災から、富国生命が株式の80%を買取り現在の社名に変更された保険会社である。共栄火災の子会社時代の商品戦略は、逓増定期保険や低解約返戻金型終身保険など、東京海上日動あんしん生命や三井住友海上きらめき生命など他の損保系子会社と同じような商品ラインナップになっていたが、富国生命の子会社となった2008 年以降は、同社の強みである信用金庫チャネルに注力している。
特に、2008 年4 月には、3 年ごと利差配当付災害死亡給付金付個人年金保険（しんきんライフ年金FS ）販売開始し、現在では、全国258 の信用金庫で取り扱われるまでに成長している。そういう意味で、「しんきんライフ年金FS 」はフコクしんらい生命の戦略的商品として位置づけられる。
一方、この商品の延長線上に積立利率変動型個人年金保険（しんきんライフ年金FS ＜積立利率変動型＞）も開発したようであるが、この商品の販売に踏み切った信用金庫は6 にとどまっており、販売は苦戦しているようである。やはり、販売チャネルの特性を考えると簡単な仕組みの商品が求められるということであろう。
ところで、これらの年金保険の競合商品は保険商品ではなく、定期預金や個人向け国債といった金融商品になる。そういった意味で、現在、最も脅威となる金融商品は個人向け国債（変動10 年）である。個人向け国債（変動10 年）は、金利低下により人気薄となっていたが、財務省が2011 年7 月発行分より利回りの算出方法を変更した。これにより、超低金利環境における利回りは引き上げられることになった。
商品分析
商品の焦点は、預貯金と比べてどの程度利回りが高くなっているかということであろう。その観点から定期預金との利回りを比較すれば、5 年以上の期間を考えているのであれば、「しんきんライフ年金FS 」は競争力のある商品であるといえるだろう。
一方、多くの信用金庫では販売を一時払タイプに限定しているが、これは分割払タイプを中途解約すると元本割れ状態になることを考えた上の判断であろう。販売機関の特性として「元本割れ」という状態を極度に回避したものと考えられる。
『退職金を手にして10 年ないし15 年程度運用したいと考えている。しかし、元本割れだけはどうしても避けたい。
その代わり利回りは国債程度の利回りで我慢できる』というような投資家にはよい商品であると思料する。
2011年7月
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この情報は公開情報と独自調査によります。発売元保険会社のパンフレットや約款等によりご確認ください。
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