Q&A201007 年金保険の二重課税問題とは?

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収入保障保険・年金保険の二重課税問題とは?

Q 収入保障保険の二重課税問題ってどんなことでしょうか? すでに受け取った人も税金を返してもらえるのでしょうか?

A 収入保障保険や年金保険に対して、相続税が課税され、さらに所得税の対象にもなっていたことを「二重課税」とする最高裁の判決が出ました。詳細はこれからですが、対象者には税金が返還されます。

■最高裁の判決は?

遺族が受け取る生命保険金のうち、収入保障保険などの「分割で受け取る年金部分」を相続税と所得税の対象とすることは適法かどうか−−。

それを争った裁判で、一審の長崎地裁判決では原告側が勝訴、二審の福岡高裁判決では課税を容認する判決がでていましたが、その後、7月6日の最高裁で、「相続税の対象となった年金部分に所得税を課すのは二重課税で違法」とする判決が出されて話題になりました。

原告は長崎市の49歳の主婦。2002年10月に夫が死亡し、4000万円を一時金で、2300万円を10年間の年金で受け取ることにしたところ、4000万円のほか、2300万円のうち6割を「年金受給権」として課税対象としたほか、毎年受け取る230万円のうち保険料を案分した分を差し引いた金額に対し、所得税を課したことの違法性が争われたもの。

年金に所得税が課されるのは、40年超も国税でも常識とされてきて、保険会社が源泉徴収して国に納付する形をとってきました。今回の最高裁の判決では、保険会社が保険金から源泉徴収をしていたことについては適法とされ、また、将来の年金支給額のうち運用益にあたる部分には課税できるとしたものの、年金総額のうち、年金受給権として相続税の課税対象とした6割部分に所得税を課すのは違法と判断されました。「二重課税」部分については還付を求めることができるという判決が下ったのです。

その詳細はまだ明らかになっていませんが、国税当局は、今後の課税方法や還付方法などについて対応を迫られることになります。本来であれば、還付請求できるのは過去5年までですが、大臣のコメント(後述)等を見る限り、救済措置が検討される余地もありそうです。保険会社側も、場合によっては大幅なシステム変更などが求められる可能性もあります。

<「二重課税」の対象となる商品>
・収入保障保険、収入保障特約(年金払い生活保障特約)
・個人年金保険のうち保証期間付きや確定年金で、年金を受け取り始めてから被保険者が亡くなり、遺族が残りの年金を受け取った場合

参照:国税庁サイトでの記載
国税庁は判決後、サイトに次のようなコラムを掲載しています。
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h22/9291/index.htm

「遺族が年金形式で受け取る生命保険金に対する所得税の課税の取消しについて」

平成22年7月6日付最高裁判決において、年金の各支給額のうち相続税の課税対象となった部分については、所得税法9条1項15号(現行16号)により所得税の課税対象とならないものというべきであると判示され、遺族が年金形式で受け取る生命保険金に対する所得税の課税が取り消されました。

この問題について、7月7日(水)に野田財務大臣から、以下の方針が発表されています。

「まず、今般の最高裁判決については謙虚に受け止めて、そして適正に対処していきたいというふうに思います。そのうえで、これまでのいわゆる解釈を変更することになりますが、そういう変更をして、そして過去5年分の所得税については更正の請求を出していただいたうえで、それを経て減額の更正をするという形の対処をしていきたいというふうに思います。誠意を持って対応していきたいと思います。

問題は5年を超える部分でございます。5年を超える部分の納税の救済については、これは制度上の対応が必要になると思います。法的な措置が必要なのか、政令改正で済むのか、これはよく子細に検討させていただきたいと思いますけれども、関係者の皆様にご迷惑をかけないように、これも対応をしていきたいと思います。

さらにこれ以外の、生保年金以外に相続をした金融商品で、今回の判決を踏まえて対応しなければいけない、改善しなければいけないものもあるかもしれません。それについては、改善すべきは改善をしていくということで、具体的には政府税調の中で議論をして来年度の税制改正で対応するということも視野に入れていきたいと思います。」

国税庁においては、上記の方針を踏まえ、これまでの法令解釈を変更し、これにより所得税額が納めすぎとなっている方の過去5年分の所得税については、更正の請求を経て、減額更正を行い、お返しすることとなります。

現在、判決に基づき、課税の対象とならない部分の算定方法などの検討を進めていますので、具体的な対応方法については、対応方法が確定しだい、国税庁ホームページや税務署の窓口などにおいて、適切に広報・周知を図っていくこととしています。また、過去5年分を超える納税分については、上記の方針に基づいた対応策が決まりしだい、適切に対処します。

■5年を超える還付や、今後の課税方法など・・・
今回の「二重課税」問題について、保険会社の方に話をうかがっても一筋縄ではいかない問題だと感じています。

@ 何年前まで還付対象とするのか?また、どのような事務になるのか?
生保会社の方の話では、データを遡ることは可能とのことですが、現実問題どこかで切ることになるでしょうし、そうなるとどこで切っても公平ではなくなります。長くても10年がせいぜいではないかと思いますが、はたしてどこまで遡るのか、また、それを一定年数で切る理由をどう言ってくるのか、詳細を待ちたいです。

事務についても、請求を待つやり方はもう認められないでしょうから、該当者全員をたどる作業が発生します。どこまで現実的にできるのか・・・今後の対応が気になります。

A収入保障保険の課税方法は?
「年金原価」(原告の方の例では年金払いのもとになった2300万円全額)+推定利息額を相続税の対象として終わりにするのか、あるいは従来通り「年金受給権」6割を相続税として、雑所得の計算の際に受給権の額を差し引くという方法もあるでしょうか。一時払いを選択した時との公平性も見極めた課税にしないといけないわけですから、実は簡単ではないように思います。今回の指摘のなかには「わかりにくい課税方法」も問題とされていたことを考えると、よりシンプルな方法になるのだろうとは想像します。

いずれにしても、今後の発表を待ちたいと思います。

2010年7月10日


(2010年6月現在)

ファイナンシャルプランナー、ファミリーリスクコンサルタント 豊田眞弓
ブログ:[住宅|家計|保険|教育]FP豊田真弓の心とおサイフのWealth術


生命保険年金は二重課税との最高裁判決は微妙(1)






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