生命保険年金は二重課税との最高裁判決は微妙(1)第一生命

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生命保険年金二重課税の微妙な最高裁判決と還付

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「生命保険年金は二重課税との微妙な最高裁判決と還付(1)」
「生命保険年金は二重課税との微妙な最高裁判決と還付(2)」に続く
「生命保険年金は二重課税との微妙な最高裁判決と還付(3)」
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生命保険年金は二重課税との微妙な最高裁判決と還付(1)


生保年金二重課税の最高裁判決(2010.7.6.)が大きなニュースになっています。死亡保険金を年金形式で受け取った場合の課税です。

生命保険料を累計90万円支払った段階で夫が亡くなり、妻は年額230万円期間10年の年金払い死亡保険金(年金受給権)を得ます。その年金受給権に対し相続税が課税されます。10年で年金総額2300万円ですが、利息等を考慮し現在価値1400万円(税制改正があり現行法ではもっと高額になる)が年金受給権評価としての相続税課税でした。

そして第1回年金230万円を受け取りました。その230万円に対応する支払済保険料は9万円(90万円の10分の1)なので、差額の221万円が所得税対象となりました。二重課税されました。

真っ当なアドバイスは?


保険の業界での実務常識は「死亡保険金を年金形式で受け取ると課税上不利。よって年金形式でなく、一時金で受け取るべき」でした。

だから年金形式が原則でも一時金選択可能な商品設計をし、そう顧客指導してきたはずです。

一般には相続税は非課税枠も大きく課税は例外です(逆に敢えて節税目的等で年金にする例外事例もありますが)。だから所得税課税となる年金形式を回避するのは当然です。

しかし救済される契約は1万件超のようです。正しく指導されずに年金形式を選んだ件数が膨大なのです。判決事例も単なるこの指導ミスかもしれません。保険金支払時に顧客に真っ当な指導をしているのでしょうか。

保険会社の対応は



さて今回の判決で問題となったのは第一生命の「年金払い生活保障特約付き終身保険」です。

生命保険料を累計90万円支払った段階で夫が亡くなり、妻は年額230万円期間10年の年金払い死亡保険金(年金受給権)を得ます。

生命保険のプロであれば払い込み保険料が少額で、受け取り総額が大きな金額になる保険金を年金で受け取れば、このような課税問題になるのは当然に知っているはずです。

(1)なぜ現場は「一時金で受け取りましょう」とアドバイスしなかったのでしょうか。

(2)このような課税の問題があるので「年金方式」をうたっている保険商品でもほとんどは一時金を選択できるはずです。この「年金払い生活保障特約付き終身保険」はその選択肢がなかったのでしょうか。だとすれば商品の欠陥です。欠陥商品だったのでしょうか。

保険会社の現場による個別ミスなのか、保険会社としての商品ミスなのかはわかりませんが、いずれにしても今回の事案は法律問題ではなく、保険会社のミスからスタートした事案です。

驚くべきはこの判決と同様となる対象契約数は、現在年金受給中のもので、日本生命3400件、明治安田生命3600件、第一生命4500件にもなるといいます。

笑ってしまうのは「どの商品が該当するか国税庁に問い合わせ中なので分からない」という大手生保があるそうです。判決文を読んで自分で判断する能力すらないのでしょうか(日経2010.7.18)。

保険料の払込状況により有利不利がありますから、どのくらいが不利な扱いなのかはわかりませんが、かなりの部分は保険会社のミスなのかもしれません。

税法の還付は最大五年ですが、この件は特例的に過去にさかのぼりそうです。現在継続中の契約だけでこれだけの件数です。支払い終了の契約まで含めるとどのくらいになるのでしょうか。

税法が問題と騒がれていますが、一番大きな問題は「契約者にとって課税上不利となることを分かっていながら」対応できなかった保険会社です。

保険金2000万円の死亡保険金の商品より、年額年金200万円で10年の有期年金の方が保険料が安くなるので売りやすいし年金支給期間も保険会社に資金が残ります。

保険会社としてはこの商品が利益を生むから、あえて対応しなかったのでしょうか。ただ大手生保は例外はありますが普通はそこまではアコギではありません。だとすれば単に保険会社の現場の教育レベルの問題なのでしょうか。




相続税課税と所得税課税



課税側の常識は「相続税は財産(もの)課税、所得税は所得(もうけ)課税で、別のもの」です。

まず年金受給権という財産への課税。次に払込保険料と受取金との差額という所得への課税。別個の課税は当然で、死亡保険金の一時金受取が「所得税課税(保険料と保険金の差額への所得課税)が抜け落ちてしまう例外」だと整理されていました。

最高裁判決(2010.7.6.)で常識が覆されました。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100706114147.pdf

「相続で取得したものには所得税を課さない」との非課税規定が所得税法にあります。これをもとに第1回年金230万円への所得税課税が争われました。福岡高裁は非課税を認めませんでしたが、最高裁で逆転です。

所得税を課さないとは「相続税の課税対象となる経済価値に対しては所得税を課さないこととして、同一の経済的価値に対する相続税と所得税の二重課税を排除したものと解される(最高裁判決より)」

年金受給権に相続税課税したならその経済的価値(相続税課税対象とした現在価値1400万円)までは所得税を課税しないと判じたのです。そして年金230万円は非課税。なお1400万円を超えた部分をどう課税するのかは明確には判じません。保険会社は各社数千件の調査、国税もその還付作業の開始です。

不動産に置き換えると…


夫が90万円で買った土地が2300万円に値上がりした時点で亡くなり妻が相続します。路線価評価額は1400万円でこれに相続税課税です。その後この土地を2300万円で売却換金します。

年金課税同様に夫の原価(支払済保険料・取得費)を引き継ぎます。売却額2300万円に対し原価90万円で、譲渡益2210万円への譲渡税課税です(例外あり)。

つまり相続してから売却すると、同じ部分に対して、相続税と譲渡所得税が二重に課税されることになります。

最高裁判決に従えば1400万円が「同一の経済的価値」と考えることになれば、譲渡税は二重課税です。判決の考え方なら、1400万円までは相続税で課税を受けたので、譲渡税の原価は1400万円でいいのではないか…。

ただ「相続」でなく「相続した財産の譲渡」による所得、また土地原価は相続人が引き継ぐとの法律もあり、年金相続とは違ってかなり厳しそうです。

それでも「そもそも二重課税」との主張はできるかも…。誰かが最高裁まで争って勝たなければ不動産はダメのようですね。


微妙な最高裁判決




判決文をもう少し深く読んでいきましょう。

「『(所得税が非課税となる)相続等により取得するもの』とは、相続等により取得し又は取得したものとみなされる財産そのものを指すのではなく、当該財産の取得によりその者に帰属する所得を指すものと解される。

そして、当該財産の取得によりその者に帰属する所得とは、当該財産の取得の時における価額に相当する経済的価値にほかならず、これは相続税又は贈与税の課税対象となるものであるから、同号の趣旨は、相続税又は贈与税の課税対象となる経済的価値に対しては所得税を課さないこととして、同一の経済的価値に対する相続税又は贈与税と所得税との二重課税を排除したものであると解される。(最高裁判決の判決理由より)」

そもそも相続税に「所得」なんていう概念はないはずです。所得・・・つまり儲けという概念はその所得を課税対象とする所得税や法人税のものです。相続税は所得ではなく財産に対して課税します。所得になんて課税してきていません。所得ではなく財産です。

この最高裁判決では「当該財産の取得によりその者に帰属する所得」が経済的価値であって、相続税の課税対象となる…といっています。

一般には保険金については「一時金で受け取れば所得税がかからないのに、年金で受け取ると所得税がかかるからおかしい」から議論がスタートしてしまうのですが、話は逆で「一時金で受け取れば所得税がかからない」というのが税法では例外なのです。

相続税がかかる保険金一時金について所得税も同時に重ねて課すれば「ひどい・かわいそう」という国民感情が許さないから、特例的に「一時金で受け取れば所得税がかからない」…「所得税を課さない」となっているのでしょう(死亡退職金も同様に例外です)。

なお前提となる所得税の非課税規定は次です。

所得税法第九条  次に掲げる所得については、所得税を課さない。
十六  相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの(相続税法 規定により相続、遺贈又は個人からの贈与により取得したものとみなされるものを含む。)

ちなみにこの例外について、この最高裁判決が破棄した福岡高裁判決文には国税側主張としてつぎのようにあげています。

「(所得税非課税の規定の趣旨は)、相続税法の規定により相続税の課税対象となる財産の所得に対し、相続税と所得税の二重課税が生じることを排除するため、当該財産の所得に係る所得には所得税を課さないようにする点にあるものと解される。(福岡高裁判決平成19.10.25 控訴人の主張)」

「相続財産の取得により所得が発生するもの」にはその所得を非課税にするという主張です。国民感情として二重課税を許さないからでしょう。これに該当するのが一時金の生命保険金や死亡退職手当金ぐらいのもので、逆にこれらが例外となるのです。

理解しやすいように課税される例をあげてみましょう。

相続により土地を取得します。財産を取得したのですからその財産価値に相続税がかかります。相続により土地を取得しても、それは所得税での所得ではないから相続税だけです。所得は譲渡したときや家賃を受けたときに譲渡所得とか不動産所得としてはじめて生じます。相続した日にそのまま土地を売却すると、相続税のほかに土地売却益はとして所得税が課税されています。これを二重課税というのであれば二重課税が当然であり原則なのです。

年金受給権も同じなのです。現実に毎年の年金を受けたときに雑所得として所得が生じるとしてきました。年金支給までは所得は実現しなかったのです。(今回の最高裁判決はこの雑所得のうち年金現価までの部分は「当該財産の取得によりその者に帰属する所得」であり、相続により実現したものとして、所得税の二重課税としましたのです。つまりこの部分については次の一時金の保険金の扱いと同じにしたのです。)

しかし一時金としての保険金(や死亡退職金)は相続時に所得税の一時所得などが生じます。亡くなった瞬間(満期のある保険の満期到来の瞬間と同じです)に保険金という財産が実現し、それにより払込保険料と保険金の差額が一時所得として所得税課税されるのです。そして実現した財産が相続税の対象になるのです。つまり同じ部分に所得税課税と相続税課税がなされるのです。死亡により所得税法上の所得が生じるのはこの保険金ぐらいなのです。これが「相続財産の取得により所得が発生するもの」であり、まさに例外なのです。それについては上記のように相続財産の取得により所得が発生したものなので所得税の規定で所得税が例外的に非課税になるだけなのです。当然のように感じているのですが、実はすごい優遇非課税規定なのです。

保険会社はなぜこの折角のこのすごい非課税規定を使うように契約者にアドバイスしなかったのでしょうか。あるいはこのすごい非課税規定を使える商品設計(年金でなく一時金を選択できる)にしなかったのでしょうか(普通はそうなっていると筆者に認識していますが)。(今回の判決事案がどちらなのかはわかりません。)

なお「税金が安ければいい。かからないほうがいい。」という議論は別です。「税金などない方がいいし、いつまでも消費税が上がらない方がいい」に決まっています。

今回の最高裁はこれ(年金受給権の現在価値までの部分)を一時金同様に二重課税と定義して非課税にするということにしたのです。

もし所得課税と資産課税の税理論の根本を変えろということであれば上に記したように将来の土地の譲渡税の課税だって同じでしょう。相続した不動産の取得費(原価)は相続税課税価格まで引き上げなくてはいけません。前述のように相続直後に土地を売却したときは相続税課税価格までは譲渡税非課税にしなくてはいけないはずです。(不動産売却については前述のように、「相続」でなく「相続した財産の譲渡」による所得、また土地原価は相続人が引き継ぐとの法律もあり、年金相続とは違ってかなり厳しそうですが。)

また実務上の問題は初回受け取りの230万円への課税です。

「これらの年金の各支給額のうち上記現在価値に相当する部分は、相続税の課税対象となる経済的価値と同一のものということができ、所得税の課税対象とならない(最高裁判決より)」

相続税の課税対象とした経済的価値(現在価値)を越えた部分は所得税の課税対象とする、としました。更に言い換えれば年金受給権価格と相続後に生じた運用益部分の差額は所得税課税するとしました。それをどうやって計算するのでしょうか。(なお第一審の長崎地裁平成18.11.7.判決は、運用益部分も全部まとめて非課税としていましたから、もっとすごかったのですが。)

初年度分230万円は「被相続人の死亡日を支給日とする第一回目の年金であるから、その支給額と被相続人の死亡時の現在価値とが一致するものと解される。そうすると、本件年金の額は、すべて所得税の課税対象とならない(最高裁判決より)」。初年度230万円はすべて非課税としました。つまり1400万円の内230万円は初年度分ということです。所得がゼロだというのですから、これは収入金額230万円で必要経費しての年金現価は230万円なのでしょう。翌年以降はどのように計算するのでしょうか。難しい現価率を使うしかなさそうです。また1400万円は正しい年金現価ではなく安全性をもって評価された仮定の金額にしかすぎません。この数理を税法に落とし込むと複雑な算式による税制になるしかありません。すでに定期借地権の課税等でこれら複雑な数式が使われていますが、使用頻度の多い年金の雑所得でもそうなるのでしょうか。

これは理屈の問題ではなく技術的な問題に過ぎないのですが、大変なことであるのは事実です。税法はどのような場合にもどんな場合にも数千件数万件の事案にもスムーズに対処できるような定めにしないといけませんから。

最高裁判決を税法に取り込むのは大変でしょう。でもやらないといけません。最高裁判決として出てしまったのですから。これからこの最高裁判決によっての過去の年金についての還付手続きが始まります。難しい算式に苦労することになるでしょう。今一番困っているのはどのような仕組みにして還付するかを考えている財務省と国税庁のお役人でしょう。所得税は住民税等にリンクします。つまり住民税や社会保険料等にも波及しそうです。

続く「生命保険年金は二重課税との微妙な最高裁判決と還付(2)」


2010.7.19.(2010.7.20.誤り訂正) 保険選びネット管理人 山浦邦夫

「年金受取」型死亡保障は逓減保障

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