解約返戻金なしの定期保険10年満期と70歳満期の比較昨年、ライフネット生命やSBIアクサ生命などネットで廉価の生命保険を販売する保険会社が新規参入して話題となりました。 商品は生命保険の基本である定期の死亡保障と医療保険で、業界内に少なからず影響を与えています。
そんな中、昨年10月にネット販売とは対極にあるマンパワーメインのコンサルティング営業を旗印とするソニー生命から「廉価版の生命保険」が発売されました。
発売されたのは「無解約返戻金定期保険」と「無解約返戻金定期特約」です。
前者は単品の独立した解約返戻金がない定期保険で、後者は終身保険などに付加する同内容の特約です。
注目すべき点は、ソニー生命においてお家芸ともいえる「非喫煙者割引」と特約による割引です。
ライフネット生命やオリックス生命など解約返戻金のない定期保険を販売しているところで、「非喫煙者割引」は取り扱っておりません。
また、特約にすると割引となる、というのは昔の国内生保ではよくありましたが、アカウント型全盛の昨今、極めて珍しくなっています。
解約返戻金なしの定期保険10年満期と70歳満期の比較 そこで今回は、解約返戻金なしで保険料を大きく割引している元祖のオリックス生命の「ファインセーブ」、新規参入で話題のライフネット生命の「かぞくへの保険」、そして注目のソニー生命「無解約返戻金定期保険」と「無解約返戻金定期特約」を取り上げて比較してみました。
保険金2000万円 定期保険比較 単位:円/月
| 【男性】 10年満期
| オリックス | ライフネット | ソニー | ソニー | ファインセーブ
| かぞくへの保険
| 無解約返戻金 平準定期保険
| 無解約返戻金 平準定期特約※
| 20歳
| 2,860
| 1,934
| 3,200 | 2,020 | (非)2,980 | (非)1,800 | 30歳
| 3,280
| 2,406
| 3,580 | 2,420 | (非)3,140 | (非)1,960 | 40歳
| 5,580
| 4,910
| 5,780 | 4,600 | (非)4,720 | (非)3,540 | 50歳
| 11,520
| 11,546
| 11,560 | 10,380 | (非)9,220 | (非)8,404 | 70歳満期 | | 20歳
| 4,500
| -
| 5,660 | 4,480 | (非)4,940 | (非)3,760 | 30歳
| 6,280
| -
| 7,520 | 6,360 | (非)6,380 | (非)5,200 | 40歳
| 9,740
| 10,810
| 10,800 | 9,620 | (非)9,040 | (非)7,860 | 50歳
| 15,600
| 17,114
| 16,320 | 15,160 | (非)13,700 | (非)12,520 | | 【女性】 10年満期
| オリックス | ライフネット | ソニー | ソニー | ファインセーブ
| かぞくへの保険
| 無解約返戻金 平準定期保険
| 無解約返戻金 平準定期特約※
| 20歳
| 1,980
| 986
| 2,400 | 1,220 | (非)2,340 | (非)1,160 | 30歳
| 2,580
| 1,646
| 2,940 | 1,760 | (非)2,780 | (非)1,600 | 40歳
| 3,900
| 3,102
| 4,200 | 3,020 | (非)3,920 | (非)2,740 | 50歳
| 6,580
| 6,106
| 6,800 | 5,620 | (非)6,180 | (非)5,000 | 70歳満期 | | 20歳
| 2,940
| -
| 3,820 | 2,640 | (非)3,620 | (非)2,460 | 30歳
| 3,980
| -
| 4,860 | 3,680 | (非)4,540 | (非)3,380 | 40歳
| 5,640
| 5,650
| 6,360 | 5,180 | (非)5,900 | (非)4,720 | 50歳
| 8,100
| 8,284
| 8,640 | 7,460 | (非)8,000 | (非)6,820 | (非):非喫煙者割引 | | :一番割安となる保険料 | | :非喫煙者で更に割引となる保険料 | | ※平準定期特約:終身保険や養老保険に特約として付加した場合 |
表を見ていただければ分かるように、単品では概ね10年定期はライフネット生命、70歳満期はオリックス、40歳以上の男性で煙草を吸わなければソニー生命の保険料が割安となります。
ここまでで感じることは、「コストを抑えて保険料が割安」のはずのネット販売の保険料を、コンサルティングセールスできめ細かくお客様に対応するソニー生命でも工夫次第(非喫煙、特約での割引き)で凌駕できるということです。
また、ここまでの留意点としては、20歳女性以外全てで保険料が一番割安のソニー生命の「無解約返戻金定期特約」(非喫煙の場合)については、終身保険などの主契約とともに加入しなければなりません。
現状の保障に上乗せでの活用は難しく、抜本的に保障を見直し、死亡保障については終身保険など主契約からソニー生命で組み立てる必要があります。
まとめ 今回改めて再確認したいのは、ネットや通販、つまり営業マンを通さないで加入する非対面の生命保険については若くて健康に問題がない方(さらに煙草を吸う方)にとってはベストの選択肢となりますが、若くても健康に不安がある方にはお勧めできない、ということです。
その理由は非対面販売における一般論(経験則を含む)として以下の2つです。
- 健康状態がグレーゾーンであれば謝絶になるケースが多い
- 被保険者の思い込みや無意識のうちに不適切な告知をしているケースがある
2につきましては、通販が多いアリコジャパンについて一般のお客様の多くがが「保険金、給付金を出し渋る」というイメージを持っていますが、先般の不払い騒動でアリコジャパンが突出して不払いが多かったわけではないことから導きました。 つまり、非対面の場合、実際の不払いでない「被保険者から不払いと感じられてしまう事例」が少なくないのは、被保険者の思い込みや無意識のうちに不適切な告知を誘発してしまうケースが多々あり、最終的には被保険者、契約者の不利益となってしまいます。
言うまでもなく、被保険者を適切な告知に導くことは、保険募集人の重要な役割です。
従いまして、被保険者の健康状態によってきめ細かい対応をしてくれるソニー生命が、ネット通販の割安保険料を凌駕する金額で参入してきたことは大きな意義があると思います。
2009年3月
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