生保の社員総代会「とんでも」傍聴体験記 その2
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生保の社員総代会「とんでも」傍聴体験記 相互会社システムは機能しているのだろうか。 ------------------------------------------------------------ ●とんでも傍聴体験
タクシーで会場にたどり着いた。
有名高級ホテルの2階すべての広間を借り切ったのが社員総代会 の議場になっていた。ホテルのあちこちに保険会社のバッチをつけ たスタッフが立っており、緊張感が漂っている。ちなみに社員総代 の数は150人。昨夜はこのホテルに泊まった社員総代も多いらしくホ テルのフロントでチェックアウトをしては、次々に二階に消えてい く。ただし二階への入り口は厳しいガードとチェックとで関係者以 外は入れない。
私の傍聴券には「議場内ではなく別室でスクリーン」にてとある。 ネット上の案内文にも「議場内への入場者は申し込み先着順。残り はモニターの別室のモニターで」とあった。先着順なら仕方がない。
私は社員総代ではなく単なる傍聴人だ。別室で傍聴というのだか ら、大きな部屋にテレビが一台あって、折りたたみイスがズラリと 並んでいる風景を勝手に想像していた。しかしとんでもない。現実 は大きく異なった。
指定された別室はホテルの地階にある宴会フロアにあった。絨毯 の敷かれた階段を下りて驚いた。結婚式場のような華やかな受付が セットされており、受付には何人もの女性。
その周辺には会社のバッチを胸につけたスタッフがたくさんいる。 受付に進むと、単なる傍聴人の胸にまるで来賓につけるかのような 花をつけてくれる。その花の下にはしっかりと傍聴者の名前が書き こまれている。名札代わりということか。
受付の女性に聞いてみた。「傍聴者は全員ここで傍聴なのでしょ うか」「そうです」。つまりネット上で説明されていたような「議 場内への入場者は申し込み先着順。残りはモニターの別室のモニタ ーで」はなく傍聴者全員が地下に隔離なのか。「説明と違うだろう。 おかしいだろう。」と声を荒げた。周りが皆振り向いた。
(なお、このメールマガジンを発行するに際して後日説明いただい たところでは、二つの傍聴部屋のうちの、私が傍聴したほうではな い別の一つの部屋は、この地下から議場にエレベーターで移動して、 議場内にて傍聴したとのこと。つまり約半数は議場内で傍聴した。 私の勘違いだった。)
傍聴部屋は二つある。後に分かるのだが傍聴者は全部で30名ほど。 二つの部屋に分けて案内される。係りに案内されて、その傍聴部屋 に足を踏み入れてみると、予想していた折りたたみイスの風景はな かった。
中華料理店にあるような円卓テーブルが三つがゆったりとおかれ た広い宴会場だった。テーブルには白いテーブルクロス。大きなテ レビモニターが三台セットされている。
その円卓の一つに案内されると、その円卓には結婚式の宴席のよ うに名前の書かれた席札が置かれている。単なる傍聴人にここまで するの?。席に着こうとすると、そのテーブルに着席していた紳士 3人が急に立ち上がり私に深々と挨拶をする。私もあわてて深々と。 傍聴者同士でこんな挨拶をするのかと、まず驚き。
しかし、それは私の勘違い。この3人はこの保険会社本社の部課 長だとあとで紹介される。私の円卓は傍聴者5人(本来は6人だが1人 欠席で5人)と保険会社の役職者3人の合計8人。つまり傍聴者のどち らかの隣には必ず役職者がいるという席割りになっている。さて、 彼らは説明役なのか接待役なのかはたまた監視役なのか…。
部屋に傍聴者は約15名。各テーブルに傍聴者5人程と役職者3人な のか。部屋の入り口に保険会社側が別途数人。
入り口のひとりは胸に弁護士バッチをつけた紳士。ただしこの紳 士は最初から最後まで眠るがごとく目をつぶったままだったので弁 護士として傍聴者に目を光らせていたわけではない。
見渡すと傍聴者の大半をビジネスマン風のスーツ姿が占めている。 平日の午前中だ。いったいどんな立場で、どんな興味で、どんな目 的でここに来ているのだろうか。
議事がモニターに映されて、メモをとる人もいるが、つまらなそ うに目をつぶっている人も目立つ。それ以外には中高年の女性が目 立つ。その女性の一人とお話したところ、この保険会社の元営業員 さんだった。
10時35分にモニターでの議場の中継が始まる。取締役が並んでい る演台は映されるが、社員総代側の様子は一切写らずに議場の空気 は伝わってこない。ただあれだけ広い宴会場で、社員総代数は150 人。きっとこの傍聴者席よりももっと広々としているのだろうな…。
------------------------------------------------------------ ●社員総代会の議事進行
議長役の社長は滞ることなくスムーズに議事を進行していく。決 算の説明が20分ほど、今後の事業展開についてが10分ほど。随分と 事前準備したのだろう、よどみない説明が続く。とても分かりやす いし、資料についても詳細に用意されている。
こうして質疑応答の時間となる。まず事前に社員総代8人から質 問が15問。これには事前に回答が準備されておりよどみなく進む。
意外にも厳しい突っ込みもある。社員総代のひとりに生命保険分 野に詳しい大学教授がいらして、この教授の事前質問は厳しい。
質問「総代の定数を増加させるとある。定数を増加すると総代会 費用はどの程度増加するのか。増加することに積極的な十分な意義 はあるのか。」と、金融庁での議論を踏まえ教授は事前質問の上に 口頭での意見と質問を重ねる。
回答「現在150名の社員総代を30名増加する。選考方法の多様化 を図り、社員の意思をより一層幅広く総代会に反映できるようにす ることが、ガバナンスの強化のために有効な方策であると考えたか らだ。
現在社員数は約800万名で、この意見をどれだけ反映できるのか といった点が課題であり、本来は社員総会を開催し一堂に会するの が理想だが事実上困難だ。 総代定数の増員により総代会に係る費用はおよそ年200万円程度 増加する。」
…社員総代ひとりあたり7万円か…交通費と宿泊代?プラスアルフ ァかな…ちなみに私は社員総代ではなく傍聴者なのでそのようなこ ともなく新幹線代は自腹。
質問「退職慰労金を開示する企業が増加している。この保険会社 も開かれた会社として、退任取締役への慰労金の総額を開示すべき ではないか。」
回答「今回退任の4名分は約2億2000万円プラス功績加算額であり、 功績加算額は取締役会で決めさせていただく。」
この事前質問15問で総会は終わりかと思ったものの、議場からの 質問を受け付ける。その場で挙手による(と思われる…傍聴部屋の モニターからは見えないので)質問が4問。「高齢の保険契約者の誕 生日にはなにかプレゼントをよこせ」なんていう質問もある。
ここで質問がされると社長のかげにいるスタッフが、スッと回答 メモらしきものを議長役の社長に渡す。12時5分質疑終了。そこで 議案の決議。利益処分、定款変更、役員退職金、もちろん異議なし。 12時15分終了。そのままモニターは消える。
3日後の日経金融新聞には各相互会社の社員総代会での質問数が記 されていた。この保険会社が最多だったようで多くは10問以下。し かしこの保険会社の19問が多いというものの質問者数は10人ほど。
社員総数を800万人と回答していた。そのうちで社員総代150人、 傍聴人30人、質問という形でその場で意見表明したのは10人ほどと いうことになる。
この会社の社員総代会のような「退職金の総額は」などというシ ビアな質問はネット上で確認する限り、他社ではなかったようだ。 もちろん期待していた転換契約への質問なんてありゃしない。どこ もシャンシャン総代会のようだ。
金融庁の保険会社に対する事務ガイドラインは前述のように今年 の3月に改正されている。社員総代会については「総代により提出さ れた議案等に係る保険会社による説明内容や各総代の発言内容等の 詳細」について「インターネットのホームページの活用等により」 開示しろとこと細かく定めた。各保険会社は開示せざるをえない。
------------------------------------------------------------ ●総代会が終わって
傍聴部屋の役職者にも無事に社員総代会が終わったという安堵の 表情がながれている。このあとはお食事タイム。
「これからお食事の用意をしますので・・・」
しかし私の隣のスーツ姿の傍聴人は、やっと仕事から開放された という風情で、そのまま立ち上がり一礼して書類カバンを手に足早 に部屋から消えていった。
ありがたいことに傍聴人にもホテルの食事が振舞われる。傍聴に 来ただけなのに高級ホテルの立派なお弁当、サラダ味噌汁コーヒー 付き。残念なのはお茶だけということ。さすがに「ビールがほしい 」とは言えない。
ぎこちないながらも各テーブルごとの食事をしながらの懇談が始 まる。説明役(監視役?)は、本社の部課長だから、社内では皆それ なりに偉い人たち。その人たちが頭を低くして誠意をもって傍聴者 との会話をすすめようとする努力は伝わってくる。結構楽しく会話 ができた。
いよいよお開きの時刻を迎え、役職者一同に見送られて、傍聴者 一同は退出する。
私は地下鉄で新大阪駅に向かい、そのまま東京に戻った。
さて単なる「傍聴者」がこれほど大切に扱われるとは思わなかっ た。扱われる側としては悪い気はしない。私なんぞは最初受付で声 を荒げたくせに(後に勘違いと判明したが)、おいしい食事をいただ いておとなしいネコになってしまった。
しかし傍聴者をこれほどまでに大切に扱ってしまうということに 病巣がある。150人の社員総代と30人の傍聴人を気遣うのではなく、 800万人の社員からの付託に答え、それを結果をだすことだろう。 わずか180人に気を使うことで800万人に気を使わないで済んでいる。
居酒屋「和民」を運営するワタミフードサービスの株主総会は70 00人まで入れるホールで行われた。出席者を3000名から4000名と予 想するものの、何人が出席するのか当日まで分からないいので、全 ての出席者を別会場ではなく同じ議場内に案内したかったから広い 会場にしたという。
この保険会社では社員数は800万人。それで社員総代150人で、傍 聴者はわずか30人。株式会社の運営に比べて相互会社の運営が楽な のは確かだろう。
○ある社員総代の感想 http://www.asahi-net.or.jp/~TX3T-ISYM/hoken.htm 「一番驚いたのは、社員総代会ですね。事前の手配や出席者への 気遣いがすごい。会ったこともない女性が「○○さまーっ、お待ち していました」と叫んで、花をつけてくれる。昔からの知り合いみ たいに、自信たっぷり。あれ、間違えることだってあるでしょうね、 私に「□□様」とか(笑)。どうやって準備するのかな。」
私が傍聴した今回の社員総代会もシャンシャン総代会には違いな かったが、総代会の中においてはしっかりと説明責任を果たしてい たし、大学教授からの厳しい質問もしっかり受け止めていた。そも そもこの教授のような「何を言い出すか分からない社員」を社員総 代に選出するのはそれなりに見識ではある。社員総代会としてはし っかり行われていた。
しかし保険会社は相互会社のままでいいのだろうか。問題点は株 主総会ではなく社員総代会であることだろう。傍聴してみて実感し た。
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この情報は公開情報と独自調査によります。発売元保険会社のパンフレットや約款等によりご確認ください。
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