注目商品 EVER払済(アフラック) by 柳澤美由紀(4)アメリカンファミリー

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注目商品 EVER払済(アフラック) by 柳澤美由紀(4)

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注目商品 アメリカンファミリー「EVER払済タイプ」


アヒルのテレビCMでおなじみのAFLAC「EVER」に、60歳または65歳で保険料の払い込みを終わらせることができる払済タイプが登場しました(2007年2月15日発売)。

正直言って何の変哲もない新商品なのですが、生きている限り保険料を払い込む「終身払い」のみであったEVERに「短期払い(60歳払済など、保障する期間よりも保険料の払込期間を短くしたもの)」が加わったのは、個人的にはちょっと意外でした。

保険会社の財務面で考えると、徴収する保険料は少なくても細く長く保険料収入が入ってくる「終身払い」が安定しているという判断で、AFLACは同社のメイン商品である終身医療保険ならびにがん保険に「短期払い」を導入しなかったと思っていたからです。

まぁ、利用者サイドとしては、60歳(または65歳)以降に保険料を払わなくてすむという選択肢ができたのは嬉しいんですけど。

ちなみに、EVERとは、一生涯の入院保障(ケガ入院は90歳まで)と手術保障をコアにしたシンプルな保障設計と解約返戻金・死亡給付金をなくすことで手軽な保険料にしたことで人気を集めている終身医療保険です。

2006年9月末時点のEVERシリーズの保有契約件数は270万件を突破。生保38社が取り扱っている医療保険(2006年9月末の保有契約件数)の16%を占めています。

20〜50歳の保険料総額は83万〜103万円程度(日額5000円、60歳払済の場合)


払済タイプの場合、最終的にいくらの保険料を払い込めばいいのか、また、終身払いと比べて、何歳まで生きていればトクなのか気になるところです。


見てのとおり、加入した年齢によって、EVER(終身払い)とEVER払済タイプの損益分岐点は異なります。しかし、総じていえば、加入年齢が若ければ若いほど、払済タイプを選んだほうが有利だといえるでしょう。

20歳男性が「EVER払済タイプ(入院日額5000円、60歳払済)」に加入した場合、月払保険料は1750円で、払込保険料の合計額は84万円。67歳まで生きていれば、終身払い(月払保険料1490円)よりもオトクになっています。

一方、50歳男性の月払保険料は7275円。払込保険料総額は87万3000円で、損益分岐点は74歳になります。

女性の場合、男性よりも平均寿命が長いこと(男性78.53歳、女性85.49歳)が影響しているのか、払込保険料の合計額は総じて高くなっています。

50歳女性が加入した場合、総額103万4400円の保険料を払い込むことになります。終身払いとの損益分岐点は79歳となり、50歳女性の平均余命(36.81年)を考えると有利な感じがします。しかし、入院日額5000円であれば、50歳から天寿を全うするまでの間に207日以上入院しなければ元はとれません(手術給付金を受け取らなかった場合)。

EVERから支払われる入院給付金は、1入院60日限度(通算1000日)になっています。50歳の女性がこの保険を利用する場合、1度の入院で60日分、めいいっぱいもらったとしても、手術給付金が支払われなければ、[60日分の入院給付金×3回+27日分の入院給付金]と、最低でも4回入院しなければ採算が取れないのです。加入する場合は、この点を肝に銘じておきましょう。

しかし、このようなことは、この保険に限ったことではありません。

中・高齢者の方で、特に女性の方が終身医療保険に加入する場合は1入院の支払い限度日数をチェックして、どれだけ入院すれば採算がとれるのか確認すること。そして、貯蓄で備えることも含めて、検討することが大切でしょう。

では、60歳または65歳で保険料が半額になる「EVER HALF」と比較した場合はどうなるでしょうか。


保険料がずっと変わらない「EVER」に比べると、損益分岐点がくるのは総じて2〜4年ほど遅くなるようです。


同タイプの他社商品と比較してみました

次に、短期払いの他社の終身医療保険(オリックス生命「医療保険 CURE」)と比較してみました。


まったく同じ保障内容ではありませんので保険料だけの単純比較はできませんが、男性の場合は40歳、50歳でアメリカンファミリー「EVER払済タイプ(60歳払済)」が安く、女性の場合は総じてオリックス生命「医療保険CURE 基本プラン(60歳払済)」が安くなっていました。

これらの違いに関するはっきりとした理由はわかりません。なので、あくまでも筆者の推測ですが、2商品の手術保障と七大生活習慣病入院に関する1入院の支払い限度日数の違いが影響しているのではないかと思っています。

手術保障ですが、「EVER」の場合、入院日額の10倍・20倍・40倍となっていますが、オリックス生命「CURE」は20倍のみ(つまり、入院日額5000円であれば一律10万円)となっています。また、七大生活習慣病(がん(悪性新生物、上皮内新生物)、糖尿病、心疾患、高血圧性疾患、脳血管疾患、肝硬変、慢性腎不全)の1入院の支払い限度日数は、「CURE」の方が120日と長くなっています(EVERは60日)。

厚生労働省「平成17年 患者調査」の「傷病分類別にみた受療率(人口10万対)」をみると、がん(悪性新生物、上皮内新生物)の入院受療率は「男性153、女性114」と、圧倒的に男性が高くなっています。また、総患者数をみても、悪性新生物(男79万2000人、女63万人)、糖尿病(男132万3000人、女114万7000人)、虚血性心疾患(男46万1000人、女40万3000人)、肝疾患(男18万人、女13万2000人)において、女性患者よりも男性患者が多いことがわかっています。

また、入院期間は年齢を重ねるほど長びく傾向があります(同調査によると、15〜34歳の平均入院日数が13.2日に対して、35〜64歳で34日、65歳以上で50.8日)。

CUREの40歳および50歳男性の保険料がEVERよりも高くなっているのは、七大生活習慣病入院における1入院の支払い限度が長くなっていることが影響していると思われ、EVERの女性の保険料が高いのは、七大生活習慣病の影響よりも、手術給付金の支払いの違いが反映しているのではないかと考えられます。

いずれにしても目を見張るほどの保険料の差ではありませんので、甲乙つけがたい結果となりました。CUREにはここで紹介したプランの他に、「充実保障プラン」というものがあり、三大疾病で入院したら一時金(50万円)が支払われる「三大疾病治療一時金特約」があります。

これをつけると保険料がぐんと高くなりますが、他には類のない特約(2007年2月1日現在)ですから魅力的ですし、第三分野をリードするアメリカンファミリーの安定した財務基盤も見逃せません。契約される方の年齢・性別によって判断がわかれるのではないでしょうか。

2007年2月



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