注目商品 じぶんへの保険(ライフネット生命) by杉山明(4)ライフネット生命

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生命保険■独断解説

注目商品 じぶんへの保険(ライフネット生命) by杉山明(4)

7475  ライフネット生命

終身医療保険「じぶんへの保険」(ライフネット生命)の分析

保険商品に関する情報

この商品の評価ポイント

  • インターネット上の情報開示は見やすく丁寧で、商品の簡潔さを含めて消費者が理解しやすい情報になっている

  • 保障内容は、入院保障+手術保障の簡単なものであり、消費者が理解しや保険料はそれほど高いわけではない。また、終身払込の金額が表示されるため、保険料が安く見える場合が多い

この商品の注意を要するポイント

  • ライフネット生命は創業して日が浅く、本格的に給付金の支払いが発生するまでにはタイムラグがある

  • セカンドライフの期間には保険料を支払いたくないといったニーズには対応できない

消費者側の注意点

  • 保険料が安いというイメージがあるが、この保険より、業界最大手のアメリカンファミリー生命の新EVER のほうが保険料は安い。

  • ソルベンシー・マージン比率は他社と比較して非常に高いが、これは、保有契約に対して資本の額が大きいためであるが、保有契約の増加とともにこの比率は低下することが予想される

保険商品に対するコメント

商品戦略

終身医療保険「じぶんへの保険」は、ライフネット生命保険の主力商品である。

同社は2008 年から、営業を開始した新しい保険会社である。

業界内での競合状態は、伝統的に医療・がんといった第三分野商品に強いアメリカンファミリー生命およびアリコジャパンがこの分野のリーダーの地位にあり、最近急速に医療関係を整備したオリックス生命、あるいは、損保系ひらがな生保、新規参入のライフネット生命などが対抗するといった構図になっている。

ライフネット生命の業界内での位置付けは、アメリカンファミリー生命やオリックス生命のようにあらゆる顧客層をターゲットとした商品戦略ではなく、若年・壮年層にターゲットを絞ったニッチ戦略である。

「じぶんの保険」と、もう一つの主力保険である「かぞくの保険」はともに、無解約返戻金型であり、『保険は掛け捨て』という共通の商品(企業)メッセージが消費者に伝わってくる内容になっている。

また、社長、副社長のメディアへの露出も多く、社員ブログも設置されており、情報発信能力は他の生命保険会社を凌駕している。

さらに、マニフェストを公表していることも、消費者の心理に訴求するものが大きいと考えられる。

販売チャネルは、直販社員による販売展開はないものの、□など保険販売を専業に行っている保険代理店(プロ代理店)による販売に加えて、セブン銀行など金融機関による販売、さらには、インターネットによる直販と販売経路は多岐に渡っている。

ただし、いずれも経路もインターネットを中心としている点が特徴である。

なお、□およびセブン&アイファイナンシャルグループはライフネット生命の株主である。

商品分析


商品構成は、シンプルなつくりとなっている。

これは、「生命保険をもっとわかりやすく」という同社のマニフェストと整合性がある。

「終身医療保険「じぶんへの保険」」のベースとなる部分の保障は、入院給付(1 回の入院の支払い60日限度、通算の入院支払い1095日限度)と手術保障である。

手術給付金が一律10 万円となっているが、これについては「高額療養費制度を使用した場合に、医療費の自己負担額が8 万円から9 万円で済むことが多いから」とホームページ上で回答を掲載している。

しかし、他社の先進医療特約の保険料が月額百数十円であることを考えれば、先進医療特約が用意されていてもよいのではないだろうか。

また、ライフネット生命は、付加保険料(保険料のうち会社の費用にあてるための部分)を開示しており、じぶんへの保険の場合、付加保険料の割合は25%(女性 30 歳)である。

付加保険料を積極的に開示している点は評価できるが、「保険会社の利益=付加保険料」というわけではない。

長年の給付実績から予定給付率を引き下げることにより保険料を下げるという保険会社もあるであろうし、将来にわたって保険会社が給付金の支払余力を充実させることが最高のサービスであると考える保険会社もあるであろう。

そう考えると、付加保険料の開示は、(開業から日の浅い)ライフネット生命が、(現在)採り得る選択肢の中で、最高の経営努力目標となっていると理解すればよい。

確かに、付加保険料の開示、ソルベンシー・マージン比率や会社の利源分析の解説などは、他社に先駆けてディスクロージャーを充実させておりその点は評価できる。

(ディスクロージャー誌参照)また、インターネット上の試算のわかりやすさも消費者にとってはよいサービスになっていると思われる。

一方、保険料払込方法は、終身払のみである。

定期タイプの保障は用意されていない。

少なくとも、60 歳払済とか65 歳払済のオプションは用意したほうが顧客のニーズに合致すると思われる。

保険契約者として知っておきたい関連情報は、ライフネット生命の解約・失効率(件数ベース)(17.1%:平成21 年度)が、競合他社(アメリカンファミリー生命 4.6%%)と比較して高いことである。

また、ソルベンシー・マージン比率の数値は他社に比較して非常に高い数値になっているが、営業を開始して日が浅く保有契約に対する資本の額が相対的に大きいためにこのような数値になっている。

年の経過とともに保有契約が増加して、ソルベンシー・マージン比率は低下していくものと予想できる。


解約失効率について





2010年9月16日









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この情報は公開情報と独自調査によります。発売元保険会社のパンフレットや約款等によりご確認ください。


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