東京高裁判決…無催告失効は無効 2/3

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東京高裁判決…無催告失効は無効 2/3

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東京高裁判決…保険約款の無催告失効条項は消費者契約法違反で無効2/3

生命保険約款中の不払失効条項は消費者契約法10条により無効とされた事例 東京高裁平成21年9月27日判決(2/3)

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(被控訴人の主張)
(ア) 司法は具体的な紛争に関してその解決を
 図ること′を第一義としていることからする
 と、抽象的に本件無催告条項の有効性を議
 論するよりも、まずは、本件の具体的な事
 実関係に照らして、本件各保険契約の失効
 の有無を論ずるべきである。原判決の「事
 実及び理由」欄の第2の3(1)イ桝(上記ア
 において訂正したもの)に主張した事情の
 下においては、本件各保険契約が有効に失
 効したことに疑問を差し挟む余地はない0
 第8次国民生活審議会消費者政策部会報告
 においては、保険料の不払により保険契約
 が無催告で当然に失効する旨の定めをする
 約款についての実務上の改善策として、書
 面による保険料払込みの督促をし、その督
 促に当たっては保険料の支払がないまま払
 込猶予期間を過ぎる′と保険契約が失効する
 ことを保険契約者に明瞭に理解させるため
 の措置を講ずる必要があるとの提言を行っ
 ているが、本件においては、被控訴人は、
 その提言に沿った取扱いをしており、非難
  されるべき点はない。
(イ) また、保険契約は、その性質上、あらか
 じめ保険料の支払時期、支払方法等の商品
 内容が決まっていて、かつ、膨大な数の保
 険契約者との間で行う画一的、集団的な取
 引であるから、保険料債務の不履行があっ
 夷場合の催告、履行請求、解除等に伴うコ
 ストを考えると、他の保険契約者の負担に
 ならないように大量の契約を機械的に処理
 せざるを得ず、同じ継続的契約であると
 いっても、賃貸借契約のように当事者間の
 個々の信頼関係にまで配慮することはでき
 ない。したがって、賃貸借契約を例に引い
 て、1箇月分だけの保険料の不払で保険契
 約が失効するのは不当であるという控訴人
 の主張は、失当である
(ウ)次のような事情にかんがみると本件無
   催告失効条項は、民法1条2項に規定する
   基本原則に反して消費者の利益を一方的に
   害するものであるとはいえない。
  @ 本件保険約款では、払込期月の経過後1
   箇月間を払込猶予期間としていること。
  A 実務上、保険料の振替不能があった場合
   には、事実上の督促の通知が送付されてい
   ること。         t
  B 本件保険約款では、解約返戻金の範囲内
   で保険料自動貸付けの制度が設けられてお
   り、これにより保険契約の失効を防ぐこと
   が可能であること。
  C 本件保険約款には、保険契約の復活の制
   度があること。
  D 催告の際に停止条件付解除の意思表示を
   併せて行う場合を考えると、解除の意思表
   示を要せずに失効するとすることが特段保
   険契約者に不利益を与えるものであるとは
   いえないこと。
  E 保険料支払債務は金銭債務であるから、
   保険料の不払にフいては、通常保険契約者
   に帰責事由が認められること。
  F 本件無催告失効条項は、保険契約の継続
   を希望しない保険契約者にとっては、保険
   者から履行の強制や損害賠償請求を受けな
   いで簡単に保険関係から離脱することがで
   きるメリットがあること。
  G 本件無催告失効条項は、主務大臣の認可
   を受けていること。
  H 保険契約は、不動産賃貸借契約とはその
   性質が大きく異なり、信頼関係破壊の法理
   が適用されないこと。
 I 保険法(平成20年法律第56号)の立案過
   程において、本件無催告失効条項に関連す
   る規定の制定が見送られたこと。
 J 本件においては、原判決の「事実及び理
   由」欄の第2の3(1)イ桝(上記アにおいて
   訂正したもの)のとおりの事情が認められ
   ること。

(2)争点(2)(本件各保険契約の復活の不承諾が
信義則違反又は権利濫用となるかどうか)につい

 争点(2)に関する当事者の主張は、原判決の「事
実及び理由」欄の第2の3(2)(原判決9頁15行目
から13貢21行目まで)に記載のとおりであるから、
これを引用する。ただし、原判決12貢15行目の
「前記1、(4)、ア、イ、エ及び同(5)、イ」を「前
記(1)イ桝」に、同13貢18行目及び19行目の「前記
1、(4)ア、イ、エ及び同(5)ア、イ」を「前記(1)イ
(ウ)」に改める。


第3 当裁判所の判断
 1争点(1)のうち本件無催告失効条項が消費者
契約法10条の規定により無効となるかどうかにつ
いて

(1)上記第2の2の前提事実によれば、控訴人
は消費者契約法2条1項に規定する消費者、被控
訴人は同条2項に規定する事業者であるから、本
件各保険契約は、同条3項に規定する消費者契約
であって、同法の施行期日(平成13年4月1日)
以後に締結されたものであるから、同法10条の適
用があることは明らかである。
 消費者契約法10条の規定は、民法、商法その他
の法律の公の秩序に閲しない規定の適用による場
合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の
義務を加重する消費者契約の条項であって、属法
1条2項に規定する基本原則に反して消費者の利
益を一方的に害するものを無効とするもの.である。

(2)そこで、まず本件無催告失効条項が民法、
商法その他の法律の公の秩序に閲しない規定の適
用むごまる場合に比し、消費者の権利を制限し、又
は消費者の義務を加重するものであるかどうかに
ついて検討する。
 本件保険約款における第2回目以後の保険料の
支払に関する定めは、上記前提事実(上記第2の
2(3))のとおりである。この定めによれば、ある
月の保険料の払込期月は当該月の初日から末日ま
での間とされるが、払込期月の翌月の初日から末
日までが猶予期間とされているから、保険契約者
が遅滞の責任を負うこととなる「期限の到来した
時」(民法412条1項)は、猶予期間の末日が経過
した時であるというべきである。すなわち、保険
者が保険料支払債務の強制履行(同法414条1項)
を裁判所に請求することができ、未払保険料に対
する遅延損害金(同法415条)の請求をすること
ができ、保険契約の解除(同法541条)をするこ
とができるのは、猶予期間の末日が経過した時か
らである(もっとも、払込期月中又は猶予期間中
に保険給付の支払事由が生じた場合には、保険給
付からまだ猶予期間の末日が到来していない保険
料の額を差し引くことができる旨の定めが置かれ
ている(本件医療保険約款12条4項、16条1項、
本件生命保険約款8条4項、12条1項。甲4、
5)。)。そして、本件保険約款上、払込期月文は
猶予期間の末日が経過した場合に保険者が保険契
約者に対して保険料支払の催告ないし督促をする
旨の定めは置かれておらず、保険料の支払がない
まま猶予期間の末日が経過すると、本件各保険契
約は、直ちに、保険者から保険契約者に対する解
除の意思表示がなくても、当然に、その効力を失
うこととされている。
 民法540条1項及び541条は、契約当事者の一方
がその債務を履行しない場合において、相手方が
相当の期間を定めてその履行を催告し、その期間
内に履行がないときは、’相手方は、契約の解除草
することができること、当事者の一方が解除権を
有するときは、その解除は、相手方に対する意思
表示によってすることを定めている。したがって、
本件無催告失効条項がないとすると、民法の当該
規定によれば、保険者は、猶予期間の末日までに
猶予期間の前月分の保険料の支払がない場合には、
相当の期間を定めてその履行の催告をし、その相
当期間内に履行がないときに保険契約者に対して
解除の意思表示(その相当期間内に履行がないこ
とを停止条件として催告と同時に解除の意思表示
をすることも可能である。)をすることにより、
保険契約を終了させることができるのが原則であ
ることになる。
 民法が契約を解除するにはまず相当の期間を定
めた履行の催告をし、その相当期間内に履行がな
いときに履行をしない者に対して解除の意思表示
をするとしているのは、契約の解除をするために
一定の要件を課し、履行遅滞に陥った債務者の権
利の保護を図る趣旨であることが明らかであり、
第2回目以後の保険料の支払に関して上記のよう
な定めを内容とする本件無催告失効条項は、保険
契約者がその保険料支払虐務を履行しない場合に
保険者がその履行の催告をすることを要しないと
している点及び保険者が保険契約者に対して契約
解除の意思表示をすることを要しないとしている
点において、同法の公の秩序に閲しない規定(同
法540条1項及び541条)の適用による場合に比し、
消費者である保険契約者の権利を制限しているも
のであることは、明らかである。
 そうすると、本件においては、本件無催告失効
条項が民法1条2項に規定する基本原則に反して
消費者の利益を一方的に害するものであるかどう
かが問題になるので、以下この点について検討す
 る。

(3)本件無催告失効条項が民法1条2項に規定
する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害
 するものであるかどうかについて
 ア(ア) 本件医療保険契約は被保険者が疾病によ
り入院した場合に日額1万円の保険給付を行うこ
とを内容とし、保険期間を終身とす声もの(甲
1)、本件生命保険契約は被保険者が死亡し、又
は高度障害となった場合に保険金受取人が保険金
1000万円の支払を受けることを内容とし、保険期
間を10年とするもの(甲2)であり、いずれも保
険者と保険契約者との間に長期間にわたって継続
的な関係が形成されるも、のである。そして、その
契約内容は、本件医療保険契約については被保険
者が疾病で入院した場合の保険契約者の負担を保
険給付によって軽減し、本件生命保険契約につい
ては被保険者が死亡し、又は高度障害になった場
合の保険金受取人の生活を保障することを目的と
するものであり、いずれも被保険者、保険契約者
又は保険金受取人にとって、本件各保険契約が保
険契約者の意に反して終了することになった場合
の不利益の度合いは、極めて大きいものであると
いうことができる。このように医療保険契約や生
命保険契約においては、消費者である保険契約者
側にとって、それが意に反して終了することに
なった場合の不利益の度合いは極めて大きいもの
であるということができる。
 (イ)そして、本件各保険契約における保険料の
支払方法については、口座振替の特約が付されて
いる。このような口座振替の方法は、今日におい
ては原則的な保険料の支払方法になっていると認
められるところ(公知の事実)、この方法による
保険料の支払については、振替予定日(通常、払
込期月中の一定の一日が予定される。また猶予期
間中の振替についても猶予期間中の一定の一日が
予定される。)当日において保険料振替口座に振
替に必要な金額以上の残高を保持しておかなけれ
ばならず、保険契約者のささいな不注意による残
高不足から振替不能になってしまう危険があるも
のである(今日では、各種公共料金の支払、ロー
ンやクレジットの返済、賃料、税金の支払等様々
な支払のために口座振替が利用され、残高管理が
難しくなっている状況にあることは公知の事実で
 ある。)。
 しかも、口座振替に係る金融機関との間をも含
めた約定によりその取り扱いは変わり得るもので
あるが、本件のように同一日に複数の保険契約の
保険料の口座振替が予定されている場合には(今
日ではそのような事例は決して少なくないと考え
られる。)、仮に一の保険契約の保険料を振り替え
るには十分な残高があったとしても、複数の保険
契約の保険料の合計額以上の残高がなければ、全
部の保険契約の保険料について振替不能となる事
態が起こり得るのである。また、猶予期間中の口
座振替については、2箇月分の合計保険料以上の
残高がなければ振替不能となる事態が起こり得る
のであり、本件のように猶予期間の末日までに複
数の保険契約の保険料の支払を要する場合には、
猶予期間中の振替予定日に保険料振替口座に一の
保険契約の猶予中の保険料を支払うには十分の残
高があったとしても、結局は全部が振替不能とな
り、当該保険契約を含めて全部の保険契約が失効
してしまうことも起こり得るのである。このよう
な場合にも、保険契約は猶予期間の末日の経過と
ともに当然に失効してしまうため、保険契約者が
同日の直後に振替不能の事実に気が付いたとして
も手遅れになって、保険契約者にとって酷な事態
が発生すろ可能性があるものである。
 (ウ)上記のように、保険契約者側にとって、保
険契約が意に反して終了することになった場合の
不利益の度合いは極めて大きいところ、保険料の
支払を口座振替の方法にした場合は、保険契約者
のささいな不注意や口座振替の手続上の問題から
保険契約が失効することがあり得るのである。そ
して、このような事態が生ずるのを防止するため、
民法の原則どおり・に、保険契約が終了する前に保
険契約者に保険料の支払を催告するという手順を
踏む必要があるのである(なお、払込期月が経過
した後に更に一定の猶予期間が設けられていると
しても、それは、上記事態の防止のために有効な
ものとはいえない。)。本件無催告失効条項により
消費者である保険契約者側が被る不利益は大きい
というべきである。


…2…



「保険約款の失効規定無効」東京高裁判決を読む

生命保険約款の規定は消費者契約法違反で無効







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