告知義務と質問に答える義務 by しごとにん(40)アメリカンファミリー

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告知義務と質問に答える義務 by しごとにん(40)

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「告知義務」と「質問に答える義務」

約100年振りに商法の中で保険契約のルールを定めた「保険法」の見直しが進められています。
昨今に保険金不払い問題により、行政が思い腰を上げた、というところでしょうか。
以下、リード部分の抜粋です。

法制審議会の部会は16日、加入者保護の強化を柱とした要綱案をまとめた。
生命保険などへの加入時に病歴などを申告する「告知義務」を「保険会社の質問に答える義務」に改め、保険会社側の責任を重くしている。
告知義務にからんで相次いでいる不払いなどのトラブルを防ぐのか狙い。
(後略・・・2008年1月17日 朝日新聞朝刊)


正直な感想としては「今さらこんなことを言っているのか」というところです。
そこで、「告知義務」の範囲とはどこまでなのか?ということを少し考えてみました。

「告知義務」の範囲


アフラックの「やさしいEVER」告知書抜粋
E過去5年以内に、下記の病気や異常で通院(診察、検査、治療、投薬)をしたことがありますか?

以下、がん(悪性新生物)、心臓病、動脈の疾患など病名が並びますが、この告知書の解釈として、5年より前であれば告知の義務はありません。
極端な例で言えば、2008年の1月に保険に加入するとして、2002年の12月に心臓病であってもドクターから完治と言われ、その後通院(診察、検査、治療、投薬)が全くなければ「告知義務」は発生しないことになります。

これは告知書を読み込めば当然のことで、これ以上でもこれ以下でもないと思いますが、今回の法改正の記事を読むと、これまでの「告知義務」はそうではなかったのか、そうであったが、運営がきちんとされていなかったのか・・・かなり座りが悪い感じがします。

「告知義務」=「保険会社の質問に答える義務」


今回の法改正について、よく読みこめば「告知義務」=「保険会社の質問に答える義務」は何ら変わらないことがわかります。
つまり、きちんと告知書通りの内容で、お客様をリードしていれば全く問題ないことになります。
それでは、なぜ今回のような法改正が手間と税金と時間をかけて行われているのでしょうか?

まだまだ根が深い「不払い問題」


現場での実例ですが、40代の見た目全く健康な男性のお客様のケースで保険切替の際、病歴など確認しました。
よくよくお話しを伺うと、子供のころから「小児喘息」と診断されていて、現在でも季節によって発作を抑える投薬が必要であるとのことでした。
既加入の最大大手の保険に加入する際、どのような経緯で加入したのかを伺ったところ「20年近く前に母親の知り合いの保険のおばちゃんにやってもらったけど、僕はその人にも会ってないし、書類にサインしただけだった」
ということで、当時から喘息は発症していたはずなので、その件について尋ねると「そのおばちゃんが何とかしてくれたみたいだった」というお答えでした。

このようなケースは「告知義務違反」に該当するのでしょうか?
恐らく20年前ということと、昨今の不払い問題の追い風で、万一この方が喘息で入院するようなことがあった場合、直ちに「告知義務違反」の適応にはならない可能性があるかもしれません。

しかし、厳密に言えば明らかな「告知義務違反」であることは間違いありません。
そのお客様については、その旨を伝えきちんと告知していただき、別の保険に切り替えることができました。
既契約においては、今後継続したところで保障としても、保険料の負担を考えても全くメリットがなく、おまけに「告知義務違反」という大きな十字架を背負い続けなければならなかったことになります。

このようなケースの責任の所在は、どこにあるのでしょうか?
20年前に、それこそ言った、言わないの話しとなり、水掛け論の応酬になりまし、当時の担当者のほとんどが退職しています。
また、本当の問題点は、このケースは氷山の一角に過ぎず、大手国内生保において頻繁に発生していると推測されることです。

書類上は、明らかにお客様が不利であることは変わりませんが、今回の法改正が過去契約における告知に遡及するものであれば、かなり救済される人が出てくる可能性があります。

改めて明らかになった生命保険募集の実態


100年に渡る歴史を伴った慣習が、そう簡単に変わることはありません。
現在進行形で今もどこかで、営業職員による余計な説明による「告知義務違反」は発生していると思います。
告知書に書いてある通りに、必要に応じて補助的な説明だけすればいいものを、「それは言わなくていいから」「薬をもらうだけなら通院じゃないから」などと危ないことを言う保険募集人は、残念ながら数多く存在するのも事実です。

優秀な保険募集人において、きちんと告知をいただいた上で、複数の保険会社と交渉して、一番条件がいいところと契約する、といったことはありますが、そこまでできる募集人はほんの一握りです。

一応今回の法改正は、2月以降国会に法案が提出されるようで、消費者保護の流れが進んでいると評価できますが、今回取り上げた告知義務における問題の上っ面の解決に寄与するだけに過ぎません。
当たり前のことを当たり前にやらない生命保険募集人を取り締まるものでしかかなく、抜本的、本質的な改善が期待できるものではないというのが結論ですが、これを機会に自分の生命保険加入の経緯や、これから加入される方は「告知義務」の意味合いなど再確認できればいいと思います。


2008年1月






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