年金保険の二重課税の判決解説 坂本嘉輝 3/8
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年金保険の二重課税の判決解説 坂本嘉輝 3/8

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死亡保険金を年金の形で支払う場合の二重課税の問題に関する最高裁判決について(3/8)

まずは税法の規定がどうなっているのかから見てみましょう。

<相続税法の規定>
相続税法第3条(相続または遺贈により取得したものとみなす場合)
第1項 次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該各号に掲げる者が、当該各号に掲げる財産を相続又は遺贈により取得したものとみなす。
第1号 被相続人の死亡により相続人その他の者が生命保険契約の保険金又は損害保険契約の保険金を取得した場合においては、当該保険金受取人について、当該保険金のうち被相続人が負担した保険料の金額の当該契約に係る保険料で被相続人の死亡の時までに払い込まれたものの全額に対する割合に相当する部分 5/20
(Aさんの場合、被相続人であるAさんの夫が保険料を全部払っているので、保険金の全てがみなし相続財産ということになります。)
(ここでみなし相続財産となるのは、上で「保険金」と表現されています。これが何を意味するのかが、今回の議論のポイントです。)

相続税法第24条(定期金に関する権利の評価)

第1項 定期金給付契約で当該契約に関する権利を取得した時において定期金給付事由が発生しているものに関する権利の価額は、次に掲げる金額による。
第1号 有期定期金については、その残存期間に応じ、その残存期間に受けるべき給付金額の総額に、次に定める割合を乗じて計算した金額。ただし、一年間に受けるべき金額の十五倍を超えることができない。
残存期間が五年以下のもの 百分の七十 残存期間が五年を超え十年以下のもの 百分の六十 残存期間が十年を超え十五年以下のもの 百分の五十 残存期間が十五年を超え二十五年以下のもの 百分の四十 残存期間が二十五年を超え三十五年以下のもの 百分の三十 残存期間が三十五年を超えるもの 百分の二十
(Aさんの場合、年金の支払期間は10年なので、100分の60、すなわち0.6が適用されます。)

Aさんの夫が死亡して、Aさんは第一生命から年金を貰うことになりました。これはAさんの夫から相続したのかというと、そうではありません。Aさんの夫が持っていたものを、夫が死亡したのでAさんが貰うというのであれば相続ですが、この年金(あるいは年金を貰う権利)は、Aさんの夫が持っていたものではなく、Aさんの夫の死亡によりAさんの夫と第一生命との契約により、第一生命がAさんに払うことになったものです。

そのためこの年金(あるいは年金を貰う権利)は、相続財産には入りません。とはいえ、この年金が支払われるのは、Aさんの夫の死亡がきっかけとなっているのははっきりしていますので、相続税の計算上相続財産ではないけれど「相続財産であるとみなして」相続を計算しようというルールになっているわけです。そこでこのような相続財産ではないけれど相続税の計算に入れられるものを「みなし相続財産」ということになっています。

ところが相続税法第3条には「保険金」をみなし相続財産とすると書いてあるのですが、ここには「年金」とも「年金受給権」とも書いていません。そこで今回のような死亡を原因として年金を払うような場合(以下簡単のため「死亡年金」ということにします。ちょっと変な言葉ですが、「死亡保険金」の保険金の支払方法が年金だから「死亡年金」ということで理解して下さい)、どうするかというのは、解釈の問題になります。以下で詳しく説明しますが、Aさん側も国税側もこの「保険金」には「年金」も含まれていると解釈することでは一致しています。

またいろいろ議論する過程で、保険金や年金も保険金・年金のそのものではなく、その「受給権」のことだということでも一致しています。ただしAさん側の解釈では、この「年金」は相続の時に(あるいは夫の死亡により)発生する年金の受給権だけでなく、その受給権にもとづきその後毎年発生する死亡年金の支払も含まれると解釈するのに対し、国税側はこの相続税法第3条で言っているのはあくまで死亡年金の受給権だけで、それにもとづきその後毎年発生する死亡年金の支払自体は別物だと言っています。ここの所の解釈が最後まで争点となりますので、そのつもりで以下を読んで下さい。最後に最高裁の判決はさらに別の解釈になります。

<所得税法の規定>
さてこの相続税の規定で相続税の計算ができたところで、次に所得税の計算になるわけです。

所得税法第9条(非課税所得)
(第1項) 次に揚げる所得については所得税を課さない。
(第15号) 相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの(相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)の規定により相続、遺贈又は個人からの贈与により取得したものとみなされるものを含む。)
(ここでポイントは、相続により取得するものとか取得したとみなされるものとは、一体どの「範囲」をいうのかということです。)

所得税法第35条(雑所得)
(第1項) 雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。
(これで死亡年金が所得になるのであれば、上記のいずれにも該当しないということで、雑所得になることになります。)

所得税法施行令第183条 (生命保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算上控除する保険料等)
(第2項) その年に支払を受ける当該年金の額に、イに掲げる金額のうちにロに掲げる金額の占める割合を乗じて計算した金額は、その年分の雑所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
(Aさんの場合、後述の計算により必要経費は92,000円となり、それを控除した雑所得の金額は2,208,000円となります。)

まず所得税法の第1条の規定により、Aさんの夫の死亡によりAさんが取得した「年金受給権」(将来にわたって総額2,300万円の年金を受取ることができる権利)は、みなし相続財産として相続税の課税対象になるのですが、それには所得税はかかりません(相続した時に、その年金受給権(相続税法上は1,320万円の評価額のものです)に対して所得税はかからないということです)。これはAさん側も国税側も同じです。これがまずは「二重課税しない」ということです。
で、次にいよいよ実際にAさんは第一生命から年金を受取るわけですが、これについて

Aさん側は
「年金受給権」はみなし相続財産として所得税法第9条により非課税所得となっているので、その「年金受給権」により毎年受取る死亡年金は当然所得税法上非課税だ。
と主張するのに対し、

国税側は
確かに「年金受給権」は所得税非課税だけれど、これは相続税を払うとき(計算する)の「年金受給権」に、相続税の他に所得税も課税するということはしませんよと言っているだけあって、その「年金受給権」にもとづいて毎年払われる年金についてまで所得税非課税と言っているわけではない。
と主張するのです。


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