既往症とは、過去においてかかったことのある病気のことをいい、保険会社は被保険者の選択の際に重視するリスクの一つです。
ここでは代表的な既往症について、3回にわたり解説していきます。
「○○の病気にかかっていますが、保険に加入できますか?」は、相談をいただく上で、多い質問の1つです。
たいていの方は、「特に日常生活には支障はないのですが・・・」という補足があるのですが、「臨床医学においてリスクがある」ということと、「生命保険医学においてリスクがある」ということは、全く異なる基準となります。
生命保険医学は臨床医学と異なり、受診者について20年〜30年という長期の生命予後、あるいは疾病による入院・手術危険の観察を必要とします。
そのため、臨床医学では取り上げられないような軽度の疾患や現在治癒している既往症が、生命保険契約の危険測定上問題となる場合が少なくないです。
生命保険医学においてリスクとされる既往症の代表例をあげていきます。
既往症:高血圧
心臓から拍出された血液が血管壁に及ぼす圧力を血圧といいます。
血圧は、心臓の動きにつれて規則的に変化し、心臓が収縮するときに最も高く、拡張するときに最も低くなります。
収縮期に相当する血圧を最大血圧、拡張期に相当する血圧を最小血圧と呼びます。
血圧値が一定の値以上に保たれているということは、血液循環が保たれているという事実の表れとして、生命維持のため絶対必要なことです。
血圧の下降は臨床医学では重大な意味を持っていますが、生命保険医学において低血圧はほとんど問題にならず、重要視されるのは、高血圧です。
高血圧は、大きく2つに分けると、「二次性高血圧」と「本態性高血圧」があります。
二次性高血圧
高血圧の原因となっている疾病が、はっきりしているものをいいます。
現在かかっている病気の治療に成功すれば、高血圧はひとりでに治癒するということです。
二次性高血圧には、腎性、内分泌性、心血管性、神経性などがありますが、なかでも腎性高血圧が最もよく知られています。
本態性高血圧
原因が明らかでない高血圧のことをいいます。
ある程度遺伝関係があり、30歳代後半から、徐々に10年〜20年のうちに、脳出血や狭心症など血管性の障害を脳・心・腎という重要臓器に引き起こしてくるものをいいます。
2005.6.5記事 2007.7更新 |