2000年前後に7社の生命保険会社が経営破綻しました。経営破綻するような保険会社で加入すると、保険金額が減額されたりするので、少しでも安全で信頼のおける保険会社を選ぶために、格付け会社の評価などを参考にするようになりました。しかし2006年前後に「保険金不払い問題」が保険業界の根底を揺るがせ、保険に対する大きな信用を失いました。いくら格付けが高い保険会社を選んでも、保険会社側が保険金の出し渋りをしていては、全く保険の意味がないからです。ただし、経済的リスクを補う最大の方法が保険であることに昔も今も変わりはありません。安全な保険会社を選ぶ手段の1つとして、生命保険会社が作成している資料、行政監督上の指標、格付け会社の評価などを参考にしていくとよいでしょう。
生命保険会社が作成しているもの
ディスクロージャー資料
会社の事業年度ごとの業務、財産の状況をまとめた説明書類です。
保険業法により作成が義務付けられています。(会社によって名称が異なりますが、一般的には、「○○生命の現状」といった名称になっています)
直近5事業年度の主要な業務の状況、責任準備金、資産の運用状況、基金(資本金)、ソルベンシ−・マ−ジン比率、基礎利益、有価証券等の含み損益など経営内容に関する指標が掲載されています。
加入している生命保険会社各社(本・支社等) やホームページで入手することができます。
行政監督上の指標
ソルベンシー・マージン比率
ソルベンシー・マージンとは「支払余力」という意味です。
生命保険会社は、将来の保険金などの支払いに備えて責任準備金を積み立てているので、通常予測できる範囲のリスクについては十分対応できます。
しかし、大災害や株の大暴落など、予想もしない出来事が起こる場合があります。
このような「通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる支払余力」を有しているかどうかを判断するための行政監督上の指標の1つが「ソルベンシー・マージン比率」です。
この比率が200%を下回った場合は、監督当局(金融庁長官)によって早期に経営の健全性の回復を図るための措置が取られます。
第三者の評価
格付け
格付けとは、独立した第三者である格付け会社が、保険会社の保険金支払いに関する確実性をアルファベットと記号・単語などで表したものです。
会社の財務・収支情報・営業・経営戦略など、さまざまな情報にもとづき決定されています。
しかし、格付け会社は複数あり、それぞれ見方が違うため、格付け会社によって、格付けが異なる場合があります。
格付けは格付会社の意見であり、保険金の支払いなどについて保証を行うものではなく、金融機関や国などの発行する債券の安全性について評価しているため、将来的に数値は変更される可能性があります。
代表的な格付け機関を2つご紹介します。
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安全な保険会社の見分ける絶対的な方法はありません。
とはいっても見分けるための1つの手段として、ディスクロージャー資料、ソルベンシー・マージン比率、ムーディーズやスタンダード・プアーズなどの格付け会社の評価があります。また表面的に数字が良くても、過去に保険金・給付金の不払い件数が多過ぎる生命保険会社は要注意ですので、トータル的に判断しなくてはいけません。
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2004.6.6記事 2007.7更新 |