解約とは、将来に向かって保険契約を解消することです。
解約によって契約は消滅し、以降の保障はなくなります。
契約者の意思で自由にできますが、書類提出の手続きが必要です。
解約すると解約返戻金がある保険商品は、解約返戻金を受け取れます。
その金額は保険種類・契約時の年齢・保険期間・経過年数などによって異なりますが、通常は払い込んだ保険料総額より少なくなります。
それは保険料の一部が毎年の死亡保険金等の支払いや生命保険会社の運営に必要な経費に充てられるからです。
仮に、契約後短期間で解約したときには、解約返戻金は全くないか、あってもごくわずかです。
一般的に、契約してから半年〜2年以内の解約の場合、保険外交員にペナルティーが課されてしまうため、解約するということを相談しても、なかなか対応してくれないことが多いです。保険会社によって、ペナルティーの対象となる期間は異なりますが、外交員であればお給与を削減されたり、代理店であれば手数料を返金させられたりします。
保険の見直しをともなう解約となると手続きまでに非常に時間がかかってしまいます。
転換による少し保険料が割安になっている新しい商品の設計書をもってきて、解約せずに、継続がよいと説得させられてしまう場合があります。
時間がかかる分、解約する予定の保険料をまた支払わなくてはいけなくなります。
解約がスムーズにいく一例をあげてみます。
担当者ではなく、本社管轄の支社に来店する
加入している保険会社のホームページやディスクロージャー資料から、来店できる窓口を見つけます。被保険者が本人である場合、あらかじめ必要な書類を聞いて、書類を持参して持ち込めば、スムーズに手続きが済みます。
通常の必要な書類は、
- 保険証券
- 契約時に押した印鑑
- 本人確認の身分証明書
- 解約金の振込口座の通帳 など
死亡保障の見直しなどで、配偶者の保険を解約するなど、被保険者が本人以外の場合は、代理による手続きのための書類として「委任状」などが必要となります。
窓口でも、解約防止の案内はありますが、一つの事務手続きとして受付をしてくれるのが一般的です。保険会社によっては、担当者に連絡をしないと解約ができない、と担当者に連絡をとる場合もありますが、そのときは、「私は解約します。」とハッキリと伝えることが大切です。契約者は契約する権利があれば、当然解約する権利もありますので、そのことを忘れずに手続きをすすめてください。
万が一、「担当者から電話させます。」と解約を保留にされてしまった場合は、
- いつ頃回答をもらえそうなのか?
- 窓口担当の方はどなたか?
を必ず控えて帰りましょう。
なお、解約するか迷っている方は、本社の来店窓口、コールセンター、支社などに問い合わせをして、事前に以下のことを聞いておくと、なんらかの疑問が解決できます。
あくまでも、「参考のため教えて下さい。」という姿勢をしっかりと伝えないと、解約という言葉を聞いて大騒ぎになり、肝心なことを教えてもらえなくなる可能性がありますので、注意しましょう。
解約返戻金はいくらか?
現在の保険を解約して、新たに別の保険に加入するとき、解約返戻金を保険料の一部に活用することができるかもしれません。
払済保険に変更したとき、保険金額がいくらになるかもあわせて聞いておくと、見直しの参考になります。
更新型であれば、更新後の保険料の概算はいくらか?
現在と同じ保障額で、すべての特約を更新したときの、現在の料率で計算した金額を教えて下さい、と明確に聞きましょう。
(保険料が高くなってしまうので、一部の特約を更新しないで概算値を出す保険会社もあるので、注意!)
払い込み満了時に、特約を継続する場合、いくら支払う必要があるか?
死亡保障に医療特約などが付加されている場合で、80歳(保険会社によっては90歳)までの特約保険料を、終身保険の払込み満了時に一括で支払わなければならないケースがあります。
一括で支払わなければならないか、年払いが可能なのか、保険料の概算を聞きましょう。
個人情報保護法の施行により、本人確認が厳しくなっています。
解約手続きはもちろん、問い合わせするのも、契約者本人の権利であって、原則的には配偶者であっても、回答をもらえません。
保険の見直しの際、解約に手こずってしまった場合、以下の暫定策にトライしてみるもの1つの方法です。
A社の保険を解約して、B社に新規で加入しようとしている場合に忘れてはいけないことは、 「新しい保険の契約が成立してから、加入している保険を解約する」ということです。
加入してすぐ、契約が成立するわけではなく、告知があったり、診査を受診した場合など、引き受けの結果がわかるまで2週間ほどかかる場合もあります。
その場合、A社の保険料とB社の保険料を重複して支払う時期が発生してしまいます。
給与引き以外であれば、A社の保険料を支払わないという方法をとることができます。(民間の生命保険会社に限ります。)
<方法>
●引き落とし口座の銀行に出向き、「○月○日、○保険会社からの引き落とし○円を止めて下さい。」とお願いする。
●引き落とし口座の残高を保険料以下にして、残高不足で引き落としができないようにする。
万が一、B社で引き受けられなかった場合でも、失効するまでの払込猶予期間内に未納の保険料を支払えば、何ごともなかったかのように保険を継続することができます。
お給与天引きの場合は、給与担当の人事部などに知り合いがいる場合にしか、保険料引き落としストップをお願いすることができないのが盲点です。
また、かんぽは、民間の生命保険会社と違って、いくらがんばって保険料の引き落としを止めたり、残高不足にしても、解約日までの保険料はその日までの保障があったということで、解約日当日までの保険料を支払う必要があります。
解約返戻金に相当する「還付金」がある場合は、そこからの相殺となり、解約返戻金に相当する「還付金」がない場合は、未納分の月保険料を支払って、解約となります。
新しい保険の引き受け結果がわかるまで、重複して保険料を支払うということはやむえないことになりますが、新しい保険が引き受けられたらすぐに、窓口に出向いて解約の手続きをしましょう。
なお、自動振替貸付制度が適用される保険種類に関しては、払込猶予期間を経過して、保険が失効しそうになると、その保険契約の解約返戻金程度の範囲内で、保険会社が自動的に貸付をしてしまいますので注意が必要です。
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解約する前は、今一度保障内容を確認してください。
トータル的に判断した結果、継続より解約が将来的にみて自分のためになると判断できたなら、迷わず手続きをすることをおすすめします。
しかし、その判断の際、ファイナンシャルプランナーの意見を参考にするのも一つの方法です。なぜなら解約は最後の手段だからです。
一度解約した保険は元には戻りません。もう一度契約する場合、年齢がアップした分保険料が割高になったり、健康状態によっては、新たに契約できない場合があります。 |
2005.11.27記事 2007.7更新 |