病気やケガで治療を受けたときの自己負担は下の図のようなしくみになっています。
それぞれについて、詳しく見てみましょう。
(1) 一定の割合の自己負担
- 小学校入学前:2割
- 小学校入学〜69歳:3割
- 70歳以上:1割または3割
70歳以上の医療費の自己負担割合は、一般の人で1割、現役並みの所得者で3割となっています。
(2)入院時の食事代の一部負担
- 1食260円を自己負担
入院したときの食事にかかる費用として、1日3食780円を限度に、
1食につき260円(食材料費相当)を自己負担し、これを超える部分に
関しては、公的医療保険から支払われます。
入院時食事代の一部負担額(1食につき)
一 般 |
260円 |
市町村民税非課税者 |
91日未満210円
91日以上160円 |
70歳以上で収入が年金のみの場合
2人世帯で約160万円以下等 |
100円 |
もちろん治療上や、一時帰宅などの理由で食事をまったく受けない日があれば、その日の食事療養にかかる負担はありません。
(3)高額療養費
医療費の3割を負担すればよいといっても、長期入院したときなどは、多額な自己負担をしなければならないこともあります。
このような場合の負担を軽くするための制度として「高額療養費制度」があります。
この制度は、同じ人が同じ月に、同じ医療機関で支払った医療費が自己負担限度額を超えた場合、その超えた分については本人の申請にもとづいて、各公的医療保険から払い戻される制度です。
自己負担額は、具体的に下記のようになります。
自己負担限度額(70歳未満)
区分 |
自己負担限度額(月額) |
一般 |
80,100円+(医療費−267,000円)×1% |
高所得者(月収53万円以上)※注 |
150,000円+(医療費−500,000円)×1% |
市町村民税非課税者(低所得世帯) |
35,400円(定額) |
※月収とは・・・給与所得者の場合、月々の保険料算出の基礎として用いる「標準報酬月額」を指します。国民健康保険など自営業の場合、基礎控除後の総所得金額が600万円を超えると高所得者となります。
自己負担限度額(70歳以上)
区分 |
自己負担限度額(月額) |
通院(個人ごと) |
入院および通院(世帯単位) |
一般 |
12,000円 |
44,400円 |
現役並み所得者
一人暮らしで年収が383万円以上、
二人世帯で年収が520万円以上が目安 |
44,400円 |
80,100円+
(医療費−267,000円)×1%
4ヶ月目以降の限度額
〔44,400円〕 |
市町村民税非課税者(低所得世帯) |
8,000円 |
24,600円 |
収入が年金のみの場合、一人暮らしで約80万円以下、二人世帯で約160万円以下等 |
15,000円 |
- 入院の場合、食事代の一部負担額を加えると、一般の人で月に68,000円
程度になります。
- 療養病床への入院の場合、食事代・居住費の一部負担額を加えると、
一般の人で月に96,000円程度になります。
(4)差額ベッド代
普通に入院すると6人部屋になります。
大部屋の場合には、公的医療保険が適用されるため、とくに自己負担の必要はありません。
しかし、現実には大部屋がいっぱいだったり、個室など条件のよい病室を希望したり、といった理由から個室に入院するケースなどがあります。
このような場合は、大部屋との差額料金が全額自己負担額となります。
これを「差額ベット代」といいます。
差額ベット代は、個室や2人室ばかりではなく、3〜4人室でも必要な病院があり、差額ベット代のかかる病室に入院する際には、病院は患者の同意を得ることとなっています。
(5)公的医療保険対象外の特殊な治療費
先進医療による治療を受けた場合、先進医療の技術料は全額自己負担となります。
特定の大学病院などで研究・開発が行われる段階の治療法なため、公的医療保険の適用が受けられないことになっています。
(6)その他雑費
入院時には、衣類、タオル、洗面用具、スリッパなどの日用品のほか、テレビ・ラジオ、本・雑誌代、快気祝い、見舞いにくる家族の交通費・食費のほか、予想外の出費がかさみます。
1日平均の自己負担費用は20,100円(平成19年度生命保険文化センター調べ)。
(生命保険文化センター「平成19年度 生活保障に関する調査」)
2004.11.7記事 2008.4更新 |