1日の入院給付金の保障額をいくら自助努力して用意するべきか?と考えるときに、公的医療保険は政府の方針により変更される現実を知っていなければなりません。
少子高齢化が進む中、今後自己負担が増えることはあっても、減ることはないでしょう。
2003年度の日本の国民医療費は約31.5兆円。
このうち、高齢者の医療費が占める割合は4割近くで、年々その割合は上昇してきています。
厚生労働省によれば、日本の老人医療費は、若年層の約5倍に達しています。
このまま少子高齢化が進めば、2025年には、老人医療費は、国民医療費の半分以上を使うことになるとみられています。
これまで健康保険料を負担してきた若年層が減少し、健康保険を利用する機会が多い高齢者層が今後ますます増えていくからです。
高齢者の医療費は、患者の自己負担と公的医療保険負担以外の大半は、健保組合をはじめとする医療保険各制度(詳しくは社会保障制度〜医療制度のしくみ〜)からの「拠出金」でまかなっています。
現在の老人保健制度では、高齢者の加入割合によって、拠出する額が調整されています。
他の制度と比べて高齢者の加入割合の低い健保組合は、この調整により、実際かかった健保組合の老人医療費より数倍の負担をしています。
また、老人保健制度が適用されるまでのサラリーマンOBの方々の医療費も本人の支払い保険料のほかに、健保組合など被用者保険グループが負担する拠出金でまかなっています。
これらの拠出金の負担が余りにも巨額になり、健保組合の財政を大きく圧迫しており、健保組合の解散が相次いでいます。組合によっては、拠出金の支払いが保険料収入の5割を超えるところもあり、本来の事業が成り立たなくなっています。
健保組合が解散をする動きが活発になると、加入者は、政府管掌健康保険に移ります。
そのため、累積している赤字は、政府が補填することになり、結果的には個人への増税が一時的な解決策として行われるのです。
公的健康保険の制度は、赤字財政となっています。
保険料収入に対して、医療費の支払いが多すぎるというのが原因です。
保険料を支払う若年層の減少と、医療費の支払い対象となる高齢者層の増加は、少子高齢化がますます促進することによって、今後の公的健康保険の財政に大きく影響していきます。
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公的医療保険制度は政府の方針により、今後段階的に自己負担割合が増えていくことが予想されます。少子高齢化が進む中、今の自己負担割合を大きく上回ることは確実であるため、将来見据えて、健康なうちに民間の医療保険に加入して、いざという時のために備えておきましょう。
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2004.12.5記事 2007.7更新 |