がんの発生にはさまざまな因子がかかわっていますが、最も大きいのは栄養、つまり食生活です。
国立がんセンターが制定した「がんを防ぐ12ヵ条」でも、そのうち8ヵ条が、飲食物に関連しているほどです。
胃がんや大腸がんなどの消化器のがんはもちろん、乳がんや肺がん、子宮体がん、卵巣がんにも食生活の影響が大きいことがわかってきました。
がんを防ぐ12ヶ条
国立がんセンター監修 (財)がん研究振興財団広報資料「がんを防ぐための12ヶ条」より
1.バランスのとれた食事をとる
いろどり豊かな食卓にして
|
2.毎日、変化のある食生活を
ワンパターンではありませんか |
3.食べすぎをさけ、
脂肪はひかえめに
おいしいものも適量に! |
4.お酒はほどほどに
健康的に楽しみましょう |
5.たばこは吸わないように
特に、新しく吸いはじめない |
6.食べものから適量のビタミン
と繊維質のものを多くとる
緑黄色野菜をたっぷりと |
7.塩辛いものは少なめに
あまり熱いものはさましてから
胃や食道をいたわって |
8.焦げた部分はさける
突然変異を引きおこします |
9.かびの生えたものに注意
食べる前にチェックして |
10.日光に当たりすぎない
太陽はいたずら者です |
11.適度にスポーツをする
いい汗、流しましょう |
12.体を清潔に
さわやかな気分で |
私たちの体の細胞は日々新しくなっていますが、その材料となっているものは、食べたり飲んだり吸ったりしたものです。
なにしろ、人が1日に飲んだり食べたりする飲食物は重さ約3キロ、1年間にはなんと1トンに達するというのですから、影響が大きくないはずはありません。
元国立がんセンター研究所疫学部長、現東京農業大学の渡邊 昌教授は、「食生活は、原因としてはがん全体の3分の1に、予防効果も考えると、がん全体の8割に関係している」といっています。
またこれまでは、こうした発がん性物質やリスクの高い食品を避けることで、がんを予防することが中心でした。
しかしこれからは、がんを防ぐ作用のある食品を積極的にとることで、もっと積極的にがんを防ぐ効果が期待されています。
多くの専門家たちの研究によって、これまでに知られていなかった多くの食品成分(カロチノイド、ビタミンE・C・A、ポリフェノール、セレン、食物繊維、ビフィズス菌、コラーゲン、含硫化合物など)の働きが明らかにされてきて、その中に多くのがんを防ぐ物質があることがわかってきたのです。
多くとるとがんのリスクを高める飲食物
塩 分 |
胃がんの発生しやすい環境を作る |
脂 肪 |
大腸がん、前立腺がん、子宮体がん、乳がんなどの危険因子 |
肉や魚の焼け焦げ |
結腸がん、肝がんの危険因子 |
アルコール |
食道がん、口腔がんの危険因子 |
かびた穀物やナッツ |
肝がんを起こす |
エネルギー |
すべてのがんの発育を促進する |
2004.8.1記事 2007.7更新 |