公的年金は「老後の生活資金」というイメージが強いですが、それ以外にも加入者が死亡した場合の遺族の生活保障や病気やケガで働けなくなった場合に支給されるものがあります。
20歳になったら全国民が加入する義務のある、国民年金がすべてのベースとなっていますが、職業によっては国民年金だけでなく、厚生年金や共済年金の給付制度が上乗せになります。給付制度によって、それぞれ名称や給付額も異なってきますが、給付内容は共通です。まず年金制度の3つの給付内容を勉強していきましょう。
老齢給付
老後の生活資金のための年金です。
公的年金制度の中で、ほとんどの割合を占めるのがこの「老齢年金」です。
給付を受けるのには、最低25年以上公的年金に加入していることが条件です。
最低25年とは国民・厚生・共済年金のどれか1つに25年以上加入していてもよいし、複数の公的年金の加入暦がある場合には、その合計が25年になってもよいということです。
この最低限必要な加入期間のことを「受給資格期間」といいます。
遺族給付
加入者の遺族のための年金です。遺族の生活を支えるために支給されます。
給付を受けるのに、加入期間の3分の2以上の保険料を納付していることや、最近1年間に保険料が未納されていないことなどが条件です。
ただし、遺族基礎年金は、18歳未満の子どもがいないと支給されません。つまり、夫が自営業でお子様がいない場合の妻は、遺族給付は全く支払われないということになります。また、サラリーマンの妻であれば、遺族基礎年金の支払いはありませんが、遺族厚生年金から支給されます。
障害給付
病気や事故などで身体に障害が残った場合に支給されます。
給付を受けるのに、加入期間の3分の2以上の保険料納付をしていることなどが条件です。
対象は、障害認定により1級または2級に該当する場合ですが、給付金は障害の程度により異なります。
以上3つの給付の内容は共通ですが、年金の種類により名称が変わってきます。 国民年金は、すべての給付に「基礎年金」の名前がついていて、厚生年金と共済年金はそれぞれ、給付ごとに「厚生年金」と「共済年金」と名前をつけています。
年金の種類 |
老齢給付 |
遺族給付 |
障害給付 |
国民年金 |
老齢基礎年金 |
遺族基礎年金 |
障害基礎年金 |
厚生年金 |
老齢厚生年金 |
遺族厚生年金 |
障害厚生年金 |
共済年金 |
退職共済年金 |
遺族共済年金 |
障害共済年金 |
名前がいろいろあって混乱してしまいそうですが、あなたがどの年金の受給権があるのか確認してみましょう。
公的年金の支給は、1人1年金が原則です。
1人の人が、2つ以上の年金受給権が発生する場合があります。その場合は、本人の選択によってどちらか一方の年金を受給することとなります。
ところが、年金が同時に支給されるケースがあります。
サラリーマンであれば、国民年金+厚生年金となり、公務員であれば、国民年金+共済年金という年金が上乗せになるケースです。
どの年金制度に加入するかは、あなたがどんな職業に就いているかで決まります。
ただ、どんな年金制度に加入していても、3つの給付内容は共通ですので、年金制度のしくみを理解した上で、自助努力をしていきましょう。
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公的年金制度は、老後の生活資金のための「老齢給付」、加入者の遺族のための「遺族給付」、病気や事故などで身体に障害が残った場合のための「障害給付」の3つの給付があります。国民年金を支払っていない人は給付の対象にはなりませんので、注意が必要です。
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2004.10.10記事 2007.7更新 |