保険期間が満期をむかえた時に受け取るお金のことを「満期保険金」といいます。
保険ゼミで勉強してきた保険種類でいうと、養老保険が代表的です。
満期金を受け取った場合にかかる税金は、契約者・被保険者・受取人が誰であるかによって、税金の種類が異なってきます。満期金の場合は、所得税か贈与税のいずれかが課税対象となります。
契約者と受取人が同じ場合でも、保険期間によって、かかってくる税金が異なります。
- 保険期間が5年超 ・・・ 一時所得
- 保険期間が5年以下 ・・・ 源泉分離課税
契約者と受取人が同じで、保険期間が5年超の場合 → 所得税
契約者と受取人が同一の場合で、保険期間が5年超の場合は、一時所得扱いとなります。
一時所得の場合、死亡保険金から支払った保険料の差額が50万円以内の場合は、非課税となります。
50万円を超える場合は、特別控除(50万円)の適用があり、さらにその金額の2分の1が非課税になるなど、税法上優遇されています。
所得税の課税対象額
{(満期金受取額−支払った保険料)−50万円}×1/2
この金額を、他の所得と合算して、総合課税の対象となります。
契約者・被保険者・受取人が配偶者控除を受けている妻の場合は、金額によってはその年の配偶者控除が受けられなくなることがあるので、注意しましょう。
50万円以上の満期保険金受け取った場合、パートタイムなどで他に所得がある場合は、それを合計したものが妻の合計所得金額となります。
配偶者控除は合計所得金額が38万円以下の場合にのみ適用されますので、妻の合計所得金額が38万円を超えた場合、夫はその年の配偶者控除(38万円)を受けることができません。
一方、妻の合計所得金額が38万円超〜76万円未満で夫の合計所得金額が1,000万円以下の場合は、配偶者特別控除が受けられます。
※パートタイムの主婦など給与所得者の場合の所得金額とは、給与所得控除後の給与の額をいいます。例えば給与収入が100万円の場合、給与所得控除額は65万円、給与所得控除後の給与の額は35万円になります。この妻に課税一時所得が10万円あった場合、妻の合計所得金額は45万円となり、夫は31万円の配偶者控除を受けられることになります。
妻の所得と配偶者控除・配偶者特別控除〜所得税〜
妻の合計
所得金額 |
妻の
所得税 |
平成16年1月以降 |
|
夫の
配偶者控除 |
夫の配偶者
特別控除 |
38万円以下 |
かからない |
38万円 |
受けられない |
38万円超〜
76万円未満 |
かかる |
受けられない |
妻の合計所得金額に応じて38万円〜3万円 |
76万円以上 |
かかる |
受けられない |
受けられない |
※税制改正により平成16年分の所得から配偶者控除と配偶者特別控除の両方を受けることはできなくなりました。 |
契約者と受取人が同じで、保険期間が5年以下の場合 → 源泉分離課税
保険期間が5年以内に満期になる一時払い養老保険などは金融類似商品に該当するため、満期時受取額と払込保険料の差額に対して、20%の源泉分離課税となります。
<事例>
5年満期一時払い養老保険が、今年満期になりました。
一時払い保険料190万円、受取保険金200万円(配当金を含む)の税金はいくらでしょう?
<答え>
差益に対して、20%源泉分離課税されます。
|
(200万円−190万円)×20%=2万円 |
保険会社は、源泉分離課税2万円を差し引いた残りの198万円(200万円−2万円)を満期保険金受取人に支払います。課税が終了していますから確定申告の必要はありません。
なお、源泉分離課税20%のうち、15%は所得税、5%は住民税です。
差益に対して、20%源泉分離課税されます。
契約者と受取人が違う場合 → 贈与税
生前に自分の財産を無償で他の人に与えることを贈与といいます。
したがって、以下の契約形態のように、契約者の生存中に契約者以外の人が満期保険金を受け取った場合は、贈与税の課税対象となります。
|
契約者 |
被保険者 |
満期保険金受取人 |
税金の種類 |
契約形態
|
夫 |
夫 |
妻 |
贈与税 |
夫 |
妻 |
妻 |
夫 |
妻 |
子 |
贈与税の課税対象額
満期保険金額−110万円(基礎控除)
となります。
この課税価格に決まった税率をかけて算出したものが、贈与税となります。
<事例>
契約者・被保険者が夫で、満期保険金受取人を妻にして契約している保険が満期を迎えました。保険会社から400万円(配当金を含む)を受け取りましたが、税金はかなりかかるのでしょうか?
<答え>
満期保険金を妻が受け取るということは、夫から妻へ贈与があったとされ、贈与税の対象となります。 |
(満期保険金) |
|
(基礎控除額) |
|
(課税価格) |
400万円 |
− |
110万円 |
= |
290万円 |
|
贈与税の税額速算表により計算します。
計算方法:税額=(A)×(B)−(C)
基礎控除後の
課税価格(A) |
税率
(B) |
被保険者
(C) |
|
200万円以下
|
10% |
− |
300万円以下 |
15% |
10万円 |
400万円以下 |
20% |
25万円 |
600万円以下 |
30% |
65万円 |
1,000万円以下 |
40% |
125万円 |
1,000万円超 |
50% |
225万円 |
つまり、400万円の満期金を受け取っても33.5万円を納税しますので、366.5万円が実質上の手元に残る金額になるということです。
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満期保険金を受け取った場合は、契約形態によってかかってくる税金が異なります。
簡単にまとめると、
● 契約者=満期保険金受取人の場合 → 所得税
● 契約者≠満期保険金受取人の場合 → 贈与税
所得税よりも、贈与税のほうが税金額は高くなります。
契約時には、十分理解した上で契約形態を決めないと、将来高額な税金が課せられることになります。
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2005.1.23記事 2007.7更新 |