年金を受け取った場合、毎年支払いを受ける年金はすべて雑所得となり、所得税の対象となります。ただし、契約者と年金受取人が異なる場合には、年金支払い開始時に年金を受け取る権利(年金受給権)に対して、贈与税がかかり、毎年受け取る年金に対しても所得税(雑所得)がかかります。
つまり、年金を受け取る場合も、契約者と受取人が違う場合は税金が多くかかることになります。
では、契約形態の違いによって、どのような税金がかかるかをみてみましょう。
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契約者 |
被保険者
(生存している場合) |
年金受取人 |
税金の種類 |
契約形態 |
夫 |
夫または妻 |
夫 |
年金受取人に対し、毎年受け取る年金に所得税(雑所得) |
夫 |
夫または妻 |
妻 |
年金受取人に対し、年金開始時点で年金の権利評価額に贈与税。さらに毎年受け取る年金に所得税(雑所得) |
契約者と年金受取人が同じ場合⇒毎年・所得税
<事例>
契約者、被保険者、年金受取人が妻(現在55歳)の
個人年金保険(10年保証期間付終身年金<定額型>)を契約しています。
このたび、年金受取開始となりましたが、税金はいくらかかるでしょうか?
プラン:
年金年額45万円(基本年金40万円+増額年金5万円)、保険料払込合計額950万円
<答え>
所得税(雑所得)の金額=【1】総収入金額−【2】必要経費
この金額を、他の所得と合算して、総合課税の対象となります。
1)雑所得の計算
【1】総収入金額=【A】基本年金+【B】増額年金+【C】年金受取開始後の配当金による増加年金
1年目の総収入金額は【A】+【B】で45万円ですが、2年目以降は【C】増加年金の額がプラスされます。
【2】必要経費
<毎年同額> |
= |
年金年額(【A】基本年金+【B】増額年金)× |
払込保険料の合計額 |
|
年金の総支給見込額※ |
※「年金の総支給見込額」は年金の種類によって異なります。
- 終身年金の場合:年金年額×余命年数<参考1>
- 確定年金の場合:年金年額×支給期間
- 保証期間付終身年金の場合:年金年額×(余命年数<参考1> と
保証期間年数とのいずれか長い年数)
- 有期年金の場合:年金年額×(支給期間と余命年数<参考1> のいずれか短い年数)
<参考1> 年金の支給開始日における年齢別余命年数(抜粋)
年齢 |
55歳 |
60歳 |
61歳 |
62歳 |
63歳 |
64歳 |
65歳 |
70歳 |
男 |
23年 |
19年 |
18年 |
17年 |
17年 |
16年 |
15年 |
12年 |
女 |
27年 |
23年 |
22年 |
21年 |
20年 |
19年 |
18年 |
14年 |
雑所得の金額
2)納付税額
この金額を、他の所得と合算して、総合課税の対象となります。
契約者と年金受取人が違う場合⇒年金受取時に贈与税+毎年・所得税
贈与額は、保険金のほか同年中に受けたすべての贈与が含まれます。
<事例>
契約者は夫、被保険者・年金受取人は妻という形で
個人年金保険(10年保証期間付終身年金<定額型>)を契約しています。
このたび、年金受取開始となりましたが、税金はいくらかかるでしょうか?
プラン:
年金年額45万円(基本年金40万円+増額年金5万円)、保険料払込合計額950万円
<答え>
年金開始時点での年金の権利評価額が贈与税の課税対象となり、さらに毎年受け取る年金が所得税(雑所得)の対象になります。
1)年金受取権の権利評価額の計算
まず、贈与税の課税対象となる年金受給権の権利評価額を計算します。
★保証期間(確定年金)の権利評価額か、終身年金の権利評価額のいずれか高い方の金額が権利評価額となります。
下の表を参考に(評価割合)を決めます。
【確定年金の場合の評価割合】
残存期間 |
年金総額の |
5年以下 |
70% |
5年超〜10年以下 |
60% |
10年超〜15年以下 |
50% |
15年超〜25年以下 |
40% |
25年超〜35年以下 |
30% |
35年超 |
20% |
(相続税法24条の1)
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【終身年金の場合の評価割合】
権利取得時の年齢 |
年間支給額の |
25歳以下 |
11倍 |
25歳超〜40歳以下 |
8倍 |
40歳超〜50歳以下 |
6倍 |
50歳超〜60歳以下 |
4倍 |
60歳超〜70歳以下 |
2倍 |
70歳超〜 |
1倍 |
(相続税法24条の2) |
2)基礎控除後の課税価格の計算
3)贈与税額の計算
以上のように、贈与税額は16万円となります。
毎年受け取る年金に対してかかる所得税は、
契約者と年金受取人が同じ場合→ 毎年・所得税 で計算してみましょう。
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年金を受け取った場合は、契約形態によってかかってくる税金が異なります。 簡単にまとめると、
● 契約者=年金を受け取る人→ 毎年所得税
● 契約者≠年金を受け取る人 → 毎年所得税+年金受取開始時に贈与税
契約時には、十分理解した上で、契約者・受取人を決めましょう。
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2005.2.13記事 2007.7更新 |