(主契約は「疾病入院保険」、特約は「疾病入院特約」・「災害入院特約」)
一般的な解説
(生命保険文化センター 「2001年11月 生命保険いろはにほんと」より)
●疾病入院特約
病気で入院したときに、入院給付金が受け取れます。
また、病気や不慮の事故で所定の手術をしたときに、手術給付金が受け取れます。
※手術の場合の保障については、手術特約という別の特約として取り扱う生命保険会社もあります。
●災害入院特約
不慮の事故で入院したときに、入院給付金が受け取れます。
注意! 特約付加には条件や制約があるので注意しましょう。
- 特約の付加条件は生命保険会社によって異なり、主契約や特約の
種類によっては付加できない場合もあります。
- 付加できる特約の保険金額・給付金額は生命保険会社によって
異なり、最低取扱金額や主契約の保険金額による制約などを受けます。
- 特約での保険期間は、通常、主契約の保険期間や保険料払込期間と
同じとなっています。
ただし、終身保険や個人年金保険の終身年金に疾病入院特約や災害入院特約などを付加した場合は、原則80歳まで(生命保険会社によっては一生涯)これらの特約を継続できます。なお、保険料払込満了後もそれら特約の継続を希望する場合には、通常、主契約の保険料払込期間満了後の保険料を一括(前納)して払い込む必要があります。分割払、年払を取り扱っている生命保険会社もあります。
入院・手術保障とは、被保険者が責任開始期以後に発病した疾病または、不慮の事故などによる治療を目的として入院した場合に、入院日数に応じて入院給付金を支払うとともに、手術を受けた場合には同様に所定の手術給付金を支払うことを主な内容とする保障です。
生命保険とは、歴史をたどってみても「死亡保障」がメインの保障となっていましたが、戦後、平均寿命が伸びてきた高齢化社会においては長生きのリスクという新たな問題が発生。
長い人生の中で、いつも健康でいられれば幸せですが、病気をするリスクが高くなってきました。
時代の変化とともに、医療費が増大してきたため、昭和41年に入院・手術保障に対する保険が発売されるようになったのです。
入院・手術保障は急速に普及したのですが、生命保険会社により給付内容に差異がありました。
また、入院率の上昇などが原因で、入院給付金の支払率(予定支払額に対する実際の支払額の割合)が大幅に予定を超過。
このため、昭和56年、生命保険協会において、給付内容についてモデル案を策定していきました。
- 1入院に対する支払い限度日数を120日と統一。
- 最高契約年齢を80歳以下に。
- 手術給付金は、手術名の種類によって給付倍率を決定。
手術給付金に関しては、手術発生率の経験をふまえて、適用手術を社会診療報酬点数表 <昭和55年度>上で主として、1000点を一応の目安として手術を整理し、145項目が適用となりました。
また、入院日額に対する各手術の給付割合は、一般的に3段階となっています。
このようにして、手術の難易度および、手術の大小を考えて、決定していきました。
入院・手術保障が発売された当初は、厚生省の患者調査の年齢別男女合算入院率を元にして保険料率を決めていきましたが、年齢以外に、職業・性別・所得などが影響するということを踏まえて、新しい料率を採用することとなりました。
昭和62年4月、大幅に入院・手術保障の内容を見直しました。
1.支払対象となる入院日数については、従来疾病特約については20日間以上の入院を対象としていましたが、これを5日間以上に短縮して4日間の免責期間を設ける。
2.支払対象の医学的疾病について、従来は精神病・精神障害・アルコール依存については対象外でしたが、これを支払対象に。
3.対象となる手術の種類については、145項目から88項目に整理・統合へ。対象となる手術数については拡大。
4.同一疾病による再入院の場合には、継続して1回の入院として取り扱うことに。
5.海外での入院・手術も給付金支払対象へ。
治療を直接の目的とした手術給付金は以下の給付倍率表に基づいて支払われています。
表:対象となる手術および給付倍率表
「手術」とは、治療を直接の目的として、器具を用い、生体に切断、摘除などの操作を加えることをいい、下表の手術番号1〜88を指します。
吸引、穿刺などの処置および神経ブロックは除きます。
手術番号 |
手術の種類 |
給付倍率 |
§皮膚・乳房の手術 |
1. |
植皮術(25cm2未満は除く。) |
20 |
2. |
乳房切断術 |
20 |
§肋骨の手術(抜釘術は除く。) |
3. |
骨移植術 |
20 |
4. |
骨髄炎・骨結核手術(膿瘍の単なる切開は除く。) |
20 |
5. |
頭蓋骨観血手術(鼻骨・鼻中隔を除く。) |
20 |
6. |
鼻骨観血手術(鼻中隔弯曲症手術を除く。) |
10 |
7. |
上顎骨・下顎骨・顎関節観血手術(歯・歯肉の処置に伴うものを除く。) |
20 |
8. |
脊椎・骨盤観血手術 |
20 |
9. |
鎖骨・肩甲骨・肋骨・胸骨観血手術 |
10 |
10. |
四肢切断術(手指・足指を除く。) |
20 |
11. |
切断四肢再接合術(骨・関節の離断に伴うもの。) |
20 |
12. |
四肢骨・四肢関節観血手術(手指・足指を除く。) |
10 |
13. |
筋・腱・靭帯観血手術(手指・足指を除く。筋炎・結節腫・粘液腫手術は除く。) |
10 |
§呼吸器・胸部の手術 |
14. |
慢性副鼻腔炎根本手術 |
10 |
15. |
咽頭全摘除術 |
20 |
16. |
気管・気管支・肺・胸膜手術(開胸術を伴うもの。) |
20 |
17. |
胸郭形成術 |
20 |
18. |
縦隔腫瘍摘出術 |
40 |
§循環器・脾の手術 |
19. |
観血的血管形成術(血液透析用外シャント形成術を除く。) |
20 |
20. |
静脈瘤根本手術 |
10 |
21. |
大動脈・大静脈・肺動脈・冠動脈手術(開胸・開腹術を伴うもの。) |
40 |
22. |
心膜切開・縫合術 |
20 |
23. |
直視下心臓内手術 |
40 |
24. |
体内ペースメーカー埋込術 |
20 |
25. |
脾摘除術 |
20 |
§消化器の手術 |
26. |
耳下腺腫瘍摘出術 |
20 |
27. |
顎下腺腫瘍摘出術 |
10 |
28. |
食道離断術 |
40 |
29. |
胃切除術 |
40 |
30. |
その他の胃・食道手術(開胸・開腹術に伴うもの。) |
20 |
31. |
腹膜炎手術 |
20 |
32. |
肝臓・胆嚢・胆道・膵臓観血手術 |
20 |
33. |
ヘルニア根本手術 |
10 |
34. |
虫垂切除術・盲腸縫縮術 |
10 |
35. |
直腸脱根本手術 |
20 |
36. |
その他の胃・腸間膜手術(開腹術に伴うもの。) |
20 |
37. |
痔瘻・脱肛・痔核根本手術(根治を目的としたもので、処置・単なる痔核のみの手術は除く。) |
10 |
§尿・性器の手術 |
38. |
腎移植手術(受容者に限る。) |
40 |
39. |
腎臓・腎盂・尿管・膀胱・観血手術(経尿道的操作は除く。) |
20 |
40. |
尿道狭窄観血手術(経尿道的操作は除く。) |
20 |
41. |
尿瘻閉鎖観血手術(経尿道的操作は除く。) |
20 |
42. |
陰茎切断術 |
40 |
43. |
睾丸・副睾丸・精管・精策・精嚢・前立腺手術 |
20 |
44. |
陰嚢水腫根本手術 |
10 |
45. |
子宮広汎全摘除術(単純子宮全摘などの子宮全摘除術は除く。) |
40 |
|
|
手術番号 |
手術の種類 |
給付倍率 |
46. |
子宮頚管形成術・子宮顎管縫縮術 |
10 |
47. |
帝王切開娩出術 |
10 |
48. |
子宮外妊娠手術 |
20 |
49. |
子宮脱・膣脱手術 |
20 |
50. |
その他の子宮手術(子宮顎管ポリープ切除術・人工妊娠中絶術を除く。) |
20 |
51. |
卵巣・卵管観血手術(経窒的操作は除く。) |
20 |
52. |
その他の卵巣・卵巣手術 |
10 |
§内分泌器の手術 |
53. |
下垂体腫瘍摘除術 |
40 |
54. |
甲状腺手術 |
20 |
55. |
副腎全摘除術 |
20 |
§神経の手術 |
56. |
頭蓋内観血手術 |
40 |
57. |
神経観血手術(形成術・移植術・切除術・減圧術・開放術・捻除術) |
20 |
58. |
観血的脊髄腫瘍摘出手術 |
40 |
59. |
脊髄硬膜内外観血手術 |
20 |
§感覚器・視器の手術 |
60. |
眼瞼下垂症手術 |
10 |
61. |
涙小管形成術 |
10 |
62. |
涙嚢鼻腔吻合術 |
10 |
63. |
結膜嚢形成術 |
10 |
64. |
角膜移植術 |
10 |
65. |
観血的前房・虹彩・硝子体・眼窩内異物除去術 |
10 |
66. |
虹彩前後癒着剥離術 |
10 |
67. |
緑内症観血手術 |
20 |
68. |
白内障・水晶体観血手術 |
20 |
69. |
硝子体観血手術 |
10 |
70. |
網膜剥離症手術 |
10 |
71. |
レーザー・冷凍凝固による眼球手術(施術の開始日から60日の間に1回の給付を限度とする。) |
10 |
72. |
眼球摘除術・組織充填術 |
20 |
73. |
眼窩腫瘍摘出術 |
20 |
74. |
眼筋移植術 |
10 |
§感覚器・聴器の手術 |
75. |
観血的鼓膜・鼓室形成術 |
20 |
76. |
乳様洞削開術 |
10 |
77. |
中耳根本手術 |
20 |
78 |
内耳観血手術 |
20 |
79. |
聴神経腫瘍摘出術 |
40 |
§悪性新生物の手術 |
80. |
悪性新生物根治手術 |
40 |
81. |
悪性新生物温熱療法(施術の開始日から60日の間に1回の給付を限度とする。) |
10 |
82. |
その他の悪性新生物手術 |
20 |
§上記以外の手術 |
83. |
上記以外の開頭術 |
20 |
84. |
上記以外の開胸術 |
20 |
85. |
上記以外の開腹術 |
10 |
86. |
衝撃波による体内結石破砕術(施術の開始日から60日の間に1回の給付を限度とする。) |
20 |
87. |
ファイバースコープまたは血管・バスケットカテーテルによる脳・咽頭・胸・腹部臓器手術(検査・処置は含まない。施術の開始日から60日の間に1回の給付を限度とする。) |
10 |
§新生物根治放射線照射 |
88. |
新生物根治放射線照射
(5,000ラド以上の照射で施術の開始日から60日の間に1回の給付を限度とする。) |
10 |
|
このように、入院・手術保障は、契約した時期によって、保障内容が異なっています。また、「長生きのリスク」に備えるのに十分な保険期間が続いているかも確認しましょう。
あなたはどのタイプ?
■ひとつの契約で必要な保障を確保したいタイプ
主契約の保障期間が終身で、医療特約の期間も最長80歳まで(保険会社によっては終身まで)と、あなたにとって必要な保障が必要な期間において用意できていると把握済みで、「主契約+特約」でひとつの保険契約にまとめたい方にはおすすめします。
2005.9.25記事 2007.7更新 |