(主契約は「介護保険」、特約は「介護特約」)
一般的な解説
(生命保険文化センター 「2001年11月 生命保険いろはにほんと」より)
寝たきりや認知症によって介護が必要な状態となり、その状態が一定の期間継続したときに一時金や年金が受け取れるタイプと公的介護保険の要介護認定に連動して一時金・年金が受け取れるタイプがあります。
- 「寝たきり」と「認知症」の両方の支払を対象とするものと、
「認知症」のみを対象とするものがあります。
- 保険期間が一定の定期タイプと一生涯の終身タイプがあります。
- 死亡した場合には、死亡給付金が支払われます。死亡給付金は
少額のタイプと、要介護状態の場合と同額が受け取れるタイプがあります。
介護保険は、認知症や寝たきりになって介護を受ける場合、主に保険会社が定める所定の要介護状態が一定期間(通常180日が多い)継続した場合に、年金として支払われる保険です。
生命保険会社の介護保険は「現金給付」という点に対して、公的介護保険は、要介護認定を受けた利用者が1割の利用料を支払うことで介護サービスそのものが給付される「現物給付」。
この点が生命保険会社と公的の介護保険の大きな違いです。生命保険会社の介護保険における介護状態の判定基準は、公的介護保険制度と連動しないものが多く、保険会社が定める所定の介護状態が判断基準となるケースがほとんどです。
2000年4月から公的介護保険がスタートしましたが、法附則の規定に基づく制度全般の見直し時期を迎え、2006年4月から新たなシステムなどがスタートしました。しかしまだまだ流動的な制度となっています。
民間の介護保険は同じような保障内容に見えても、それぞれ保険料が異なるのは、以下の条件の違いによります。
5つのチェックポイントを確認してみましょう。
(1)いつまで保障される?
有期型 |
「介護特約」の場合、1年・5年・10年など。60歳・70歳などまで更新可
<更新とは・・・>
保険期間が満了したときに、健康状態に関係なく原則としてそれまでと同一の保障内容・保険金額での保障を継続できる制度です。更新の際、更新時の年齢、保険料率によって保険料が再計算されるので、保険料は通常高くなります。「介護保険」の場合、○歳までの保障期間内において一時金や年金を受け取ることができます。 |
終身型 |
一生涯保障が続く |
(2)どんな保障内容?
保障の対象は、保険会社により、以下と異なる場合があります。
「寝たきり」「認知症」の状態になったときに受取 |
「寝たきり」とは、常時寝たきり状態で、保険会社が判定基準としている項目に所定の数該当して、他人の介護を要する状態。
「認知症」とは、「器質性認知症」と医師により診断確定され、意識障害(意識混濁・意識変容)のない状態において「見当識障害」があり、かつ、他人の介護を要する状態。 |
「寝たきり」「認知症」の状態になったとき+公的介護の要介護認定に連動して受取 |
「寝たきり」とは、常時寝たきり状態で、保険会社が判定基準としている項目に所定の数該当して、他人の介護を要する状態。
「認知症」とは、「器質性認知症」と医師により診断確定され、意識障害(意識混濁・意識変容)のない状態において「見当識障害」があり、かつ、他人の介護を要する状態。
この「寝たきり」「認知症」による判定のしくみと併用して、公的介護保険制度で「要介護4・要介護5と認定されたとき」や「要介護3以上と認定されたとき」など公的介護保険の要介護認定に連動して一時金や年金が受け取れます。 |
「認知症」の状態になったときのみ受取 |
「認知症」とは、「器質性認知症」と医師により診断確定され、意識障害(意識混濁・意識変容)のない状態において「見当識障害」があり、かつ、他人の介護を要する状態。 |
(3)給付受取内容は?
一時金(介護一時金)としてまとまった金額を受取 |
初期費用など、一時的にまとまった資金が必要な場合への備え
→ベッドなどの介護用品の購入(買い換え)、浴槽、手すりなどバリアフリー設備への住宅リフォーム代、有料老人ホームへの入居など |
年金(介護年金)として毎年受取 |
継続的に資金が必要になった場合への備え
→公的介護保険の自己負担1割部分、利用限度額を超えるサービス費、利用対象外のサービス費など |
一時金(介護一時金)を受取、その後年金(介護年金)受取・・・一時金と年金の併用 |
初期費用と継続的な資金が必要になった場合への備え
→「初期費用」ベッドなどの介護用品の購入(買い換え)、浴槽、手すりなどバリアフリー設備への住宅リフォーム代、有料老人ホームへの入居など、「継続的な資金」公的介護保険の自己負担1割部分、利用限度額を超えるサービス費、利用対象外のサービス費など |
(4)契約のしかたは?
主契約として契約する「介護保険」 |
「介護保障」を主な内容とする単品の介護保険。契約に定める所定の要介護状態になったときに一時金や年金が受け取れます。要介護状態にならずに契約期間中に死亡した場合には死亡給付金が受け取れます。死亡給付金は、介護保障を主な目的としているため少額のタイプと、介護保障と死亡保障を目的としている要介護状態の場合と死亡の場合に受け取れる金額が同額のタイプとがあります。 |
主契約に付加する 「介護特約」 |
「介護特約」は2つのタイプがあります。
1)介護のみを保障するタイプで、死亡保障などは主契約や同時に付加されている他の特約から支払われるもの。
2)1つの特約で介護と死亡を保障するタイプで、介護と死亡の場合の保険金額(年金額)が同額になっているもの。
支払いはいずれか一方になるので、介護で支払われると、死亡では支払われません。1)と2)とも介護年金が支払われる場合もあります。 |
介護保障への移行(変更) |
主に、死亡保障を目的とする終身保険や、老後保障を目的とする個人年金保険について、保険料の払込が終了した時点で、以後の死亡保障や年金受取の全部または一部に変えて、保障内容を生命保険会社が定める範囲内で介護保障に移行(変更)する取り扱いです。 |
(5)保険料の払い込みはいつまで?
有期型 |
1年、5年、10年、60歳、65歳、70歳、75歳、80歳など |
終身型 |
一生涯支払う |
あなたはどのタイプ?
■要介護状態になったとき、身の回りに頼る人がいないタイプ
独身の人や、お子様のいない夫婦などは、将来要介護状態になったときに、民間の介護サービスに委託することが予想されます。
公的介護保険の自己負担1割部分、利用限度額を超えるサービス費、利用対象外のサービス費などへの費用負担が大きくなるので、介護保険で備えておくことが大切です。
■要介護状態になったとき、今の生活レベルを下げたくないタイプ
配食サービスなどの公的介護保険に含まれていないサービスを利用した場合は、その全額が自己負担になります。
介護の経済的リスクを全て民間の介護保険で準備しようとするとかなりの保険料負担になりますが、公的介護保険ではカバーできない経済的リスクを民間の介護保険で用意することによって、今の生活レベルを極力下げない生活を維持することができます。
介護をしてくれる人への精神的・肉体的負担はかなりかかります。
要介護状態はすぐ解決するものではないということを認識し、お金で解決できるサービスがあれば気軽に利用できるよう、民間の介護保険をうまく取り入れて経済的リスクに備えることをおすすめします。
2005.3.27記事 2007.7更新 |